21話 ボスモンスター
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは相棒の牛侍、ベテラン冒険者のレガと共に旅を続けていた。道中、言葉を手に入れたチョップと牛侍。一行はダンジョンへと向かったが、あり地獄に巻き込まれ、離れ離れになってしまう。チョップ達はそれぞれ脱出方法を模索するのだった。
ダンジョンで放浪し続ける大男、トギロは古い鑑定道具をチョップにかざした。
「レベル10か…よく頑張ったな!」
チョップはモンスターを倒し続け、ついにレベルが2桁に上がった。チョップがダンジョン修行を始めてから10日ほど経った時の事だった。今では主力攻撃のアイスボールも素早く詠唱できるようになり、足の速さ、反射神経なども格段に上がっていた。
「ここでお前の修行は一区切りにして…」
トギロは地面を指差した。トギロが指し示しているのはもちろん
「倒しにいくか!このダンジョンのボスを!がはは!」
ダンジョンの最下層に住むダンジョンのボスのことだった。
チョップは腹をくくった。
「ボスを倒して、必ず仲間と共にダンジョンを出る」と。
「うわあああ!」
そんな時、聞き覚えのある声が聞こえた。
もの凄いスピードで走っているのは、辛い修行の時、いつも思い出していた仲間
「レガ!」
ベテラン冒険者のレガだった。
どうやら後ろにも、見知らぬ人が3人くらい付いてきているようだった。
「レガも無事でよかった」
チョップがそう思っていると、
「構えろチョップ、来るぞ」
と、トギロが低い声でチョップに伝えた。
目を凝らしてみるとレガ達の後ろから砂煙が上がっていた。
イノシシの大軍がレガ達を追っている。
チョップは即座に詠唱を始めた。
瞬時に言葉を唱えてチョップは魔法を発動させる。
「アイスボール!」
前よりも大きな氷の塊が、イノシシを襲う。
先頭を走るイノシシが倒れた。しかし、倒れたイノシシを踏み台にして新たなイノシシが迫ってきている。その直後イノシシはこの世の最後の光景を目にした。その光景とは…
圧倒的な力を持ち、巨大な斧を振るう人間の姿だった。
トギロの破壊力抜群の攻撃でイノシシの数はかなり減ってしまった。
イノシシは身の危険を察知して、敵前逃亡を始めた。
トギロはそれを追わずに
トギロ
「大丈夫か、アバラキ」
と地面に横たわる身長の高い青年に手を差し伸べ
アバラキ
「また助けられちゃいましたね…」
アバラキと呼ばれた男は、トギロの手を掴み立ち上がったのだった。
「レガ~!久しぶり~!」
「チョップじゃねぇか!生きてたんだな!」
久しぶりに会った盟友と熱い握手を交わした2人。
「本当に…喋ってる…」
その光景を眼鏡をぐるぐる回しながら見ているハルの姿が、チョップの印象に残った。
アバラキ
「あなたがチョップさんですか、レガから話は聞いてますよ」
アバラキがチョップに声をかけてきた。
チョップ
「レガが大変お世話になりました」
レガ
「保護者か」
チョップがアバラキに感謝を伝えると
「いえいえこちらこそ助けてもらいましたよ」
と話していた。
どうやらこの4人にも色々あったようで。
レガとアバラキ、ルー、ハルの4人には強い絆が結ばれている、そう見えた。
ルー
「本当に話してる!不思議ー!」
アバラキの静止を振り切ったルーに、チョップはひとしきりおもちゃのように遊ばれた。
トギロ
「ところで坊主。その揺かごは何だ?」
ハル
「これはレガさんが偶然見つけた道にあった卵です。暖め続けたら何か産まれるかなと思いまして・・・」
「まじかよ!」と驚いていたトギロはまじまじと卵を観察した後「大切にしろよ!」と、ハルの背中をぶっ叩いていた。ハルは背中をぶっ叩かれたせいか「はい!」と少し上ずった声で答えたのだった。
レガ
「ところで、チョップ達はここで何してんだ?」
チョップ
「じつはかくかくしかじかで・・・」
チョップの説明を受けたレガは胸をポンっと叩き
レガ
「そう言う事なら俺たちも行くぜ!人数は多い方がいいだろ?」
と笑った。
チョップ
「実はそう言ってくれると思ってたよ!」
とチョップも笑い、6人は共闘する事になったのだった。
チョップ、レガ、トギロ、アバラキ、ルー、ハルの計6人は、アントライオンダンジョンの最下層へと向かう。
チョップ
「牛侍はどうしてるかな…」
チョップは頼れる相棒、牛侍のことを思い出していた。
レガ
「大丈夫、あいつは強いだろ?多分もっと強くなって生きてるだろうよ」
レガが心配しているチョップを励ましてくれた。
「それもそうだな!」
チョップは、考えをやめて、前を向いて最下層へと進み続けたのだった。
しばらく下へ進んだのちに、トギロの足が止まった。
「ついたぞ…ここが」
トギロはこちらを振り向いて、1滴の汗を流した
「アントライオンダンジョン。その最下層だ」
6人の前に山のごとくそびえ立つ巨大な扉が鎮座していた。
トギロは扉を自慢の怪力でこじ開けた。
中はとても広い空間になっていて、その奥にはゲームでたびたび見つけられる光り輝く床があった。
チョップ
「あそこに行けば出られるかも!」
チョップ達は急いで光り輝く床に向かった。
近づいていくと
「ギリギリ…」
と何かの音が聞こえた。
段々と「ギリギリ」と言う音が大きくなっていく。
光り輝く床まであと半分という所で、トギロの真上から巨大な何かが降ってきた。
不意を突かれたトギロはそれを交わせずにその体重を浴びてしまう。
かろうじて生きてはいるが、頭から血を流していて体は動かせる状態では無かった。
レガは急いでグリムスライムからドロップした1つの貴重なポーションをトギロに使った。
ポーションが体にしみこむと、トギロは息を吹き返し
「危なかったぜ、ありがとよ!」
とレガに感謝した。
トギロを襲ったものは何か、それは高層ビルのような大きさを持つ1匹の巨大な蟻だった。
「ギリギヤオォォ!!」
ボスモンスター「クイーンアントライオン」の登場である。




