ACT:3-7/禍呼びし者、星の守護
「どうなってるやんね……」
尾行を中止したあっしは、代わりに戦闘を始めていた。
……と言うのも、あの二人の近くにいた幽霊達がいきなり苦しみ出しかと思うと瞬く間に全身が真っ黒になり、禍霊になってしまったのだ。
そいつらを殴って気絶させているうちに、あっしも左腕以外の部位が全て禍に喰われていた。
不幸は重なるモノで、いくら殴っても禍霊はどこからか現れて襲ってくる。こんなんじゃキリがない。
「ちっくちくだぜぃ、『さそり座の針』!」
そろそろまずいか、と死んでるのに死を覚悟したが、ホウキに乗ったリーズが現れるなり紅い星を降らせ、あっしをさらっていった。星は巨大な針に姿を変えて、禍霊を地面に縫い合わせる。もがく禍霊達は、次々に爆ぜていった。
「よぅ。おまいさん、真っ黒スケベに改名した方がいいんでねぇの?」
「うんうん、それが良いアル」
「誰がするか!」
そんな不名誉な名前は絶対もらいたくないし、まずあっしはまだ真っ黒じゃない。
「だ、大丈夫?」
どうやら淋ちゃんも乗っていたらしく、涙目になりながらその小さな手を肩に置いてくる。
よく見るとリーズのホウキの柄はかなり長くて、その直径は『普通2人が限界だろう』というところを、なんと5人は余裕で乗れそうなほどにあった。淋ちゃんとトランの後ろには荷台があり、そこには分厚い本やらツチノコ的な謎の生物の置物やらが山積みになっている。本はともかくその置物は何に使うんだよ、と思っていると、置物の目から緑色のビームが放たれ、残っていた禍霊を消していった。
……まさか実用品とは。
そうこう思っている間に、淋ちゃんの手からはいかにも回復効果がありそうな光が出ていた。だけどそれだけで、真っ黒な肩の様子は何も変わりはしなかった。
「おいうさちゃん、やめとけ。こいつぁ世界のシステムだ。個人の祈りじゃあどうにもならねぇぞい……それよりおまいら、これからまだ残ってる奴らを助けに行くぜぃ!がっちり捕まってろよぅ!」
リーズは次々と星を生み出しながら言った。
確かにこいつの言葉は間違っていない。禍は自力じゃ消せないし、シクロトとキスしないと消えないモノだ。
……それはともかく……
「そのキラッキラな星はどうするつもりやんね?」
「ん?結界用だぜぃ。星は人々の願いと死を意味する重要なモノ。これに反した属性を持つ奴は、近づけば即☆刻die!俺氏もよくこんな便利なブツを産み出せたもんだよなぁ……そんじゃ行くぜぃ!!ってえぇぇい!!」
ホウキが急発進し、振り落とされそうになる。何とか柄に掴まったあっしは、サーカスの空中ブランコがどれほど恐ろしい行為なのかよく理解した。
「おいっ、何してくれとんねん!!死ぬやないか!!」
「死んでる奴が死ぬわきゃねぇだろ、今度口開いたら落とすぞブァーカ!!」
……待て。いくらなんでもその言い方はないだろ!




