41話 生存競争
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは、喧嘩をして一人離れてしまった仲間を探しに森を歩いていた。
そこでチョップはスライムをぐちゃぐちゃに潰したようなモンスターと遭遇するのだった。
スライムと言うには余りにもむごい見た目。
そのモンスターについている複数の目からは
「生き残る」という覚悟を感じた。
だからと言ってチョップだってここで死ぬ訳には行かない。
チョップも臨戦態勢に入った。
「ギギガアアア!!」
モンスターはチョップに向かって走り出す。
命を燃やす全速力の走り。
だがチョップに対しては余りにも遅い。
チョップはモンスターの攻撃を華麗に避け
喉元に、小刀・闇曇を突きつけた。
モンスターが少しでも動けば刃が突き刺さると言った状況だ。あっというまの戦闘終了である。
「俺もここで死ぬ訳にはいかない!」
チョップはモンスターの喉を切りつける。
「ガ、アア…」
そう決意したチョップをモンスターが止めた。
「ダガゲ…ゲ…」
モンスターはチョップの前足を掴み、ぐちゃぐちゃの手で必死に外そうとしている。
「ダガゲデ…ガ…」
チョップは涙を浮かべ小刀を懸命に外そうとするモンスターにかつての自分を重ねてしまっていた。モンスターの余りにも純粋な生きたいという願い。チョップは自然と小刀を喉元から離していた。
「悪かったな、いきなり攻撃して…」
チョップはモンスターに話し始めた。
「お前を悪いやつとは思えないよ、俺は帰る。このポーションで傷を癒してくれ…ほんと…ごめん」
そう言ってチョップはポーションを床に置いた。
来た道を引き返すチョップ。
その時モンスターはキョトンとしていた。
だが目の前の出来事を理解して、チョップに向かって走り出す。
モンスターはチョップにしがみつき
「ガガガアガ!!ガヌ!」
と必死に鳴いた。
チョップはモンスターの行動に驚き、コケてしまった。
チョップがコケたことにより、体にかけていた鞄からかつて食事を共にしたジンに貰った杖が溢れる。
まるで引き寄せられるかのように、杖はモンスターの方向へと転がっていく。
そしてコツンッと杖がモンスターに当たった。
特別な動物に声を与えると言われる龍の頭を模した杖。
モンスターの言葉にならない叫びが段々と理解できる言葉へと変わっていく。
モンスターはたしかに人間の言葉で
「俺を連れて行ってくれぇ…俺をあんたの仲間にしてくれぇぇ…!!!」
と、話していた。
モンスターから発せられた人の言葉。
この出来事から、チョップの旅は新たな段階へと突入する。
ミニストーリー
涙の洞窟にて
俺は人間だ。
体はドロドロ、目は複数ある。おまけに言葉は話せない。
だが俺は、人間だったんだ。
今から遥か昔、ただのどこにでもいるおっさんだった俺は異世界に転生した。
最初はその事実に喜んだ。
しかしすぐに現実を思い知らされることになる。
俺が近くの村を訪れると、揃って俺を睨みつけ武器で攻撃をしてきた。
意味が分からなかった。
だがある時、湖で自分の姿を見て理解した。
あぁ、そうか…。
俺はモンスターになってしまっていたのか。
それから俺は自分が生まれた洞窟に戻り、外に出なくなった。




