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異世界の豚〜異世界に家畜として生まれた男の成り上がり  作者: アフ 郎
アントライオンダンジョン編
24/79

24話 脱出、そして…

あらすじ

異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは相棒の牛侍、ベテラン冒険者のレガと共に旅を続けていた。道中、言葉を手に入れたチョップ、牛侍。一行はダンジョンに挑み、見事ダンジョンのボスを倒したのだった。






クイーンアントライオンを倒したチョップは、1個の泥団子のようなものが落ちていることに気づく。

それを拾ってみたチョップ。

やっぱりただの泥団子に見えた。


「一応持って帰るか。それより今は…」


チョップは倒れて動けない牛侍たちを見た。


「どうやって光り輝く床に運ぼうか…」


光り輝く床とは、チョップ達のいる部屋の奥にある、いかにも「帰還出来ます」と言わんばかりに光っている床のことだ。


「うーん」


と考えるチョップ。


「ウホー…」


白いゴリラが横にいて一緒に考えていた。

白いゴリラは牛侍と一緒にやってきた10メートルほどの巨体を持つゴリラで、ゴリラは元気いっぱいだった。「チョップは何を悩んでるのだろう」とゴリラは腕を組み考えていた。


「すまん、ちょっと皆を床まで運んで」


「ウホッ!」


「なるほどね!」と納得した白いゴリラ。

急いで皆を優しく抱え上げた。牛侍も背中に乗せている。


「じゃあ一緒にあの床まで行こうか」


「ウホー!」


「分かりました」と、白いゴリラは鳴いてチョップとゴリラは光り輝く床に乗った。

次の瞬間、真っ白な光がチョップと白いゴリラ、運ばれた皆を包み込んだ。

思わず目を閉じたチョップ。

光が収まり目を開けたチョップが見たものは、懐かしき地上。

アントライオンダンジョンの入り口だった。

役目を終え、ガラガラと崩れ去るダンジョンを尻目に


「帰ってきたああああ!」


とチョップは嬉し涙を流した。


「ウ、ウホー…?」


一方で白いゴリラは、初めて見る地上に目をくるくると回すのだった。






今、モスイ村の村人や冒険者達は混乱していた。

何故かというと、モスイ村の村長、マイが砂のように崩れ落ちて消えてしまったのだ。

統率者を失った村人たちは、不安で仕方がなかった。そこへガラガラガラと、何かが崩れる音が聞こえ、不安を加速させた。村人達は冒険者と共に、ダンジョンの方向へと向かうことにしたのだった。






村人達が、ダンジョンがあった場所で見たものは、1匹のこぶたと巨大な白いゴリラ、横たわる巨大な牛に、5人の人だった。


「ここは危険だ!早く逃げて!」


雇われの冒険者がそれぞれ武器を構えた。

突如現れた巨大すぎるモンスターを見て冒険者は戦いになると確信してしまっていた。


「待って!」


そこに、聞いたことのある女性の声が響き渡る。


「チョップ…?」


声の主は、ダンジョンに入る前に立ち寄った武器屋の店主だった。


「ただいま!」


チョップは嬉しそうに話したのだった。






武器屋の店主が冒険者を説得してくれたおかげで、冒険者は武器をしまってくれた。

そして負傷した村の若者、アバラキ、ルー、ハルを見つけた冒険者は


「急いで薬を持って来なければ!」


と一斉に村へと向かって走り出したのだ。

チョップも驚く凄まじいスピードで帰ってきた冒険者の腕にはたくさんの解毒薬が抱えられていた。

冒険者は解毒薬を5人と牛侍に飲ませてくれた。


「ありがとう」


チョップは一人の冒険者に感謝すると、


「いえいえ、困った時はお互い様じゃないですか」


そう言ってくれた。

次第にアバラキ、トギロが目を覚まし始め、レガ、ルー、ハルも次々と目を覚まして辺りを見渡している。チョップは良かったと安心した。

しかし、牛侍は一向に目を覚まさない。必要に麻痺毒を打ち込まれ続けていたからだろう。

牛侍は全く動かなくなってしまっていた。


チョップが必死に牛侍の名を呼ぶ。

レガも牛侍を必死に叩き、アバラキ、トギロは「頑張れ!」と叫んでいる。

ルーとハルは泣いてしまう寸前だった。


「牛侍…目を覚ましてくれ…!」


チョップはこれまでに無いほど強く願った。


「ん…」


牛侍が少し鳴いた。牛侍の声を聞こうと静かになるチョップ達、次に聞こえたのは


「スー、スー…」


寝息だった。


「ハァ〜…!」


安心したチョップ達はその場に座り込んだ。

それから少し久しぶりの空を眺めていた。チョップがトギロに聞いた。


「久しぶりの外はどうだ?」


トギロは「そりゃあ…」と晴れ渡る快晴の空を見て


「眩しくて最高だ…」


にこやかに、そう話したのだった。







ダンジョンから脱出して丸一日が経った。

トギロは、混乱する村人をまとめて、村に統率を取り戻していた。「次の村長はトギロだ!」と口々にそう話し始める村人達。当の本人はというと、武器屋の店主である実の娘に30年ぶりの再会を果たし、気持ち悪いほど泣いていた。最初は一緒に泣いていた店主でさえ、丸一日経って泣き続ける自らの父親を見て、流石に困り顔だった。




その頃、レガはアバラキ達と何やら話し込んでいる。チョップは牛侍、白いゴリラと日光浴をしていた。するとアバラキ達がこちらに歩いてきてチョップの目の前で立ち止まった。そしてアバラキから衝撃の一言が飛び出す。


「俺たち、レガと冒険がしたい!レガを俺たちのパーティーにください!」


そう言われたのだ。一瞬、思考回路が停止したチョップはレガを見た。

困ったようなふりをしているが、アバラキ達と冒険したいというレガの気持ちは、バレバレだった。


「行ってこいよ、レガ」


チョップが優しく背中を押した。レガは


「チョップ、俺はお前らを嫌いになった訳じゃないんだ…。むしろ大好きなんだ!」


と言ってから


「でも、それと同じくらいこいつらが好きなんだ!俺のわがままを許してくれ!」


と頭を下げた。チョップと牛侍は頷いて


「構わないよ、しかし一つだけ約束してくれ」


と言ってから、チョップはレガの前に進み


「絶対!また会おうぜ!」


そうやって握手を求めた。レガはチョップの前足をすぐさまガシッ!と掴んで


「あぁ!必ずまた会おうぜ!」


決意に満ち足りた表情で約束を交わしたのである。


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