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4話 森の中で

さっきまで暮らしていたコーン牧場から逃げ出したこぶたと牛侍。

牛侍は森をズンズン進み、あっという間に深い森の中へと逃げ延びることができた。


「もうそろそろ休んでもいいかもな〜」


そう喋ったのはこぶたである。

実はこのこぶた、元人間だ。

元いた世界で死んでしまい、気がついたら牧場にこぶたとして産まれていたのだ。

こぶたは1年ほどのんびり暮らしていたのだが、出荷されるために死んだ大量の豚を見て、牧場から逃げ出した最中なのだ。


「モォ〜」


そう鳴いたのは牛侍。

牧場で出来た、たった1匹の友達だ。

コーン牧場を抜け出そうとしたこぶたが絶体絶命のピンチになった時に駆けつけてくれた心優しい牛である。

「ブヒブヒ」「モォ」としか鳴けないので、お互いになんと言っているかは分かっていないのだが、心はたしかに通じ合っていた。







牛侍は走り続けて疲れたのか、走るスピードが落ちてきた。

相当頑張ってくれた牛侍に感謝だ。


ということで森の中で見つけた小さな滝壺のある池で休憩することにした。喉がカラカラだったこぶたと牛侍は、池の綺麗な水をたくさん飲んだ。 


そして今日はそのままお互いに体を寄せて暖をとりながら眠りについたのだった。


こぶたは、これからどうやって生きて行こうかと悩んだ。どうにかして人の体に戻りたいとも思った。

しかし都合よく人に戻る方法など思いつくはずも無く。

これからの生活へのワクワクした気持ちと不安な気持ちを胸に抱きながら、ゆっくりと眠りについたのだった。






「ん、ん〜」


こぶたは目が覚めた。


「おはよう、牛侍」


と言ったものの牛侍の返事は無い。


「あれ?牛侍!?」


こぶたは不安になった。


「もしや逃げ出した時にいた商人の護衛が追って来たのか!?」


そう思い、真剣に牛侍を探していると茂みの向こうで「モォ〜」と鳴き声が聞こえた。

急いで茂みを飛び出してみると牛侍が優雅に草を食べていた。


「あぁ…良かった」


「モォ〜」


何事も無くて良かった。

こぶたの心配は杞憂に終わり、牛侍の背に乗って森をまた進み始めたのである。






コーン牧場を逃げ出して、3日ほど経った頃だった。


「ゼェ…ゼェ…」


「モォ〜…」


こぶたと牛侍は危機的状況にいた。

今の時刻はおそらく正午頃。

牛侍は、ゆっくりと森の中を歩いている。

2匹は、昨日の夕方に池で水を飲んでから一滴も水分を取っていない。

森の隙間から照りつける太陽は少しずつこぶた達の体力を奪っていく。


そして牛侍の足がぴたっと止まった。

次の瞬間、ドサッ!という音とともに牛侍は倒れてしまった。投げ出されたこぶたも、地面に這いつくばる。


「せっかく自由になれたのに…」


体が熱く、意識が朦朧としてきた。


「ここまでか…」


意識が途切れるその寸前、前方に一つの人影が見えた。


「最悪だ。このままくたばって食べられるんだ。」


そう思ったところで、こぶたの意識は消えた。







こぶたが見た人影は徐々にこぶたと牛侍に近づいてきた。

その人影はこぶたの目の前に来て呟いた。


「こぶた…さん?」


この出会いが、こぶた達の運命を大きく変えることになる。





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