68話 ギラルード王国にて
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは人の姿をしたスライムのゲル、金髪のギラバス、ダンジョンで出会った白ゴリと共に船に乗り、ディラストル大陸の玄関口ギラルード王国に到着していた。
「着いたー!」
チョップは体を伸ばして港へと飛び移った。
「ウホー!」
白ゴリも長い船旅から解放されて喜んでいる。船に乗りこみ、貿易都市コーネルを出発してから3日かかっていた。
「ここがギルド発祥の国…ギラルード王国!ついに来ちまったぜ…」
金髪の髪をなびかせながらギラバスが船から降りてきた。ゲルも興味深そうに街を眺めている。
ギルド発祥の国、ギラルード王国。
世界に冒険者が増え始めたひと昔前には、冒険者を管理する物は何も無かった。自分を冒険者だと名乗り、暴行や恐喝などの悪事を働く者もいたという。
そこでギラルード王国は冒険者達をまとめる組織、ギルドを作った。
ギルドには各地から様々な依頼が舞い込む。その依頼を受注し達成することによって依頼主からの報酬が貰える、という流れを作った。ギルドの依頼を受けるためには自らのカードを作り、身分を証明しなければならない。問題を起こした冒険者はカードを剥奪され、報酬を得る手段を無くす。ギルドはこのシステムによって冒険者を管理していた。
「船旅でお金ほぼスッカラカンだ…絶対返せよな!」
ギラバスが涙目で叫んでいた。チョップ達はお金を持っていなかったので、ギラバスに4人分の船旅を出して貰っていたのだ。
ありがとうギラバス、きっと返すよ。10年後くらいに。
「なんか永遠に返ってこない気がしてきた…」
「そんな事ないって!まずはギルドに行って生活費を稼ぐぞ!」
力無く歩くギラバスを引っ張って、チョップは走り出したのだった。
「で、でっけぇ…」「ウホー…」
ゲルと白ゴリが息を飲んだ。街を歩いていると、ギルドはすぐに見つかった。それはそうだろう。ギラルード王国のギルドは、街のどこに居ても見える程の巨大なギルドだったのだから。
「入るぞギラバス!」
「おう!」
チョップとギラバスは興奮した様子でギルドに入っていく。ゲルと白ゴリも後を追ってギルドへの扉を開いた。
ギルドの中には陽気な音楽が鳴り響き、冒険者の話し声で埋め尽くされていた。ステージで踊るダンサー、慌ただしく動くギルドの人達、掲示板を酒を片手に眺める冒険者達。各々が目をキラキラと輝かせ過ごしていた。
「すごい…!」
「だな!」
チョップ達は依頼を達成しようと、掲示板を見つけて依頼を探し始めた。モンスター大量発生の駆除、大型モンスターの討伐から、貴重なアイテムの採取まで様々な依頼がビッシリと貼られていた。
「何か簡単で稼げるやつ…」
「そんなん無いだろ!」
「ウホ!」
ゲル、ギラバス、白ゴリが楽しそうに話している。チョップも掲示板を眺めていた。
そして見つけてしまったのだ。
冒険者殺害容疑・依頼主マルコック
報酬・金貨3枚
「なんで…」
チョップは悲しみなのか、怒りなのか分からない感情に任せて張り紙を引き剥がした。
「チョップ…どうしたんだ?」
普段とは違う異様なチョップの姿を見てギラバスが
声をあげた。チョップはそれを無視して、ギルドの受付に飛び込んでいく。
「なんだよこれ!!ジンが殺しなんかするわけないだろ!!」
ターゲット
ジン・フェダムルス
チョップが見つけた依頼書にはかつて出会った心優しき父親の名前が記されていた。チョップの冒険は激しさを増していく。




