48話 星空
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは元人間のモンスター、ゲルと出会う。道中で村人の少年コウタが襲われている所を助ける。恩返しがしたいと言うコウタに連れられて、2匹はモーモウ村を訪れたのだった。
「逃げなさい!コウタ!」
コウタの母親が泣きながら叫ぶ。
「落ち着け!今行ったらお前まで食われるぞ!」
コウタの父親が暴れる母親を抑えていた。
「落ち着いてよ〜、実はチョップとゲルはね〜」
コウタは2匹に助けられた、と村人たちに説明した。
「騙されてるんだ!そうやって何か企んでるんだろ!」
「そこにいるスライムなんか化け物じゃないか!」
村人たちが、次々にコウタの話を否定する。
そこへ
「待ちなさい」
と一人の老人が現れた。
「私はハンゲン。この村の村長をしているものだ」
ハンゲンは、ゲルに話しかける。
「君はこの村を襲い、我々を食べるために来たのかね?」
「そ、そんなことするわけねぇだろ!」
ゲルが話すと、村長は目を見開き
「ほう、人の言葉を話すのか…」
と驚いていた。その後
「良かろう、滞在を許す」
とだけ話し帰っていったのだ。
どうやら村長の発言は絶対なようで、チラホラと反論する者もいたが、大体の村人は大人しくなった。
「なんだよ!好き勝手言っちゃってさ!」
コウタは怒って「行こう!」と2匹をコウタの家まで案内してくれた。
とは言っても、両親は2匹を怖がりコウタだけ家に入れて鍵をかけてしまった。
2匹は仕方ないので、少し離れたボロ小屋で夜を過ごすことにしたのだった。
「やっと一息つけるぜぇ」
ゲルが体を伸ばした。
「なんとか村に受け入れてもらってよかったよ」
「どうだかね」
ゲルは不満気だ。
「今日のところは休もう」
「あぁ、そうだな」
「チョップ、ゲル〜!どこだ〜い?」
休もうとした時にコウタの声が聞こえた。
チョップとゲルは手を振った。
コウタが2匹を見つけると、何かを持って近づいてきた。
「はい!晩御飯!」
コウタは具沢山のシチューと、柔らかそうなパンを両手に持っていた。
「いいのか?」
「いいよいいよ、毎日食べてるから!」
そう話したコウタ。だが
「ぐぅ〜!」
とお腹が鳴っていた。
「いいんだよ!ゲルとチョップたくさん食べて!」
コウタは無理矢理、チョップとゲルの手に器を渡した。
「ありがとう!」「ありがとな!」
2匹はコウタに大感謝をして、食事を取った。「うめぇ〜!!」と言うゲルの大声に「ぐぅ〜」とお腹が鳴るコウタ。
2匹はコウタにもパンとシチューを分けて久々の食事を楽しんだのだった。
「美味かったなぁ」
「うん、コウタありがとう!」
「僕も食べちゃったし気にしないで!」
1人と2匹は満天の星空を眺めながら会話する。
「俺はぁ…やっぱり化け物なんだな…」
ゲルがポツリと言葉を漏らす。
「そんなことないよ!あいつらの言うことは気にしちゃダメ!」
コウタが否定するが
「いや、分かってんだ。自分の見た目の酷さくらいな。だから」
とゲルは話し続け
「出来ることならもう一度、人間になりてぇな」
と話した。
「うん、そうだね」
チョップも自分の前足を見てそう話した。
今はこぶたの姿だが、絶対に人間に戻ってみせる!チョップは心に誓った。
「変人だったら、俺たちの姿も変えられるかもな」
「そんな簡単にいったら苦労はしねぇぜ」
「ありえるかもよ?」
「そうなのか?」
「うん、変人はね」
コウタが話してくれた。
昔、変人はどこにでもいる冒険者だった。
変人はモンスターと戦うに連れ、能力を開花させていく。その能力は物を好きな形に作り変える能力。能力を駆使して変人は瞬く間に英雄的強さを誇る冒険者となった。それから変人は、龍人、旅人、昔人、闇人、怪人、巨人の七人の一員として世界に広く知られるようになった。しかしある時、七人は神の禁忌に触れてしまう。それから七人は歴史から姿を消し、七人の姿を見た者は居ないという。
「だから変人だったら姿を変えれると思うよ!」
「会えればだけどね」とコウタは話を締めくくった。
「そうか、それなら希望が持てるよ」
「おう!スライム姿ともおさらばだ!」
1人と2匹は希望を持って笑った。
モーモウ村のとある一軒家
「村長!あのモンスターは危険です!」
「我々が食われてしまいます!」
「慌てるな」
ハンゲンは空を見上げた。
「もう手は打っている」
次の朝、ハンゲンの企みがチョップとゲルを襲う事になる。




