1.あなたたちは誰?
「んぅ…。」
目の前が明るくなった。
と言うか、意識が戻った感じがした。
目を開けて見える景色は真っ白な世界。
シュゥゥ…と言った音が聞こえるから
多分水蒸気的なものが発生している気がする。
よく、蒸気が出る時に聞こえるアレ、
やかんとかあれが沸いた時に聞こえるアレ。
別に熱さとかは感じないけど、
何でこんな水蒸気が出てる中にいるんだろうと疑問に思った。
そんなことを思っていると、
近くから誰かの声が聞こえてきた。
「なんだこれっ!?煙が出てきたぞ!?」
「えっ、ちょっ、スイッチ押したのあなたなんだから!
どうにかしなさいよ!」
「ちげぇって!当たっただけなんだって!」
どうやら、何かスイッチ的なものを押したらしい?
…スイッチ?
ヤバイ兵器のスイッチでも押したの?
私のそばで?
「古代機械のこと何て知らないし…
どう止めていいかもわからねぇ…」
「もぅ…これで古代機械に襲われても知らないんだから…」
古代機械?なるもののスイッチを押したらしい。
機械…機械兵器…?大爆発でも起こすのかな?
取りあえず、私自身も目も覚めたし、
そのスイッチとやらを確かめるために体を起こした。
ぐっ。
「!?…ね、言い合いしてる暇もなさそうだよ、二人とも。」
「「!?」」
起き上がって気付いた。
3人とも私を見ているようだ。
取っ組み合ってる最中にとまってこちらを見た男女と、
こっちを冷静に見てる少女。
なんか間の抜けている感じだ。
「あっ、なぁ、サシャ。
俺らの言葉通じるもんかね…?」
「しっ…知らないわよ!
古代機械何て初めて見たんだから…」
…良く分からないけど私の事を見ながら言っている。
私に対して言ってるの?
古代機械なんてものじゃなくて、
ニンゲンであった気がするんだけど…
取りあえず話してみることにした。
「あの…君たちは?」
「「しゃべった!?」」
「ん、言葉通じるんだ。」
目の前の3人に驚かれた。
なんで驚かれるの…?
困惑している私を見て、
物静かに私を観察している少女が聞く。
「あなたは自分が誰か分かったりするの?」
…ん、考えてみると自分は誰なんだろう…。
自分が分からない。
まさか…記憶喪失!?
私が自分のことで悩んでいると、
言い合いをしていた少年と少女がこっちを見た。
「なんだこいつ。自分の事分からないのか?」
「ちょっ、刺激したらどうするのよ!」
少女が少年を小突く。
仲が良い二人組がコントをしてる様に見えた。
ただ、私は人見知りだ。
このテンションについていけないんだけど…
と思っていたら、
2人のようにケンカもせずにゆっくり観察している少女がこちらに話しかけてくる。
「この二人のことは気にしないで?
私はフェリエ。あなたの名前を教えてほしいな…?」
名前…名前ねぇ…
そう考えていると思い出した名前があった。
「たぶん、エルファ…だと思う!」
曖昧な返事をした私を見て、
目の前の3人は顔を見合わせた。
始めまして。見ていただきありがとうございます。
転生機械っ子と人間のお話です。
ファンタジーな世界でのお話になります。
今回は短く、設定のこともあまり触れてませんが、
ちょこちょこと書いてやっていきたいと思います。
ぜひ、ゆったりどうぞっ(2019/04/04)