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ボクだけがデスゲーム!?  作者: ba
第四章 転職祭

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第81話 白騎士と黒騎士。

変態騎士(アンクル・ウォルター)勝ちなさい、勝ちなさい、勝ちなさい、勝ちなさい、勝ちなさい……」

「黒騎士負けろ、黒騎士負けろ、黒騎士負けろ、黒騎士負けろ、黒騎士負けろ……」

 僕の後ろに座るマヤと横に座るノワールさんからボソボソと呪詛のような呟きが聞こえ続ける。


「あっはっは、ユウの友人は楽しい人ばかりだねぇ」


 コレを聞いてそう思うのはシルフィードさんだけだと思う。コテツさんも苦笑してるし。

 2人の呪詛が聞こえてくる僕はどうしても普通に応援が出来ない状態になっていた。


 その間にもアンクルさんとクロノさんの2人の剣がぶつかり合う音だけリング上に響いていた。

 そう2人だけが戦っていた。リリンさんもダムさんも、グラスさんもシャーリーさんも、2人の戦いを見守っている。

 それを試合開始直後、言い出したのはクロノさんだった。




「なぁ、アンクルさん……だっけ?」

「いかにも。私は『白き薔薇の巫女姫』に剣を捧げた薔薇の騎士、現白薔薇騎士団団長アンクル・ウォルターだが、何か?」

 初めて出会った時のようにポーズを決め、高らかに宣言するアンクルさん。

 ……これさえなければいい人なのに……勿体ない。


「あ、いや、そういう意味じゃなかったんだが……あ、俺はクロノね。まぁそれはいいや。提案があるんだが……」

「ふむ? 何だ?」

「決勝戦、あんたの俺の一対一のPVP(プレイヤーバトル)で勝敗を決めないか?」

「ちょっ! クロノ君、何突然言ってるのよ~! 自分だけ美味しい所貰うつもり~!?」


 クロノさんの提案に最初に抗議の声を上げたのはシャーリーさんだった。

 グラスさんは横で頭を掻きながらやれやれという表情を浮かべている。

「シャーリ姉ぇには悪いけど、二回戦のこいつを見て邪魔抜きに本気でやりたくなった。前の試合はシャーリ姉ぇの言う通り俺が我慢したんだから今回は俺にやらせて欲しい」

「そんな事言って~、一回戦もクロノ君1人でやったのにぃ~!」

「ごめん」

「うぅ~」

「まぁまぁシャーリーさん。相手が了承するならそれで良いじゃないですか」

 そう言ってグラスさんはシャーリーさんの肩を叩いて慰め、アンクルさんに視線を送った。


「それで、アンクル騎士団長殿、クロノ君の提案を受けますか?」

「……貴公等はそれで良いのか?」

「勿論。うちのリーダーが決めた事ですから」

「良かろう。騎士として一騎打ちを挑まれた以上逃げる訳にはいかぬ」

 そう言ってアンクルさんは一歩踏み出し、リリンさんとダムさんは当然のように後ろに下がった。


「ありがとよ、アンクルさん」

「礼を言われる事ではない」

 同じように一歩踏み出しながらお礼を言うクロノさんとアンクルさんの視線がぶつかる。

「う~……負けたら承知しないわよ~?」

「は、はい」

 グラスさんに連れられて下がるシャーリーさんはまだ恨み言を呟いていた。


 向かい合うアンクルさんがフランベルジュをクロノさんが大剣を同時に引き抜き、交差させる。


「「我が剣に賭けて誓う!! この戦いに信念を賭けるとっ!! その結末を勝敗に委ねるとっ!!」」


 2人の宣誓が闘技場に響き、一端2人が距離を取る。


「「いざ参らんっ!! PVP(プレイヤーバトル)っ!!」」


 その言葉と同時に動いたのはクロノさんだった。

 予選や一回戦と同じように全身から黒いオーラを噴き出して突進して行く。


「っ!?」


 が、アンクルさんにぶつかる直前で強引に急停止して横に飛び退いた。


「さすがに一騎打ちを挑むだけはある」


 涼しい顔のアンクルさん。

 一方クロノさんは頬に赤い線が浮き出ている。……切り裂かれたのかな?


