52話 お地蔵様
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップはダマイモン率いる謎の黒い鎧から襲撃を受ける。元人間のモンスターゲルの活躍により、相手を一網打尽に成功するが、ダマイモンの死炎によりゲルは消えてしまう。そこに一つの人影が現れ、チョップを抱えた。そして人影は森の中へと姿を消した。
時刻は正午。息を切らしながら森の中を走る一人の少年がいた。腕には1匹のこぶたとスライム状の物体を抱えている。
「ハァ…!ハァ…!逃げなきゃ…遠くへ…」
コウタは、傷だらけのチョップとゲルだった物を抱えて走った。村の人々にも、黒い鎧にも見つからないように。遠く、遠く。
コウタは走り続け、森の奥深くに入っていた。チョップはまだ目を覚まさない。コウタは体力が限界に近かったので先ほど見つけた川で休憩をすることにした。口一杯に水を入れ喉を潤す。しかし、休んでいるといつ黒い鎧が来るか分からない。コウタが立ち上がり出発しようとした時、苔に塗れたお地蔵様を見つけた。
「そう言えば、チョップとゲルにもお地蔵様の話ををしたっけな…」
コウタはお地蔵様の前に行き、手を合わせ祈った。
「チョップとゲルがこんな状態じゃ、治ってとしか祈れないよ」
コウタは血だらけのチョップとゲルを見て、そう思った。チョップは足から血を大量に流していて、体も傷だらけだ。ゲルにいたっては体の一部だけになってしまって動かない。スライムだから治るかもしれないという僅かな希望を持っていたが、それも難しいだろう。
「どうしてこんなことに…!」
コウタは昨晩、チョップとゲルが眠った後に自分の家へと戻った。家の中には両親と村長が話していていて、どうやら家を一日だけ開けてほしいとの事だった。
反対をしたが、それは村人全員で決定した事だと言われ、しぶしぶ真夜中に移動を開始した。コウタは両親の隙を見て村へ戻ると、チョップとゲルが倒れていたのだった。
コウタは悔しがる。自分がもっと早く2匹に伝えていればこんな事にならなかったのに、と。このままじゃいずれ目を覚ました黒い鎧に追いつかれてしまう。どうしようかと考えていると
ゴゴゴ…
とお地蔵様がずれていく。コウタは目を疑った。お地蔵様がゆっくりとずれると、地下へと続く長い階段が現れたのだ。
コウタは突如現れた階段を見て、ここに進むと決めた。チョップとゲルだった物を抱え、ゆっくりと進んでいく。そうするとお地蔵様は元の位置にずれていき、先ほどの位置で止まった。
「進むしかない!」
一人の勇敢な青年が一頭の魔物を携えお地蔵様の元訪れる時、新たなる道開かれよう。
作成された旅は終わりを迎え、物語は新たな段階へと突入する。




