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ボクだけがデスゲーム!?  作者: ba
第四章 転職祭

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第67話 アイテムの価値。

「ユウちゃん、そろそろ時間じゃない?」

 ソニアさんの声に時計を見ると10時半を指している。確かにそろそろ動いた方が良いかな?


「えっと、じゃあちょっと僕抜けるんで、ごめんなさい、後お願いします」

「勿論、私達に任せてユウちゃんも料理コンテストがんばってね」

「ユウさん、ふぁいとっ!」


 応援してくれた2人にお礼を言って屋台の後ろから外に出る。

 それなりにお客さんが来てくれて盛況なだけに抜けるのは心苦しい。

 しかし料理コンテスト自体は1時までやっているとはいえ、早めに行って早めに済ませた方が良いと前もって相談していたのだ。

 これで上手くいけばランチ時間前には戻ってこれて3人で接客出来るはず。


「時間は無駄に出来ないし、さくっと終わらせなきゃねっ!」


 声に出して自分自身を奮起させて大通りを中央に向かって歩き始めた。


 さすがにお祭りだけあっていつもより人の数が多い気がする。プレイヤーは勿論、NPCの人も多く居る気がする。

 それにあちこちでPVP(プレイヤーバトル)フィールドが形成されて、戦闘が行われては歓声が上がっていた。

 確かに目の前で色んな職業の人がPVP(プレイヤーバトル)してるのを観戦して回れるってのは面白いなぁ……僕も時間があったら見てみたかったかも。


 そう思いつつ中央広場に来るといくつかの特設ステージと巨大な石碑が置かれていた。

 一つは『歌唱コンクール』で使う物っぽく楽器が置かれていて、演奏家の人達が練習なのかサービスなのか楽しげな音楽を流している。


 その反対側のステージが『料理コンテスト』用らしく、いくつかの厨房設備が並んでいた。

 それを確認して反対側に向かおうとすると、どうしても目に入る巨大石碑。


 と、石碑に書かれていた文字が光って変わるがの目に入る。

 見間違いかな?とよく見ると、それは石碑ではなく表示板のようだった。


――――――――――――――――――――――――――――――

PVP(プレイヤーバトル)トーナメント 予選順位>


1位 『悠久』        10戦10勝

2位 『まおまお』      25戦20勝

3位 『白薔薇騎士団』    20戦15勝

4位 『激震の風』      12戦9勝

5位 『クレイジーソルト』  10戦7勝

――――――――――――――――――――――――――――――


 白薔薇騎士団が3位に入ってる。アンクルさん達がんばってるんだなぁ……。

 僕から見たらアンクルさん達は1位でもおかしくないと思うけど、やっぱりもっと強い人はいっぱいいるんだなぁ……。


 マヤ達が順位に表示されてないのはまだ規定戦闘数に達してないのかな?

 結局露店に来てくれた後は見てないけど、どっかで戦っているんだろうか? 怪我してないといいなぁ……。


 と、僕は僕の事をがんばらなきゃだ。

 急いで終わらせればそれだけ早く露店に戻れて、ソニアさん達を助けられるしね、うん。




「ここから先は関係者以外立ち入り禁止ですよー?」

 『料理コンテスト』側のステージに登ろうとすると、ウサ耳でバニーガールな格好のお姉さんに呼び止められてしまった。

 ふわふわしたピンクの髪の上でぴこぴこと動くウサ耳。……もしかして自前なんだろうか?


「あ、えっと……僕もコンテスト参加者で……多分、関係者だと思うんだけど……」

 バニーガールなんて初めて見たから、何処を見て良いのかわからず、目が泳いでしまったけど、何とかそれだけ口にする。


「参加者? 君が? うーん……お名前はー?」

「あ、えっと、ユウです」

「ユウ……ユウ……あぁ、確かに居るね。……ようこそ! 『料理コンテスト』へっ!!」


 訝しがりながらも手元の紙でおそらく事前登録の参加者を確認したバニーさん、一転笑顔でステージへと導いてくれた。


「それじゃあー、向かって左側が厨房、右側が審査席だけどー、何か質問あるー?」

「あ、えっと、出来れば一通りお願いします」

「はいなー。でもそんな難しくないよ? 時間内に左側の厨房で料理をして右側の審査席に持って行くだけ。勿論厨房を使わなくても持ち込みでもおっけーだよー。此処で調理するなら置かれてる調理器具と食材はなんでも使っておっけー。ここまではおっけー?」

「あ、はい」


 それでもう審査席側に並んでる人がいっぱい居たのか。確かに料理を持ち込みで良いならすぐ出せるなぁ……。


「審査は『冒険者ギルド』『商人ギルド』『生産者ギルド』の3ギルドのギルドマスターがしてくれて、2人以上が『美味しい』って言ったら合格。表彰の可能性が出るの。逆に1人以下ならやりなおしねー」