「って、あれ?」

 なんでクロノさんの顔が見えてるんだろ? フルフェイスの兜は……あ、クロノさんと逆方向に落ちてる。

「黒騎士が衝突する瞬間、白騎士がカウンターで首を取りに行ったようだね。それに気付いた黒騎士がギリギリで躱したけど、躱しきれずに兜を跳ね飛ばされたようだ」

「なるほど、ありがとうございます」

 解説のシルフィードさんが教えてくれた。

 アンクルさんもクロノさんもシルフィードさんもすごい。


「やっぱすげーな! こんなすごい相手が居たなんて、俺わくわくしてきたっ!!」

「どこの戦闘民族だ君は」


 そう言って再び黒いオーラを噴き出して突進するクロノさん。

 これじゃさっきと同じ……と思ったら、アンクルさんの直前で再び急制動して横に縦に激しく動き回っている。

 その中心で油断なく立ち続けるアンクルさん。


 と、背後から切り付けるクロノさん、がその顔面に向かってアンクルさんのフランベルジュが伸びていく。

 クロノさんは攻撃をやめてリンボーダンスの体勢でフランベルジュを避けてそのままアンクルさんの前を滑って行った。


「こら~! クロノ君っ! 一対一を申し込んでおいて、やられっぱなしじゃないっ~!!」

「当然よっ! うちの団長は世界一なんだからっ!!」

 シャーリーさんの叫びに何故かリリンさんが応えている。


「いや、シャーリ姉ぇ、やっぱこいつすげーよ。つーかアレに反応出来るなんて本当に人間?」

「……むしろ今のカウンターを回避したり、黒いオーラを噴き出してる貴公が人間なのかと疑われるべきだろう?」

「違いないっ!」


 笑顔で応えたクロノさんが改めてアンクルさんの前に立つ。

 既にそこはお互いの剣が届く範囲内。


 今度はクロノさんは突進ではなく、最初の宣誓のように大剣を構えた後、アンクルさんに打ち込んでいった。

 当然アンクルさんもそれを払い捌き、切り返す。が、クロノさんは強引にアンクルさんのフランベルジュを受け止め、弾く。


 序盤のマタドールのような戦いから一転、激しい剣戟の応酬となった。


 普通に考えれば大剣のクロノさんがアンクルさんの剣速についていける訳がない。が、どんな筋力をしてるのか強引に大剣を振り回してアンクルさんの速度についていっている。

 むしろ大剣の威力で剣を折られないようにアンクルさんはクロノさんの攻撃を防ぐのに苦労してるようにすら見える。


 クロノさんの漆黒の大剣の暴力をアンクルさんの純白の細剣の技巧がいなす姿は舞踏のように美しく、観客を魅了していた。




「これはすごいな……」

 シルフィードさんが感嘆の声を上げた。

 それ程アンクルさんとクロノさんの戦いは綺麗だった。

「一対一って聞いた時は不安だったけど、決勝戦に相応しい戦いだなぁ」

 コテツさんも羨ましそうに試合を見ている。

変態騎士(アンクル・ウォルター)勝ちなさい、勝ちなさい、勝ちなさい、勝ちなさい、勝ちなさい……」

「黒騎士負けろ、黒騎士負けろ、黒騎士負けろ、黒騎士負けろ、黒騎士負けろ……」


 ……うん、2人はいいや。


 パワーは多分クロノさんが上、技術はアンクルさんが上、スピードは互角に見える。


 そう、あのアンクルさんとスピードが互角なのだ。

 一時的にとはいえ、アンクルさんに教えて貰っていたから知っている。


 アンクルさんの速度はおかしい。


 『速力』が高いのも理由なのだけど、固有スキル『先見』で相手の動きを読み、さらにプレイヤーの技術でアバターを最適に動かしている。

 だから実際に向かい合うと普通の10倍は速く感じる。


 その速度にクロノさんがついて行っているのだ。

 あのオーラの力なのか他の固有スキルなのかわからないけどそれは物凄い事だった。


「でもこのままじゃ白騎士の負けだね」


 2人の戦いを眺めながらシルフィードさんが予言めいた事を呟いた。

 僕にはそうは見えないけど……あ、でもアンクルさんが少し苦しそうにしてる?


