34話番外編 ギルドの親子
あらすじ
今回は主人公と11話で会った親子、父親のジンと娘のユンの物語。チョップたちと別れたジンとユンは、生計を立てるため、ギルドに入っていた。
「はい、お疲れさん!今日もありがとうね〜、助かるわぁ〜」
ギルドの受付はそう言って、お金が入った小袋を渡す。
「ありがとうございます、では」
大男は、少しだけ笑って小袋を受け取り受付を後にする。
そして、町の市場で食べ物を買ってから娘のいる宿屋へと帰るのだった。
「ただ今、ユン」
「お父さん、おかえり!」
そう言って腰を下ろすジンは、ところどころ傷があった。
「大丈夫?」
心配そうにジンを見るユン。
「あぁ、ありがとう」
にっこりと笑い返すジン。
「やっと生活も安定してきたんだ…もうちょっと頑張らないとな」
ジンは、生活費を稼ぐために依頼にあったモンスターを狩っていた。ジンが倒したものには、中々手強いモンスターもいた。
そんなわけで、少しだけ有名になっていた。
しかし、光が刺せば影ができるように栄光には嫉妬が付いて回る。
次の朝
「それじゃあ、行ってくるよ」
いつものように、ジンは依頼を受けに行くようだ。
「うん!行ってらっしゃい!」
ユンはそれを笑顔で見送った。
ギルドの中に入って、今日の依頼を探すジン。目に留まったのは「シーデビルの大量討伐」だ。
シーデビルの一体の強さはそこそこだが、大量にいるとなると厄介だ。
「せめて仲間がいればな…」
ジンはチョップや牛侍、レガのことを思い出した。
「彼らも元気にしているだろうか」
そんな事を呟いていると、
「すいません…もしかして貴方がジンさんですか?」
と、声をかけられた。
「は、はい。そうですが」
「おぉ!やはり!我々も冒険者なのですが、ジンさんにお会いできて光栄です!」
「そりゃどうも…」
男は続けて提案をしてきた。
「もし良かったら、我々とパーティーを組んでいただけませんか…?ジンさんのような強い方と一度戦ってみたくて…」
ジンは考えた。
「初対面でパーティーに入るのはどうなのだろうか、急すぎではないか?」
「どうか、お願いします!」
そう言って男たちは頭を下げた。
「はぁ、私でよければ」
勢いに押されてジンは了承した。
ジンたちはパーティーを組み「シーインプ大量討伐」の依頼を受けた。
「ジンさんと、戦えるなんて光栄だ!」
「そうだな!」
男たちは、上機嫌だった。
「はは、ありがとうございます」
ジンは少し笑って、そう返した。
そしてジンたちはシーインプが住んでいるという洞窟に着いた。
洞窟に入り、中へと進んでいると、
「あ!来ました!シーインプです!」
男が叫んだ。指差す方向を見ると、20匹ほどのシーインプが向かってきていた。
ジンは自慢の大剣でシーインプを数体撃破した。
「よし!このまま倒しきりましょう!」
ジンたちの戦いが始まった。
「どりゃあ!」
ジンはシーインプの最後の1匹を倒した。ほとんどジンが倒したのでかなり体力を消費していた。息をふうっと吐いて
「さぁ、帰りましょう」
そう言ったジンが振り返ろうとすると、思いきり何かに殴られた。殴ったのは先程の冒険者だった。
「な、何のつもりですか!」
ジンは激高した。
「何のつもり?そんなの…」
男はジンを蹴る。
「お前を殺すつもりだよ」
そして男たちは3人がかりでジンを思いっきり蹴り始めた。
「うぜぇんだよ、お前。いきなり現れてヒーロー気取りか?あぁ!?」
「じっくり蹴り殺してやる!」
「ははははは!」
そう言いながら蹴り続ける男たち。
「や、やめろ!こんなことをして何になる!」
「黙れよ!」
男はジンを蹴り飛ばした。
「なーんかこいつが絶望することないかなー?」
男はウロウロと考えた。
「あ、そうだ!」
男は手を叩き
「お前、娘がいたよなぁ?あいつを売っちまおうぜ!」
「ひひひ!それがいい!」
「あぁ、その前にたっぷり遊んでやるけどな!」
「最高だ!あはははは!」
男たちは汚く笑った。
「う…ば…な」
「は?」
男がジンを睨みつける。
「奪うな…」
ジンは大剣を拾い構える。
「これ以上!!俺の家族を奪うなあああ!!!」
もう笑い声は聞こえない。辺りには静寂が訪れた。
この日、ジンの顔から
笑顔が消えた。




