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2話 家畜

日光がギラギラと照りつけるある日、こぶたが1匹産まれた。

こぶたが産まれた場所は私たちが暮らす世界とは違うもう一つの世界。

こぶたは食料用の豚を育てるコーン牧場に産まれ、すくすくと育っていた。


しかし、こぶたには誰も知らない秘密があったのだった…。






「あぁー、のどかだなー」


こぶたはそう独り言をつぶやいた。

無論、ブヒブヒとしか聞こえないのだが。

実はこのこぶた、元人間である。車にひかれそうになっていたお婆さんを助けようとして、1回死んでしまったのだ。


しかし、気がついた時には小さな赤ちゃんとして生を受けていた。いわゆる転生である。


そして自分が豚であるとすぐに気づいたのだ。



豚に転生して早1年、牧場での暮らしにもすっかり慣れて、今はだだっ広い野原で優雅に休憩をしている。

この牧場は豚のほかに牛や鶏なども飼っているようで、こぶたには牛の友達が出来ていた。

その名も牛侍、名前の由来は優雅に佇む姿が、まるで戦国時代の侍みたいだったからである。

我ながらいいセンスだ。


今日も昨日と同じように牛侍とのんびり空を見上げていた。


「晴れだね〜、牛侍」


「モォ〜」


牛侍も気持ちよさそうにしている。

牧場の外は見たことは無かったのだが、牧場の人間を見るにここは日本では無いらしい。

どこかの時代にタイムスリップしたのか?

それともここは異世界なのでは?


と、考えてはみるものの柵で厳重に守られたコーン牧場では外のことは全然分からなかった。


そしてこののどかな日常は


突然終わりを迎えるのだった。






「今日はこの牧場を見て回ろうかな」


そう思ったこぶたは、牧場を散策することにした。


牛侍はのんびりお昼寝中だったのでそのままにしておいた。


散策してみるといつもの変わらない原っぱの中にぽつんと建っている小屋を見つけた。


興味が湧いたこぶたは中の様子を見ようと小屋をぐるぐると回り、そこで小さな穴を見つけた。しめしめと思いながらこぶたは穴を覗き込んだ。


そこでこぶたは壮絶な現実を目の当たりにしたのだ。






こぶたは走って逃げ出した。


「今すぐ逃げないと!」


その思いがこぶたの感情を埋め尽くしていた。

そして柵にぶつかった。


考えがまとまらずに柵が見えてなかったみたいだ。


「怖い!怖い!死にたくない!」


こぶたが見た光景は吊るされた大量の事切れている豚だった。


こぶたは自分のこれまでの生活を悔やんだ。

このままでは豚である自分は死んでしまう。


「どうにかして逃げ出さないと…」


こぶたは脱出計画を練り始めた。






こぶたは計画を立てた。


コーン牧場には正面ゲートが一つだけあり、そこは出荷する時にしか開かない。

しかし、それ以外の場所は高く頑丈な木の柵で囲われている。出荷されるのは早朝だ。ゲートが開くわずかな時間を狙うしかない。


幸いゲートの近くには草が生い茂る森があるので、そこに逃げ込む計画だ。失敗したらどうなることか、こぶたは足が震えていた。


しかしここで暮らしていてもいずれ死ぬ。

こぶたは覚悟を決めた。


「死んでたまるか!生き延びてやる…」


計画は明日の朝だ。こぶたは一睡も眠れない夜を過ごしたのだった。

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