ナーロッパとか中世ヨーロッパ風という言葉は戦闘や戦争で火器が使われないという程度の意味だと思う
さて、なろうには作品を投稿する際に公式タグで古代 中世 近世 近代 現代 未来から選択することができるのですが、ここで中世を選んでも、近世を選んでもどちらにも合わない世界観だったりするのが、いわゆる”剣と魔法の世界的な中世ヨーロッパ風世界”とか、”ナーロッパ”と呼ばれる世界だと思います。
で、個人的には中世ヨーロパ風世界というのは要は”戦闘や戦争で火器が使われておらす、武器鎧がヨーロッパ風ですよ”という程度のことなんじゃないかと思うのですね。
イメージソースとして認識されている年代は「中世」であるが、技術や制度などの発達具合といったディティール面では「近世」に近いのではないかと。
中世ヨーロパ的世界ではよくある奴隷制度や奴隷売買ですが、実際には、いわゆる奴隷が強制労働させられるような状況が作られるのは、近世以降なのですね。
まあ、奴隷商人がいなかったわけではないのですが、スレイブの語源がスラブ人であるように、中世におけるヨーロッパの奴隷は基本的に東ローマやトルコに対して輸出するものであって、ヨーロッパ内部では殆ど使われていないようです。
まあ、農奴はたくさんいるのですけど、彼ら彼女らは個人の財産を保有し、婚姻するなどの権利を有してましたし、現代の社畜を奴隷とは呼ばないように、農奴は奴隷とはまた少し違います。
食事について言えばフォークが一般的に利用されるようになるのは、もっとも早いイタリアでは14世紀にフォークがよく使われるようになって、1600年頃までには商人や上流階級の間でごく一般的に使用されたが、その後も結構最近まで市民はパスタを手づかみで食べていました。
さらにイギリスで一般人がフォークを使うようになるのは、18世紀に入ってからだそうですからね。
基本、中世の食事はスープやシチューなどはスプーンを使いますが、その他は手づかみだったようです。
また中世にはコルセットや、かつらはないようですね。
さらに言えば異世界恋愛などでは普通に行われるデビュタントですが、産業革命以前にはデビュタント的な行事はなく、デビュタントが行われるようになるのは近世ですらありません、近代です。
まあそういった事のほかに異常に情報ネットワークが発達している、冒険者ギルドがある割には交通手段はあまり発達していないとかも謎だったりするのですよね。
実際問題として中世は道路の整備状態はとてもよいとは言えなかったうえに、当時の馬車は車体が直接車軸の上に乗っているような構造だったこともあり、悪路による振動が伝わりやすく、乗り心地が最悪だったので、遠くに移動するときに気軽に使えるようなものではなかったようです
まあ、そんなところで中世ヨーロッパ風という世界は中世なのか近世なのか近代なのかどれなんだとばかりに、色々突っ込みどころはあったりするのです。
が、時代劇は時代劇時代、西部劇は西部劇時代、三国志演義は三国志演義時代であるように時代考証的に出てくるものがおかしくても、そういうものだと受け入れられているように、なろう異世界ファンタジー時代が存在していても別にいいんじゃないですかね?
なので、歴史やSFジャンルなどはともかく、ハイファンタジーや異世界恋愛の時代設定の公式タグで古代 中世 近世 近代 現代 未来から選択するとかえって、わかりづらくなるだけなのかもしれません。