ACT:2-7/劣等のドロップアウト
淋が消えた後、いつの間にかわたしの手にはビー玉が3つほど収まっていた。しかしただのビー玉ではなく、覗き込むと中で光が輝いているのが見える。
恐らくこれが、淋の言っていた「結玉」と言う奴だろう。
「ふむー」
「こら。大事なモノなんだから、下手に触ってはいけないぞ」
「ちがうー」
拳を上げると、時紅はぴょんぴょんと跳ねながら結玉を取ろうとする。
「違うって、何が違うんだ」
「それ、いちどしかつかえない。でもいろいろしらべる、そしたらずっとつかえるかも」
「そ、そうなのか?」
試しにひとつ渡してみると、ひゃあ、とかおー、とか言いながら覗き込んでいた。
……やっぱり触りかっただけか。
「……相変わらずだネ、時紅兄は」
トランは大きなひまわりを抱え、笑いながら彼女を見ていた。その目は少し潤んでいる。力のない笑みを、ひまわりの花が際立たせていた。
きっと、淋に心配させまいと今まで我慢していたんだろう。
「……偉いな」
トランに歩み寄り、ゆっくりと頭を撫でた。耳がぴこんと動き、やがて目がより潤っていく。
「え……偉い訳ないネ、オレだって漢アル……漢は泣いたらっ……泣いたらダメな生き物アル……」
「トラン、強がりは大人になってからでいいんだぞ」
「いい訳ないネ!!……ひっく、うえぇ……こんなんじゃ……情けないアル……!!」
大粒の涙を溢しながら、トランはそう言った。
「情けなくない。わたしだって、大好きな人と別れなきゃいけない時は泣いたりするよ」
それでも不満なのか、彼女は首を振った。
「……確かに泣かないのは偉いかもしれない、だけどトランはまだ子供じゃないか。我慢出来るだけ、凄いんだぞ」
その一言で、トランは糸が切れたのか大声で泣き始める。
「偉くても凄くても、淋と一緒じゃないなら全部嫌アル!!オレは今まで淋を守ってるつもりだったけど、本当はその逆だった、最期の時だって、淋にかばってもらったアル……だから!!せめてこっちでは淋を守れる様になろうって思ってたのに!!うわあぁぁあん!!」
「淋を守る」と言う気持ちが強過ぎた。その気持ちが空回りしたせいで、逃げると言う選択肢を選ばなかったせいで、あの時死んでしまったのかもしれない。結局、全部自分が悪かった。だからその償いをしたくて仕方なかった……
彼はずっと、そんな意味の言葉を吐いていた。彼の慟哭は、時を告げる鐘の音さえもかき消した。
そうして永遠にも思える時間の中で、トランは涙を流し続けていた。
それは、わたしが彼に「悪くない」と言えるほどの勇気を出せなかった事の証明だ。
サブタイトルを見て劣等!Let’s try!ドロップアウトしたくなりました。
直したくないフィーリングなので直しません。
ガヴリールドロップアウトでは悪魔組が好きです。閉廷。




