第壱話 麻雀同好会へ
親に聞くと大抵の人はこう言うだろう。
「高校生活はとても早く感じたな」
聞いても分かるとおり、高校生活は人生の中でもとても重要ということが。
しかし、この重要な高校生活は大半が中3での生活で決まってしまう。
無論、俺は中3の生活をものの見事に棒に振るってやった。受験期真っ只中に麻雀にはまってしまい、志望校に受からず、仕方なく後期受験でごく平凡な商業高校に入ることにした。
まぁ、こんなこともあって麻雀はもう二度とやらないと決意した。しかし、こんな決意もたやすく破ってしまうのが現実だ。
学校が始まってから3日後。仮入部期間にある部活(同好会かな)を見つけた。しかしこの同好会にも驚いたものだ。高校にあっていいのか?と思いたくなるような同好会だしな。しかし、これに惹かれるものはある。入るか否か。もう二度とやらないと誓ったものの、言葉を聴くと無性にやりたくなる。
そう、ここの同好会の名前は『麻雀同好会・雀龍』
シンプルながらも、そそられる名前だ。
ガラガラと、ドアを開けた。ちょうど女子3人で3人打ちをしているところだった。
女子たちの視線が俺へ向けられる。それは好意を持つ視線では談じてない。殺意をこめたものだろう。
まずいところに入っちまったな。上級生か?いや違う。同級生だ。ん?まてよ。同好会なんて作れたっけ?ましてや1年がだぞ。もう1度女子たちを見てみる。あれ、どっかで見たような見てないような・・・・・・1人は知っていそうで残りの2人は知らないような・・・・・・あぁもう、思い出せない。
「あら、あんたうちのクラスの奴じゃない?」
知ってそう人が話しかけてきた。――そうだ。知ってるも何も隣じゃないか。女子がクラスの3分の2以上を占めている中、幸か不幸か数少ない男子と隣の奴。それがこいつか。名前は・・・・・・うーん、何つったっけ?うーん。
「あんた、隣のくせにあたしの名前覚えてないって言うの?頭どうかしてない?」
あいにく様だ。まだ俺の頭は正常だぞ。それよりこっちは必死で思い出してるんだぞ。少しは感謝しろっつーんだよ。あぁくそ、うーん。あぁ、思い出した。
「橘菖蒲だろ、お前」
「で、何の用?」
出来るだけ早く片付けたい様だな。若干俺を無視して再開してるし。
「あのぉ、ひとついいかな?」
「だから何?」
半ば怒ったように言う。隣の席で見た感じでは、ただの美人にしか見えないのだが、本性はものすごく腹黒い。人は見かけによらずとはこのことか。
「あのさ、打ってもいい?」
さっき俺がここに入ってきたときと同じ視線が返された。同じく、殺意をこめた視線。
タブーか?まずいことを言ってしまった様な気がしてしょうがない。帰りたいけどけれない。ヤンキーに囲まれた気分だろう。実際ヤンキーに囲まれたこと無いからあくまでも想像だが。
数十秒たって知らない女子が、
「なにつっ立ってんの?早く座りなさいよ。打つんでしょ?」
意外な反応に戸惑いつつもひとつ空いているいすに座る。東席、親か。
初めて自らの手で、マージャンが打てる喜びをかみしめながら、女子3人を見てみることにした。
対面クラスメイトで隣の席にいる橘菖蒲。クラスで隣にいる以上は美人にしか見えない。ロングヘアーで髪留めはしていない。好みのタイプだ。たとえるなら、4,5年前の宇多田ヒカルかな。しかし、恋人にするにはやな趣味を持っているものだ。案外腹黒い面を持っているようだし。
上家にいるのは知らない美少女。美女というには若干幼いように見えるが、実は同学年だったりしたりもする。セミロングで若干カールしている。ロリコン好きにはたまらないだろう。顔、身長から見て不釣合いなほど胸がある。悪くないかな。
下家にいるのも知らない美女。こっちは2人から見るとかなり大人びている。ショートカットでいかにも厳格そうな人かな。意外とツンデレキャラだったりもしそうか。胸も結構ある。これで性格もよかったらパーフェクト。
配牌しながら、
「お二方のお名前は?」
「ちょ、あんた。何であたし以外には丁寧語なのよ!」
「いいじゃん、いいじゃん。私はね、三上癒月だよ、よろしくぅ」
見た感じそのままのような声だな。天使のような人だ。名前からして癒してくれそう。しかーし、この人も同級生。考えられないくらいかわいい。少女として。
「伊達美雪だ。今後ともよろしく。ところでアナタは?」
「あぁ、俺は雨宮達樹」
伊達さんも見た感じそのままだな。名前も声も。
美人に囲まれて麻雀をやるのもおつな物だな。今後ともよろしくか。これはもしや、永久お友達宣言か?それは残念だぞ。どっちかでもいいから今後お友達以上の関係になってみたいものだ。
ん?今後・・・・・・ちょっと待てよ。それってもしかすると、この先もここに来いよってことか?
「あら、ただで打ってるのにもう来ないつもり?そう、もちろん負けたら何でも言う事きくのよ」
くそ、いちいちうざったい女だな、橘菖蒲は。そんなんだったら一生彼氏できないぞ。
「あら失礼ね。告られたことぐらい何回だってあるわよ」
「そう、菖蒲っちはただ付き合わないだけだよぉ。気を付けたほうがよいぞぉー」
「もう癒月ぃ。言わないでよ」
「さて、何でも言うこと聞くなら結構迷うな」
くっ、やはりこの方。冷静に消えかけていた事をついてくる。強敵だぞ。
「金がらみ以外ならなんだってやってやるよ」
「おぉ、言ったな達くん。それじゃぁ・・・・・・好きな人を激白ってのはどう?」
どうもこうもない。金意外なら何でもいいとは言ったが、きついぞそれは。
「なら私は・・・・・・次負けたら何でも言うことをきくってので」
どういうことだ?別にそれならいいけど。
つか待てよ。何で俺が負けるって設定になってんだよ。
「だって麻雀歴いくつだよ」
麻雀歴、麻雀歴・・・・・・ざっと一ヶ月くらいだろう。受験の時にはもう親に止められていたしな。しかも、やっとオンライン麻雀で7級取得したばっかで、俗に言う初心者?たぶんこいつら手馴れているだろうし・・・・・・勝てるか、ほんとに。
「菖蒲はどうするんだ。馬の骨の罰を」
う、馬の骨?見かけによるがやはりこの方も黒いな。
「うーん、そうね。じゃあ週末にみんなにおごるってのは?」
おい、ちょっと待て。金がらみだぞ。
「それいいね。よろしく頼んだよ、達くん」
いや、よろしく頼んだよじゃないよ。
「そうだな。私はスタバでいいぞ」
でいいぞか、おまえ。少しは人の話し聞けって。
「じゃ、それで決まりね。ほら始めよ。あんたからでしょ」
はぁ。ため息しか出ない。勝つ気もしないし、負けるたら最悪だし。来るんじゃなかったよ。
はぁ、しょうがない。やってやるか。
ドラは壱萬だから、二萬か。手牌もそこまで悪くはない。
さて、何を捨てようかな。
本小説に興味をもって呼んでくれた方、ありがとうございます。
自分自身も主人公と同じく、麻雀初心者なので間違っていることがあるとは思います。そのときは教えてもらえたら幸いです。
自分もこの小説を書いていって麻雀スキルをアップさせようと思ってます。
なお、本小説はあまり役に立たないと思いますので、ご了承を。
また、次話でお会いできたら光栄です。