29話 ゾミエスという町
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは売れないミュージシャン、ファイアと出会う。チョップは逸れた仲間を探すため、ファイアは一流のミュージシャンになるため、旅をする事になった。
「お父さん、お母さん!行ってくるね!」
ファイアが両親に別れを告げる。
「無理はするんじゃないよ」
お母さんが笑い、お父さんは号泣していた。
「チョップさん…ファイアを、頼みます!!」
「はい!」
お父さんの頼みを受け止めたチョップ。
「頑張ろうな!」
「うん!」
2人はそれぞれの目的を持って町を出発した。
2人が最初に目指す町、それはファイアの住む町から山を一つ越えた場所にある町、ゾミエスだ。
ゾミエスにはギルドという冒険者がたくさん集まる場所があるらしい。
2人はギルドで演奏する事を目標にしたのだった。
「ところでチョップは楽器を演奏できるの?」
「うーん、楽器は厳しいかも」
「どうして?」
「豚にも演奏できる楽器は少ないと思ってさ」
チョップがそう言うと、ファイアは「ふっふっふ」と言いながらカバンから、ある物を取り出した。
「じゃじゃーん!」
ファイアの手にはマラカスの様な物が握られていた。
「これはいったい??」
「え!知らないの!?」
チョップは頷く。
「これは「マカラス」っていう楽器!」
ファイアはマカラスを振ってみせた。シャカシャカと音が鳴っている。
「今日からチョップの物だよ!」
ファイアはマカラスを差し出した。チョップはマカラスを握って振ってみる。
シャカシャカと心地よい音が鳴った。
「ありがとう!これならできそうだよ!」
「どういたしまして!」
それからチョップはシャカシャカと音を鳴らしながら道を進み、ファイアとチョップはあっという間に山を越え、ゾミエスに到着した。
「き、来ちゃったね…」
ファイアは初めて訪れる町に緊張している様子だ。
チョップ
「大丈夫だよ、町を歩いてギルドってとこを探そう」
ファイア
「そ…だね」
2人はゾミエスを散策することにした。ゾミエスは木々に囲まれていて、自然に溢れた景観だった。ファイアは花屋で立ち止まり、キラキラと目を輝かせていた。すると、店員が店の奥から出てきて
花屋の女
「あなたは花が好きなのかしら?」
と聞いた。
ファイア
「はい!とっても綺麗で買いたいくらい!」
そう答えると、店員は小さな花瓶と1本の花を持ってきて、ファイアに渡してくれた。
ファイア
「私、お金持ってないです…」
ファイアは花を返そうとするが
花屋の女
「お代はいらないから、また来て下さいね!」
店員はそう言って店の奥に消えてしまった。
チョップ
「良かったね、ファイア」
ファイア
「うん!」
優しい花屋の店員に感謝しつつ、ギルド探しを再開した。
2人は町の大通りを進んだ先にギルドを見つけた。
ギルドの中に入ると、若い冒険者から、目が鋭いご老人、猫耳を生やした女性など、たくさんの冒険者で賑わっていた。2人は緊張しながらも受付に辿り着いた。
受付の女性
「ゾミエスのギルドにようこそ!今回はどういったご用件ですか?」
ファイア
「私たち、駆け出しのミュージシャンで。ここで演奏をさせて貰いたいなぁ、と…」
受付の女性
「演奏の申し込みですね!えーっと…明日の8時頃ならばステージが空いていますが、こちらの時間に予約されますか?」
ファイア
「はい!そこでお願いします!」
受付の女性
「分かりました!ではこちらに名前と歌手名をお書きください」
受付は一枚の紙をファイアに渡した。ファイアは急いで名前を書いた。
「ファイア様とチョップ様ですね!それでは明日の8時までにギルドにお越しください」
「は、はい!ありがとうございました!」
そう言って2人はギルドを出た。そして出来るだけ安い宿屋で1泊したのだった。
次の日…
ギルドには冒険者や町の人など、たくさんの人が集まっていた。
「昨日、飛び込みで申し込んだ新人バンドの登場でーす!その名は〜」
ギルドの受付が声を高らかに読み上げる。
「ファイア&チョップー!」
ギルドでの初演奏が始まる。
異世界の豚〜キャラクターステータス〜
チョップ
種族・コーンポーク
職業・マカラス奏者
ファイア
職業・歌い手




