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異世界の豚〜異世界に家畜として生まれた男の成り上がり  作者: アフ 郎
流離いのミュージシャン編
27/79

27話 へたくそな歌

あらすじ

異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは相棒の牛侍と共に旅を続けていた。2匹は言葉を手に入れる。ダンジョンで出会った白ゴリも仲間に加わって、チョップはのんびり旅を続けていた。そんな最中、チョップ達は「言葉を使うモンスター」として捕まってしまう。逃げる術を考えていると、ダンジョンで拾った泥団子が突如光り始める。その光はチョップ達を包み込んだのだった。







チョップは眩しいほど輝く泥団子の光に包まれた。

思わず目を瞑ったチョップ。


光は1分ほど輝き続けた後、少しずつ収まりはじめた。

チョップは何か冷たい物が背中に当たるのを感じた。

目を開けると、雨が降り注ぐ見知らぬ森の中に、チョップは1匹で座っていた。




「おーい牛侍!白ゴリー!どこにいるんだー!?」


チョップは牛侍と白ゴリを探した。


だが返事が返ってくる事は無かった。


チョップは森の中を必死に探しまわった。


しかし、牛侍と白ゴリは全く見つからない。


チョップは激しい心細さに襲われた。


「早く仲間に会いたい」チョップはその一心で森の中を探し回ったのだった。



森の中に来て1日が経った。牛侍、白ゴリは見つからない。

森の中に来て2日が経った。お腹が空いてきたが、それは仲間達も一緒だろう、早く合流しなければ。

森の中に来て3日が経った。モンスターに出くわして、戦闘の中で傷を負ってしまった。

森の中に来て4日が経った。食べる物が無い。空腹で死にそうだ。

森の中に来て5日が経った。この前できた傷が痛み出してきた。歩くのもやっとだ。

森の中に来て6日が経った。チョップは森を捜索し終えた。牛侍と白ゴリは見つからなかった。




チョップが森の中に来て7日が経った時、チョップは森を抜けた先にある小さな町にいた。空腹で倒れそうだったので、モンスターからドロップしたお金を握りしめ、食事処に向かった。


「何か…食べ物を…」


チョップはカラカラの喉を震わせて、店の店員にお金を渡そうとした。


「ヒィ!?」


店員は、逃げるように厨房へと入っていった。

しばらくして厨房から出てきたのは、高いコック帽を被った料理人だった。


チョップ

「少しだけで…いぃ…から」


チョップは料理人に頼んだ。


「なんだこの豚、本当に喋ってやがる…」


料理人はチョップを睨み


「気持ちわりぃ!」


そう言ってチョップを店の外へと蹴り飛ばした。


チョップは、泣いてしまう寸前だった。

しかしここで泣いては貴重な水分を取られてしまう。

チョップは溢れる涙をこぼさないように痛む足を無理やり動かしたのだった。



チョップが町を歩いていると、公園の様な開けた場所に出た。

チョップは空腹でクラクラと目が回り、意識を保つのがやっとだった。ここで気絶したら自分は二度と目を覚まさないだろう。

チョップはそう思って公園を進んだ。

その時、歌が聞こえた。


「一人で〜悲しみ〜泣いてい〜るあなた〜!」


なんとへたくそな歌だ。チョップはそう思って歌声が聞こえる場所を見た。


「仲間が〜いな〜くて〜ひとりぼっちの〜あなた〜!」


歌っていたのはぼろぼろの服を着た女性だった。



「あな〜た〜は、ひとりぼっちなんかじゃ無いよ〜!」


チョップは音階が外れ、楽器の音が一切無いアカペラの曲に


「かな〜らず!あえ〜るさ!きみにとっての大事な〜」


「な〜か〜ま〜」


自分を重ね合わせていた。

いつしかチョップは、下を向いて泣いていた。


とある古い公園には、曲を歌い終わった女性と一匹のこぶたがいた。

足元に自分の帽子を置いているが中には、1枚の銅貨さえ入っていなかった。

女性は「ハァ…」とため息をついて、帰り支度を始めた。


そこへ1匹のこぶたがトコトコ歩いてきて帽子の中に銀貨1枚と銅貨3枚を入れた。

女性は驚いてこぶたを見ると、こぶたは「バタン」と横に倒れてしまっていた。






ミニストーリー

ファイアの歌


「今日もお客さん来なかったなぁ」


ファイアは、青髪が特徴的な売れないミュージシャンだ。

昔から歌うことが大好きだったファイアは、「一流のミュージシャンになる」という夢を持っていた。

しかし現実はとても厳しく、オンチだったファイアは一緒に活動してくれる仲間も出来なかった。

人通りが少ない公園で、歌の練習に明け暮れる毎日だった。


「寂しいよぉ…」


ファイアは布団にすっこんで、その日は眠ってしまった。


次の日


「今日も頑張りますか!」


ファイアは自分に喝を入れて、いつもの公園に向かった。

いつもの変わらない公園で歌い始めると、今にも死にそうな1匹のこぶたが公園に訪れた。

ファイアは寂しそうなこぶたに親近感を覚えて、いつもより力強く、思いを込めて、歌を歌った。

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