12話 人の言葉
あらすじ
こぶたとして異世界に転生してしまった元人間、チョップは相棒の牛侍、道中で出会ったベテラン冒険者のレガと共に旅をしていた。レアなモンスターを追い森の中に入ると、ジン、ユンという故郷、家族を失った親子に出会う。ジンから貰った龍の頭が装飾された杖を使い、チョップたちは言葉を手に入れたのだった。
ジン
「いやぁ…驚きましたな…」
ユン
「うん…」
レガ
「まさか、本当に喋れるなんて…」
ジン、ユン、レガの3人は目の前の光景に圧倒されていた。
チョップ
「俺もびっくりだよ、まさかこんなに早く話せるとは」
牛侍
「そうね…とにかく良かったわ」
チョップ
「っていうか、なんで牛侍も話せるの?」
牛侍
「牛侍って…どんなネーミングセンスよ…まぁいいわ」
牛侍はため息をつき、
牛侍
「私のこと、誰だか分かってないみたいだけど…私は元の世界でもあなたに会ってるわよ」
はて、チョップは「そんなことあるの?」と考え、何かに気づく。
チョップ
「もしかして…あの時のおばあちゃん!?」
牛侍
「ふふふ、正解よ」
なんという事だろう。
チョップがまだ人間だった時、横断歩道を渡るおばあちゃんと共に車に跳ねられた。
しかも一緒に跳ねられたおばあちゃんが一緒に異世界に来ていたのだ!それも牛として…。
レガ
「お、お〜い…、何を話してるんだ…?」
レガが痺れを切らして聞いてきた。
チョップ
「あぁ、ごめんごめん、実は…」
チョップたちは自分たちが元人間であること。
気づいたら牛、豚として生まれていたこと。
それからこれまでの冒険についてを3人に包み隠さず話したのだった。
レガ
「まじかよ!お前ら壮絶だな!」
ジン
「それは大変でしたな…」
ユン
「そのうさ耳の子、会ってみたい…」
レガが驚き、ジンが心配して、ユンが興味を示した。
チョップ
「まぁ、話が出来るようになって本当に良かったよ!ありがとう、ジンさん!」
ジン
「いえいえ…、お役に立てたのなら嬉しいです」
チョップの感謝に笑顔で答えるジン。
それから3人と2匹は一晩、共に野宿する事になった。
ユンがアツアツのシチューを作ってくれて皆でうまいうまい、とシチューの味を楽しんだ。
ユンも緊張が解けてきたのか表情が出せるようになってきて、その日は満点の星空を見ながら皆は眠りについたのだった。
ミニストーリー
とあるベテラン冒険者(自称)の眠れない夜
夜に目が覚めてしまった。
「今日は驚いたよなぁ…」
まさか、チョップたちが話せるようになるなんて…いいネタが出来た。
「さっそく日記に…」
日記を取り出そうとした俺はカーン、コーンという音が森から聞こえているのに気づいた。
何ごとだろうと思い、俺はチョップ達を起こさぬようにそーっと音の鳴る方へと近づいた。
「ハッ…!ハッ…!」
そこには汗をかきながら、真剣に木に向かって木刀を振り下ろすジンさんがいた。
「よぉ!ジンさん、頑張ってるね」
俺がそう言って姿を現すと、ジンさんも俺に気づいたようで
「おや、起こしてしまいましたか、レガさん」
と、申し訳なさそうに頭を下げた。
「いやぁ、自分で起きたんすよ」
大丈夫と手を振った俺はジンさんとちょっとした会話をした。しばらくするとジンさんから
「少々、手合わせを願えませんか」
と勝負の申し入れを受けた。
ジンさんは袋から取り出した木刀を俺に放る。
「いいですよ!これでもベテランなんで、簡単には負けませんよ!」
「ありがとうございます…!」
木刀を使った模擬戦が始まった。
手始めにジンさんが駆け寄ってきた。間合いに入ると勢いよく木刀を振り下ろされる。
それを横に交わしバックステップする俺は反撃と言わんばかりにつきを放った。
ギリギリのところでつきを交わしたジンさんは「ぬおっ」と体をねじりながら腰の入った横振りを見せた。それをジャンプで交わして俺は木刀をジンさんに振り下ろし、木刀の当たる寸前のところで剣を止めた。
「ぐっ…、流石ですレガさん」
ジンさんは、ひらひらと手を振り降参だといった。
「いやぁ、そんな事無いっすよ。それに実戦だとてんでダメでして。緊張して動けなくなっちまいますから、ははは」
そう言って頭をかきながらジンさんの手を掴み体を起こす。ジンさんは立ち上がると
「そんな時は自分の横を見るといいですよ、貴方の横には心強い仲間がいらっしゃる」
と言った。チョップと牛侍のことを言っているのだとすぐに分かった。
「ほんとですね!」
ジンさんの言う通りだと思った。
それから俺たちは、夜が明けるまで戦いあってお互いの改善点を指摘した。
強くなろうと汗を流しながら攻めるジンさん。
「この人は強くなる」そう思った。
夜が更け、朝日が昇り始めるまで、俺たちの剣が止まることは無かった。
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