60話 戦闘変人
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは戦いの末に傷ついていた。そんなチョップを助けるために、牛侍、白ゴリ、金髪ルーキーとその仲間達、コウタはトライアングルダンジョンを攻略する。しかし変人は、最後に自分を倒し力を証明しろと言い出した。これより戦闘が始まろうとしていた。
目の前に佇むのは、姿を竜へと変えた変人。体長は牛侍にも負けないほど大きく10mはあろうかと思われた。まず動いたのは牛侍と白ゴリだ。2匹は巨体にらしからぬ走りで一気に間をつめる。牛侍が手始めとばかりに突進した。続けて白ゴリが筋肉を隆起させ、竜の背中に拳を振り下ろした。地面には衝撃で穴が空き、土煙があたりに漂った。
「す、すごい…これならあのドラゴンだって」
「いや、こんなもんじゃないさ」
牛侍が笑った。
「ウホ?」
白ゴリは今の攻撃で竜を倒したと思っていた。憧れる牛侍とレベルが上がった自らの連携攻撃。ダンジョンの敵は、ここまでの攻撃をしなくても一瞬で倒れたのだ。故に生まれた油断。竜はまだ倒れていない。白ゴリの足を白く美しい竜の手が掴んだ。
「こんなものか?」
土煙の中から白ゴリを掴み、上空へと飛び上がった白竜。そこから一気に回転し、白ゴリを勢いよく地面へと叩きつけた。白ゴリは白目を向いて倒れ、見るからに戦闘不能になった。
「やってくれるねぇ、金髪!あんた達も戦うんだよ!」
牛侍はギラバス、ゴンダス、ナマリン、チームに声をかけた。
「分かってますよ牛先生!今…」
「全員に魔法をかけ終わったところだ」
牛侍と白ゴリが、竜と戦っている間にギラバス達は何もしていなかった訳では無い。互いにステータスupの魔法をかけて、能力上昇をさせていたのだ。
「今回は俺だけじゃないぜ!仲間全員に魔法をかけてある!俺たちの新しい戦闘体制だ!」
「ほう…」
変人は考える。まず最初に巨大な牛、白いゴリラを危険と判断し戦いを始めた。油断をつき、白いゴリラを戦闘不能まで追い込むことに成功。しかしその間に4人のステータスを底上げされてしまった。もしゴリラが戦えていたら圧倒的に不利になっていただろう
『危ない危ない』
変人は心の中で安堵した。
「安心でもしたかい?残念だがそんな暇は無いよ!喰らいな…」
「千灯泣顔」
突如、牛侍の速さが変わった。先ほどの攻撃より桁違いの速さ。牛侍の突進が変人の腹にめり込んだ。
「ぐっ…」
「まだまだぁ!」
牛侍は追撃を加えていく。角で、体で、後ろ足で。変人は耐えきれずに後方へと吹き飛んだ。そこに待ち構えていたのは守護者、ゴンダス。ダンジョンで手に入れた大盾「地炭剛禁」を構えて竜を受け止めた。
「白ゴリさんのが何倍も重たいわぁ!」
ゴンダスが叫び、後ろで構えていたギラバス、ナマリン、チームがそれぞれ攻撃を仕掛けた。
「うおおおお!!」
「おりゃああああ!!」
「たあああああ!!」
たしかに感じる手ごたえ。倒したか、牛侍、ギラバスはそう思った。だが…
「届かない」
そう聞こえた。次の瞬間、変人の周りにいた4人が吹き飛ばされた。
「くっ…!」
ギラバスはギリギリのところで意識を保っているが、他の3人は倒れて戦闘不能になっていて、ギラバスも戦闘が出来る状態では無くなった。
「これで残ったのは、でかい牛。あんただけね」
変人は地面を踏みしめた。そして舞い上がる。
「ここまで良く頑張ったと思うわ。でもその程度じゃ不合格」
変人は息を大きく吸った。
「貴方たちの仲間は助けない」
変人の口から炎が見えた。牛侍も目を見開いて立ち尽くしている。
「惜しかったわね、さようなら」
変人の準備が整い、辺り一帯を「火炎肺息」が襲おうとした時、変人の翼が斬られた。
「何!?」
変人は飛行が出来なくなり、地面へと墜落した。
「何故だ…戦える者は牛以外倒したはず…」
竜は苦しみながら、何故こうなったかを分析しようとする。その答えはマヌケな声が教えてくれた。
「この小刀…切れ味すごいなぁ。家の包丁より何倍もいいやぁ」
竜の背中から飛び降りるぽっちゃりした人影が一つ。その人影はコウタだった。コウタは変人の攻撃をいち早く危険だと察知し、飛び上がる前にしがみついていた。そしてコウタはチョップのバックに入っていた小刀・闇曇を使い、変人の羽を攻撃したのだ。
「よくやった!後は任せな!」
「こ、このぉ…」
コウタはさっさと逃げ出し、変人は立ち上がろうとしていた。
「これから全力であんたにぶつかる。手加減は出来そうに無いから、死ぬんじゃないよ?」
牛侍は前足で地面をはらった。
「この一撃は受ける方からしたら、苦痛だろう。だからせめて…」
牛侍は走りだす。
「笑顔で」
牛侍は笑顔を作り、変人に突進した。
牛侍の新たなる技「咆甲笑顔」が誕生し、こうして変人を倒すことに成功したのだった。




