4(ウワサだけ)
四ノ宮の席は離れ小島みたいなった。周りの席は机と机が近くなったりしたけど、それでも隣の席の子なんて、幾度かお腹が痛いって保健室に行った。
そんな最中で中間テストがあって、ウチのクラスは学年ドベ。補習とかなかったけれど、学年平均がウチのクラスのトップってくらい。随分だね、アハ。バカクラスも大概だ。四ノ宮? 返ってきた答案をたまたま見ちゃった子の話だけどね、限りなくゼロに違い点数。でもみんな似たり寄ったりよ。期末は普通に戻ったけどね。四ノ宮がいなくなったから。
散々だった中間のあと、四ノ宮は三年に呼び出された。いわゆる、目をつけられたってヤツ。ありがちよね。全くどんな度胸試しだよ。ところが戻って来たのはひとりだけ。その先輩と廊下ですれ違ったけど、顔に貼った大きなガーゼから黄色くなったアザがはみ出てた。どうしてそうなったかなんて想像でしかないけど、だいぶこっぴどくやられたって感じ。後で聞いた話だけど、その先輩ってのは悪い三年の腰巾着っていうか、無理矢理連れ廻されてた子なんだ。いるでしょ、そういうの。パシリね。じゃあ、他は? 世界史の学年主任で、なんていったけ? そうだ、ハゲモトだ。あのすだれハゲ。ハゲモトが「平和になったなぁ」って授業中にぽろっとこぼして、すぐにしまったって顔したの憶えてる。あれは本音だな。そっと四ノ宮を盗み見たら、いつもと同じ顔でさ、暗くて陰鬱で、まったくちっとも動じてない。
四ノ宮がどう関わってるかだなんてウワサだけなんだけどね、他の三年はその後、学校で見た憶えはないけど、卒業はしたんじゃないかな。ウワサって独り歩きするもんね。
これで四ノ宮に近づこうとする子はいなくなった。だからだろうな、荒木がいったんだ。「ゲーム、やめるべき」って。
わたし、荒木の隣の席だったんだよね。たまたま隣にいたわたしがそれを聞いたって感じ。
荒木って子は最初っからゲーム不参加みたいな、これまたクラスに馴染んでいないタイプなんだけど、別に嫌われてたりいじめられたりしてるワケじゃない。特定のグループに属していない一匹狼。まぁそんなに恰好良いキャラでもないけどさ、いうなら、そうだな、好んで首を突っ込むタイプじゃないってヤツかな。四ノ宮に限らず、誰とも特に親しくしてなかったから、ゲームの前も後も、クラスの誰よりも変わりなかった。面倒事とはゴメンですって。関わるのゴメンですって。物事に対して関心が薄いんだと思うよ。そんな普段口を開かないような子がわざわざいったんだから、気味悪さが先立った。
でもね、やめるもなにも、もう誰もゲームだなんて思ってない。だから落とし所、どうするかって話だろうね。
四ノ宮は荒れていた。いや、違うな。グレた、とも違う。壊れた? 何をしたってワケじゃないんだけど、まるで毒をまき散らしているような、ただいるだけで問題だった。




