15話 モスイ村にて
あらすじ
異世界にこぶたとして転生した元人間、チョップは相棒の牛侍、ベテラン冒険者のレガと供に旅を続けていた。なにかといちゃもんをつけてくる金髪ルーキーはチョップ、牛侍に罵詈雑言を浴びせる。それに激高したレガは金髪に決闘を挑み、見事金髪ルーキーに勝利したのだった。
レガが金髪に勝利すると、近くに人が集まってきた。どうやら村人や、村の冒険者のようだ。彼らは口々に
「あんたすげぇよ!」「あいつには手を焼いてたんだ…」「お前さんの動き…痺れたぜ…」
とレガを賞賛した。レガは
「こんな事初めてだぜ…」
と、嬉しそうだ。それを見たチョップは気分をよくして
「すごかったよ!レガ!」
と言った。その瞬間村の人々は
「豚が喋った!!??」
と声を合わせて、驚いたのだった。
折角、食事処でも喋らないでいたのに「やってしまった」そう思った。
牛侍の冷たい視線が、とても痛かった。
それからチョップ達は村の食事処「ムクイの飲み屋」に再度集まり、ご飯を食べることになった。
チョップにはカラフルな野菜を混ぜ合わせたご飯を、牛侍には新鮮な若い葉を、レガにはチーズがたっぷり乗ったピザが振る舞われた。
「うまいうまい」と食べるチョップ達の元には様々な人々が訪れた。
小さな子どもやお年寄り、強そうな冒険者から、怪しく「ウハハハハ」と高笑いする怪しい人まで。
その全員がチョップ、牛侍を珍しそうに眺めていた。
これからは人前で安易に話さないようにしよう。
チョップはそう心に決めて、大いに反省したのだった。
そういえば怪しい人から
怪しい人
「これを差し上げます…。貴方にきっとお似合いですよ…。ウハハハハ!」
と言われて小さな箱を貰った。
怪しいから開けていないのだが少し気になるな。そう思っていると貫禄のあるお爺さんが話しかけてきた。
お爺さん
「こんばんは、言葉を話すこぶたよ」
チョップ
「ブヒブヒ」
チョップは反省しているので、豚の言葉で返した。
お爺さんは気にせず話しかけてくるが・・・。
マイ
「私はこのモスイ村の村長をしているマイという者です。」
そう言ってゆっくり頭を下げたマイさん。
チョップ
「おぉっ村長さん、これはどうもどうも・・・」
お辞儀にお辞儀に返す「ジャパニーズお辞儀」を繰り出しながら、チョップは少しワクワクしていた。
なぜかと言うとチョップは人間だった時、RPGゲームを好み、何作ものRPG作品を遊んでいた。
そしてRPGでの村長と言えば、クエストを出してくれる存在。
この村長さんは何か頼みがあるのだろうか?
もっと言うと、その後の報酬とかはあるのだろうか?
そういう理由でワクワクしていたのである。
とても不純な動機ですね。
マイ
「実は、この村の近くには恐ろしいダンジョンがございまして、貴方達の力を見込んでお願いがあります…。」
予想的中!チョップが喜ぼうとした時、マイの弱々しい表情が迫真の表情へと切り替わる。
マイ
「若き村人が1カ月ほど前にダンジョンに行ってから帰らないのです…。彼らはとても優しく勇敢な青年でして…、どうにか探しふぁしてはもらえないでしょうか…!あぁ、可哀そうに!!」
そう言ってマイは、顔の見えなくなるほどの土下座をかました。
すぐにそれを起こそうとするチョップ達だったが、し村長は土下座をし続けるのだった。
泣きながら頼むマイを見たチョップは「仕方ない…」と立ち上がり
チョップ
「俺たちでいいなら・・・協力させてください」
そう言ってしまったのである。後ろで見ている牛侍は
牛侍
「退屈だし、いいわよ」
と言っている。やれやれと両手を振るレガも
レガ
「チョップ、勝手に決めんなよ…、だが俺も行くぜ!何せ俺は今、絶好調だからな!」
と、行く気満々もようだった。
行く気しかない3人は、お互いに馬鹿だなぁと笑いあった。
マイ
「ありがとう…、本当に!」
村長は、その光景を見て泣きながらありがとうと連呼した。
しかしチョップ達はこの時知らなかったのだ。
アントライオンダンジョンの恐ろしさを。




