25話 3匹旅
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは相棒の牛侍、ベテラン冒険者のレガと共に旅を続けていた。レガはダンジョンで出会った新たな仲間と冒険に出ることになり、チョップ達は2匹で旅を再開することになったのだった。
ルー
「それじゃ!お先に行ってきまーす!」
ーが手を振ってくれている。アバラキも手を振って、ハルは大事そうに卵を抱えながら、頭を下げていた。レガはもう横にはいない。レガは新たな仲間を得たのだ。
レガ
「チョップ、またな」
レガはそう言って、チョップと牛侍に背を向けて歩き出した。だんだん4人の姿が見えなくなっていく。チョップはレガとの思い出を振り返る。
「最初は言葉も喋れなかったから、レガに殺される所だったんだよなぁ」
チョップはレガとの出会いを思い出し、笑った。
「えぇ、勇気が出せなかったレガが、今ではあんなに頼られている立派な冒険者になったのね」
牛侍は金髪のルーキーに決闘を挑んだレガを思い出していた。
「ほんとうにかっこいいよ、レガ・・・」
ダンジョンのボス、クイーンアントライオンからハルを守った時のレガを思い出して、チョップはレガを誇らしく思った。牛侍と話している間にレガは見えなくなっていた。
チョップたちは自分達も旅の支度をしようと立ち上がった。その時、レガがものすごい勢いで顔をくしゃくしゃにして帰ってきた。そして強くチョップ、牛侍を抱きしめた。
「ありがとう…!側にいてくれて!」
いい歳のおっさんが、泣きじゃくりながら
「ありがとうぅぅ!!」
チョップ達に「ありがとう」と連呼していた。チョップと牛侍はそんな友の姿に、今まで抑えていた気持ちが爆発して、3人で泣きながら別れを惜しんだのだった。
レガがモスイ村を旅立った翌日、チョップ達も旅を再開しようとしていた。
「チョップ、お前には感謝してもしきれねぇ、そのくらい感謝してるぜ」
「本当にありがとうございました」
ダンジョンで共に戦った大男トギロと、30年父親に会えなかった武器屋の店主が頭を下げた。
トギロ
「またいつでも寄ってくれ!この村で待ってるからよ」
そう言ってトギロは、大きな手を差し伸べ握手を求めた。チョップはガッチリと握手を交わしたのだった。
「行ってくる!」
チョップ達はトギロや店主、村人や冒険者に見送られながら、旅を再開したのだった。
モスイ村を出発して、のんびりと道を進むチョップ達。
時々すれ違う冒険者や商人達は小さなこぶたを見て癒され、巨大な牛に驚き、10メートルはあろう白く巨大なゴリラを見て腰を抜かしていた。
牛侍によると、白いゴリラ…通称「白ゴリ」は、牛侍に勝負を仕掛けたが圧倒的な力を前に何も出来なかったらしい。白ゴリは圧倒的な力を持つ牛侍に憧れ、牛侍の後を勝手についてきたらしい。
白ゴリはダンジョンが崩れ、住む場所が無くなってしまったので、困り果てていた。
可哀想に思ったチョップと牛侍は、白ゴリを旅に誘った。白ゴリは
「ウホォ!?」
まじですか!と言わんばかりに喜んで、誘いに応じたのだった。
3匹でまったり道を歩いていると途中、怪し気な集団に出会った。
その中から一番怪しい笑みを浮かべた執事風の男が
「貴方達は言葉を話せるのでしょ?一度、我が主人の屋敷にお越しいただけませんか?」
と話しかけてきた。最初は無視していたが、余りにもしつこく話しかけてくるので
「結構です!」
ときっぱり断った。
そうすると執事は諦めたのか、怪し気な集団と共に去っていった。
「なんだったんだろう、さっきのあれ」
「さぁ?」「ウホ?」
気にしても仕方がないか。そう思ってチョップ、牛侍、白ゴリは歩き出した。新たなる冒険が俺たちを待っている!3匹はそう思っていた。
ミニストーリー
豪華な屋敷の1室での会話
「おい、それでどうだ?奴らはこちらに来ると申したか?」
いかにも意地が悪そうな声が聞こえた。
「残念ながら、断られてしまいました」
それに続き落ち着いた男の声が聞こえる。
「何だとお!?家畜の分際で我の誘いを断るか!」
意地の悪そうな声は、ひどく憤慨した。
「どうなされますか?」
落ち着いた声の男が聞くと
「フン!まぁ良いわ!」
と、男は鼻を鳴らし、
「力ずくでもいい!なんとしても捕らえよ!」
そう言い放った。
「了承しました」
落ち着いた声の主はそう言って、部屋を後にした。一人になった男は自らの輝く髪を触りながら
「我の誘いを断ったこと…苦しみの中で後悔するが良い…」
と呟いて、「うひひひひひ!」と不敵に笑った。
この話が行われた次の日。旅を続けるチョップ達に、理不尽な力が襲うことになる。




