33話番外編 とあるベテラン冒険者(自称)の日記
あらすじ
今回はチョップの元パーティーメンバー、レガの物語です。
チョップと別れたレガは、ダンジョンで出会ったアバラキ、ハル、ルーと共に旅を続けていた。
「レガさん、あの…ありがとう」
アバラキがレガにそう言った。
「ん、何のことだ?」
「俺たちのわがままに答えてくれて…」
「あぁ、そんなこと気にすんな!」
レガはそう言ったが、アバラキは暗い顔をしていた。レガは「仕方ないな」と
「チョップのことを気にしてんだろ?」
「お、おう」
アバラキは素直に頷いた。だからレガは
「それなら….そうだな。俺たちの名を世に知らしめてよ、チョップ達を驚かせてやろうぜ!」
と言った。するとルーが近寄ってきて
「そうだよ!アバラキ元気だしな!」
アバラキの背を叩いた。
「それにな…」
「また会うって約束したんだ。だから今は、前を向こうぜ!」
「…!そう、だな!」
アバラキの顔は明るくなり、前を向いて歩き出した。
4人は軽い雑談をしながら、山道を歩いていた。
「ところでハル、それは何の卵なんだろうね?」
ルーがトントンと卵を叩く。
「わ、分かりません。でも温め続ければきっと…」
「そうだな、重くないか?」
アバラキが聞いた。
「大丈夫です!この卵のことは任せてください!」
ハルはそう言って胸を張った。
「おう!任せたぞ!」
レガはハルの頭を撫でた。
「はい…!」
ハルは目をキラキラと輝かせ、レガにそう答えた。
歩き続けていると、4人は山奥の村に到着した。
村の人たちは、4人を暖かく迎えてくれた。
村長さんの場所へと案内されて、お茶を飲むレガ達。すると、村長が話を切り出した。
「おくつろぎの所すいません、貴方達はかなりの力を持っているご様子…」
村長は白い髭をいじりながら
「そこでお願いがあるのですが、森に住む肉食鹿を倒してきてはいただけませんか?」
「肉食鹿…いかにも肉食そうだな」
「絶対そうでしょ!」
ハルがツッコミをして、村長は続ける。
「はい。肉食鹿が暴れ回っているので我々も迂闊に森に入れず困っているのです…」
「そいつは、どれくらいの強さなんですか?」
アバラキが聞いた。
「そうですな、わしが若い頃はチョチョっと倒せました…」
「それなら、僕たちでも倒せそうですね!」
「腕がなるぜ!」「うんうん!」
3人の様子を見てアバラキが言う。
「その申し出、受けさせて貰おう」
「ほほぉ!ありがとうございます。肉食鹿を倒した際には、お礼の品もありますので、どうかお願いいたします」
こうして4人は、肉食鹿を倒すことなった。
村の人達に見送られ、山奥へと進むレガたち。
村からは4人の姿が見えなくなった。
「それにしても、よくあんな危険な依頼を受けてくれましたね!」
しばらくして、村人が村長に話しかける。
「そ、そんなに危険かのぅ、わしが若い頃は簡単に倒していたが…」
「何言ってるんすか!村長が倒していたのは、肉食リスでしょ!あはは!」
「そうじゃったかのぅ…」
村長もまたそう言って笑ったのだった。
一方、森の中では、
「む、無理いいい!!」
「どこが、若い頃はチョチョっと…だよ!」
「絶対嘘だよ!」
「死ぬううう!!」
レガ達は巨大で怪力の肉食鹿に追われていた。肉食鹿は血走った目で、4人を追っている。
「あっ!」
ハルが石に躓いた。その反動で卵はゴロゴロと転がってしまう。
ハルは卵を必死に追って捕まえた。
「グルルル…」
しかし真上には、肉食鹿が迫っていた。
「う、うわあああ!!」
頭を抱えて座り込むハル。その上空を一本の矢が通り過ぎた。ルーが放った矢である。
肉食鹿は、呻き声を上げた。
「こいつ!ダンジョンの雑魚よりも全然柔らかいよ!」
ルーが叫んだ。それを聞いて
「レガ、行けるか?」
「おうよ、アバラキ!」
2人は同時に構えた。
そして肉食鹿目掛けてアバラキは走り出し、
「トリプルスラッシュ!!」
目にも留まらぬ速度で、切りつけた。
斬撃を受けて、肉食鹿がよろけた。
レガは息を吸い込み、ゆっくり吐いた。
そして鞘を握りしめ、力強く踏み込み、肉食鹿を通り過ぎた。
「居合・・・冬鴉!!」
レガは鞘に刀を収める。
次の瞬間、肉食鹿は真っ二つに切られていた。
「おい、大丈夫か!?」
レガがハルに駆け寄った。
「は、はい。ありがとうございます、それより…」
「生まれる…みたいです」
ハルが抱え上げた卵はヒビが入っていていた。
パリッ!…パリパリッ!
この日、レガ達に新たな仲間が加わった。
いつも読んでいただきありがとうございます!




