61話 あっやべ…
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは戦いの末に傷ついていた。そんなチョップを助けるために、牛侍、白ゴリ、金髪ルーキーとその仲間達、コウタは変人が化けた竜に挑み、見事に撃破したのだった。
「いったたた…」
変人が化けた竜が、よろよろと立ち上がった。
「まだ戦うってのかい」
「いやいや!もう十分!私の負けだよー。それにしても君すごいね〜」
変人はコウタを見てそう言った。
今回の戦闘で一番活躍したのはコウタだろう。変人の繰り出す技を、いち早く危険と察知し変人の翼を斬ったのは、2匹と5人の中で1番弱いコウタなのだから。
「いやぁ僕にもよく分からないんだけど、危険だぁ!って誰かに言われた気がしたんだぁ」
コウタはギラバス達が変人と戦っている最中に、一つのスキルを身につけていた。
その名は「危機知らせ」
戦闘の中で危険な技が放たれようとした時、いち早く危険を感じ取れるスキルだ。
「ふ〜ん、でも君の勇気は大したものだよ!」
実際コウタは、何10mも竜に捕まり飛び上がったのだ。並大抵の気持ちでは出来ないことだろう。
「へへ…」
「それで、チョップを治してもらえるんでしょうね?」
牛侍が変人に聞くと、変人は姿が変わりはじめ
「えぇ、約束通りに。貴方たちは己の信念を見せつけて見事に私を倒しました。故に」
白く美しい髪に金色の瞳を持つ少女へと変化した。
「お望みとあらば、この変人の技を使い姿形まで思いのままに変えて差し上げましょう」
変人が地面からフワッと浮き上がり、手を交錯させる。
「光よ、この者らを救いたまえ」
そう言い手を広げた変人。目一杯の光が辺りを覆い、戦いによって眠り続ける者、体の一部分だけの者、先ほどの戦いで気絶した者。傷ついた全ての生物を光は覆った。
数秒がたち、ゴンダス、ナマリン、チーム、白ゴリ。次々に倒れていた者が目覚め始めた。
「あれ!俺生きてるぜ!」
体がバラバラになり1部分だけしかなかったスライム、ゲル。そして
「久しぶりだね、チョップ」
「夢を見ていたよ…。久しぶり牛侍」
傷つき、眠り続けていたこぶた、チョップがようやく目を覚ましたのだった。
チョップは仲間たちや、かつてのライバルとの再会を喜び、その日は眠りについた。
そして翌日…。
チョップ達はついに、人の姿を手に入れる。
「昨日の夜に描いてもらった、自分のなりたい姿を見せてくださ〜い!」
変人が声を高らかに話していた。
「いいですかぁ?皆さんが描いた絵を元に、人の姿に変身させます」
変人は紙を受け取りながら説明をする。
「一度人の姿を手にしたら、いくら私でも違う容姿には変更出来ません!元のこぶたの姿には戻れますが…」
絵を描いたのは、チョップ、牛侍、ゲルの元人間の3匹だ。そして…
「あぁ〜!白ゴリさんはまた今度の機会に…。流石に絵が下手すぎます…」
「ウホォ…」
白ゴリも絵を描いたようだが、白ゴリは根っからのモンスター。絵心は無かったようだ。
「また次の機会だな」
チョップは苦笑いをした。
チョップが描いたのは、身長が高めの青年だ。
牛侍が描いたのは美しい女性。異世界に来るまえは絵が趣味だったようで、絵とは思えないほどに美しかった。
ゲルが描いたのは美少女だ。
絵を描いているゲルの表情は、ニヤケが止まらないようだった。
「うんうん、いいデザインだ。この絵を元に人の体を作るよ!」
「あぁ、よろしく!」
変人はコクリと頷き、少しだけ飛び上がった。
「変人たる我の力を使い、この者らに変化の祝福を」
「変幻自在!永久分体!」
チョップ達を光が包み込み、体が作り変えられていく。しかしチョップは聞いてしまった。変人の「あっやべ…」という言葉を。頼むから失敗しないで!チョップはハラハラしながら変化していくのだった。