 そうして見守っていると、少しづつ、本当に少しづつだけど、差が出てきていた。


 互角だった戦いは少しづつアンクルさんの防戦が増えるようになっていた。

 クロノさんが物凄い勢いでアンクルさんの技術に追いついてきているのだ。ただでさえ筋力で劣るアンクルさんは使える手札が少ない。

 クロノさんの大剣を受けるにも自分の武器を折られないようにする必要があるし、攻撃にしても半端な攻撃は金属鎧を通しにくい。

 そこに技術が詰まってきたら……。


 そしてその時は訪れる。


「ははっ! 楽しかったぜっ!!」 


 クロノさんの大剣がアンクルさんの脳天に振り下ろされた。







「奥義っ!! 武器破壊(ソードブレイカー)っ!!」

「なっ!?」


 振り下ろされたクロノさんの大剣は半ばから真っ二つに切断されて、ぼとりと剣先が墜ちる。


「奥義っ!!鎧破壊(アーマーブレイク)っ!!」


 呆然とするクロノさんに更にアンクルさんはフランベルジュを振るい、黒騎士の鎧を吹き飛ばした。


「……勝負ありましたね。降参しますか?」


 フランベルジュを構えてそう告げるアンクルさん。


「勿論……断るっ!!」

「その意気や良し。では私の剣で眠りなさい……奥義っ!音速突(マッハニードル)っ!!」


 アンクルさんの音速の突きがクロノさんののど元に吸い込まれていく。


 が、僕はその光景に嫌な予感が止まらなかった。

 アンクルさんが圧倒してるはずなのに、どうして……


「それをぉぉ! 待っていたぁっ!! 必殺っ! ぶきはかいぃぃ!!」

「なっ!?」


 そう叫んだクロノさんはアンクルさんのフランベルジュを両手で白刃取りし、へし折った。


「どっせぇぇぇいっっ!!」


 さらにアッパーカットをアンクルさんの顎に叩き込む。

 その一撃に一瞬身体を宙に浮かせ、そのまま後ろに倒れていく。


「アンクルさんっ!!」


 思わず僕は叫んでいた。


 叫んだ瞬間、アンクルさんが倒れかけた不自然な体勢でぴたりと止まる。


「え?」

 まさか聞こえたのかな? そんな訳ないか、観衆の歓声もすごかったし。


 と、アンクルさんの目がカっと見開く。

「我が剣は姫の為っ!! 我が勝利はぁぁ、姫のためぇぇ!!!」


 そう叫んで再び上体を起こしたアンクルさんが、今度はクロノさんに右ストレートを叩き込んだ。


「っふっざけんな、今ので決まりだろっ!!」


 クロノさんがフックを2連撃で叩き込む。


「誰がそのような事を決めましたっ! 私が倒れる時は勝利した時のみっ!!」


 それを躱してアンクルさんが無数のジャブを放つ。


「騎士が拳で戦うなんて聞いた事ねーよっ!!」


 跳び蹴りをするクロノさん。


「騎士とは心に剣を捧げる事だっ!! 捧げていれば武器は何でも構わないっ!!」


 回し蹴りからかかと落としを極めるアンクルさん。


「そんな騎士に負けねぇぇぇ!!」

「姫の為に私は負けないぃぃぃぃっ!!」


 お互い一発殴っては相手の攻撃を受け、避け、又殴る。

 クロノさんもアンクルさんも顔面を腫らして殴り合っている。


 えーと……なんだこれ?


「一気に泥臭い試合になったな。これはこれで面白い」

 シルフィードさんが堪らず笑い出す。

「こういうのも嫌いじゃないがね」

 コテツさんも同意してる。


 うん、僕も嫌いじゃないんだけど……さっきまでのあの凄いのの後だと……ねぇ……。

 これ、どうやって決着つくんだろ?





どうでもいい注釈。

クロノの『武器破壊』はアーツではなく、筋力で無理矢理です。

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