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異世界の豚〜異世界に家畜として生まれた男の成り上がり  作者: アフ 郎
流離いのミュージシャン編
32/79

32話 チョップとファイアとボス

あらすじ

異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは売れないミュージシャンのファイアと共に旅を続けていた。そんな時、シルクハットを被ったご老人、ボスに出会う。ボスは2人の演奏が気に入って旅に同行することになったのだった。







「チュンチュン」


小鳥のさえずりが聞こえて、目を覚ましたチョップ。朝日が窓から入ってきて、気持ちの良い朝だ。


ファイア

「おはよう」


ファイアが、髪をゴムで結びながらチョップに話しかける。


チョップ

「あぁ…おはよう」


眠たい目をゴシゴシと擦りながらチョップは体を起き上がらせた。

ボスはまだ寝ているようだ。


チョップ

「ボス~、そろそろ起きな〜」


チョップがボスの肩を叩くと、


ボス

「ん?誰?」


ボスはまぬけ顔で、そう言った。






チョップ達は、身支度を整えて宿屋の受付に向かった。

そこには、美味しそうな朝ごはんが用意されていた。


「ほら、お金は取らないから食べていきな!」


宿屋のおばちゃんに、そう言われ


「ありがとうございます!」


チョップ達は朝ごはんを頂くことにした。

こんがり焼いた食パンと、スクランブルエッグでお腹が満たされたチョップ達は、宿屋の皆に感謝して町へと向かった。


「ボスは楽器をやってるんだっけ?」


「あぁ、そうだったな」


チョップが質問すると、ボスは中くらいの弦楽器を取り出した。ギターのように見えるが、弦は12本で所々不思議な形をしていた。


「へぇーすごい!これカバトンじゃない?」


「その通りだよ、ファイア」


チョップは何のことか分からなかった。


「知ってるのか?」


「うん!とっても難しい楽器だよ!」


「ほっほ、慣れれば簡単だよ」


ボスが笑った。チョップ達は町の空き地を見つけてボスのカバトンを加えた曲の練習を始めた。

カバトンの音色は、不思議な音、という表現がよく似合った。

ボスはさすが元ミュージシャンといった感じで、歌詞やテンポ、曲の修正点などをチョップとファイアにアドバイスしてくれた。


練習を続けているうちに太陽が真上に来ていて、真昼間になっていた。

一旦練習をやめて、軽く昼食をとったチョップ達はある場所に向かって出発した。


「実は、一つ寄りたい場所があっての…行ってきてもいいだろうか」


とボスが話したのでチョップとファイアも付いていく事にしたのだ。3人は町を出て道を歩いていく。ボスは


「少し遠いからの、いい運動じゃ」


と言っていた。ある場所は本当に遠く、ついた頃には夕方になっていた。



ボスは「ここで待っててくれるかの」と言って、歩いていく。そして、一つの墓の前で目を瞑り、手を合わせた。

ある場所とは、ボスの仲間達が眠る墓だったのだ。1分ほど合掌をしたボスは、チョップとファイアを見て頷き、もう一度墓を向き、こちらに戻ってきた。


「いやぁ、待たせてしまったの」


「ううん、あの墓は…」


「あぁ、儂の仲間たちが眠る墓じゃよ…。旅に出るまでにどうしても挨拶がしたくてな」


「そっか…」


「あぁ」


少しの静寂が訪れた。


「よし!暗くなってしまう前に帰ろうかの!」


ボスが元気にそう言った。


「そうだな!」「うん!」


2人も頷いて帰り始めた。


その時


「うわあああ!!」


墓の奥から少年のような叫び声が聞こえた。


「い、今のは一体…」


「叫び…声…?」


ボスとファイアは、驚いた。


「ちょっとここで待ってて、確認してくる!」


チョップは2人にそう言った。


「き、危険だわい!」


「やめときなよ!私たち戦えないでしょ?」


2人はチョップを止めようとするが、


「まぁ、大丈夫だって!戦いは慣れてるから!」


チョップは、小刀・闇雲を取り出して墓の奥へと駆けていく。


(自分はそれなりに戦える、誰かがモンスターに襲われているかもしれない!)


チョップは思った。


(助けないと!)


運命は残酷だ。まるでチョップを嫌っているように、運命はチョップを追い詰める。





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