「ふむふむ」

 結構審査厳しいんだなぁ……僕もお店のホットドッグを出せば良いかなと思ってたけどこれは難しいかもしれない……。

「あとは……基本的にギルドマスター達が食べる3人前で十分だけど余分に作ってくれたらその分は試食配布するからー、合格した料理ならその後の表彰の可能性がグンと上がってオススメねー」

「審査員だけで決まる訳でもないんですね」

「まず審査員の審査を突破しないとダメだけどねー。それじゃ、ユウちゃんもがんばってねー」

「ありがとうございますっ!」


 お礼を言ってとりあえず厨房側へ移動する。

 移動しながら横目で見ると審査待ちの皆さんや厨房で調理中の皆さんは結構豪華な料理を作ってる用に見える。

 やっぱりコンテストだし気合いの入れ方が違うんだろうなぁ……。


 うわっすごい、ドラゴンの肉とか置いてある! 魔球桃(ボールピーチ)ってなんだろう? AB海老って絶対悪ふざけで作った食材だと思う……。


 なんだか食材置き場は見た事のない食材のオンパレードだった。

 確かにこれを見たら使ってみたくなるのはわかる。


 あ、それに厨房もすごい、ハンドミキサーや圧力鍋、電子レンジまであるっ!?

 ホームは勿論、宿屋にもなかった最新調理器具だらけだ……『調理コンテスト』ってすごいなぁ……。


 でもこれだけあるんなら……。

 他のプレイヤーが作っている料理と、食材、あと調理器具を見て僕は料理を決定した。




 20分程で完成した料理を持って審査席に向かった僕は審査員の皆さんを前に全身が固まってしまっていた。

 一人目は仕立ての良いスーツを来て姿勢良く座っているのだけど、そのメガネの奥から恐ろしい目つきで僕を睨んでいる、目線を外した瞬間僕は殺されてそうな中年の男性。『氷の殺戮機械』とかそんな二つ名がありそう。席の前には『商人ギルド代表』と書いてある。

 二人目は着崩した服から豊満な色々がはみ出しそうな女性。見た目は色っぽいお姉さんで、笑顔なんだけど目が笑ってないように見える。こちらは『冒険者ギルド代表』と書かれていた。

 三人目は身体自体が一回り大きい、同じ人間? と思えるような筋骨隆々のスキンヘッドなオッサン。


 っていうかオッサンって生産者ギルドの受付に居た人じゃなかったっけ?

 此処に座ってるって事はこの人がギルドマスターだったのか……。


 今ならそう言われてもおかしくないと思う程、三人とも強烈な殺気というかオーラというか、何かわからない物をあふれ出している。


「――では次の料理人、42番『ユウ』さんでーす。料理をどうぞー」

 空気を読まない明るい声でバニーさんが僕を促した。

 僕としてはすぐに逃げ出したかったけど、今更そういう訳にもいかない。


 仕方なく持ってきた鍋からスープを三枚の皿に盛り、パンと一緒にそれぞれのテーブルに置く。

 黙ってスプーンを手に取り、口へと運ぶ3人。

 と、そのまま3人とも動きを止めてしまう。表情すら変えずに微動だにしない3人に、僕の心臓が早鐘を打つ。やっぱりダメだったんだろうか……?


 最初に口を開いたのはオッサンだった。

「……ユウ、こりゃ何だ?」

「あ、えっと……ポトフとパン、です」

 最初に逢った時と同じように睨まれただけで人を殺せそうな表情で尋ねてくるオッサン。


「そうじゃねぇ。なんでポトフなんだ? しかも使ってるのはソーセージ、ジャガイモ、玉葱、ニンジン。何処に出もある食材だ。食材置き場にゃもっと色々あったろうし、他にも作れる物あるだろう?」

「あ、えと……他の皆さんが、その……重そうな料理ばかりだったから、お昼からそんなのばかりは大変かなぁ……と思って……」

「へぇ……あたし達のお腹を気遣ってくれたんだぁ」


 あの怖い笑顔のまま僕を見つめる冒険者ギルドマスター。なんでだろう……すごく綺麗なのに、すごく怖い……。


「あ、いえ、えっと……気遣ったとか、そんな大層な事じゃなくて、あの……自分が、そういう時食べたい物って何かなぁ……って」


 恐怖を我慢しながら何とか説明しようと頑張る。

 けど、言ってみて自分でも思った。コンテストでポトフはさすがに無かったかもしれないと。

 圧力鍋があったから、すぐ作れるとつい調子に乗ってしまった。


「ユウ、と言ったか。君の言い分はわかった。私が聞きたいのは一つだけだ。この調味料は何処で手に入れた?」

「調味料?」


 表情と同じで氷のように感情のない声で僕を睨む商人ギルドのマスター。

 調味料も普通の物しか使ってないはずだけど……。


「そうだな、食材は普通の物しか使ってねぇのに、こんだけ美味いポトフが作れるのは確かに妙だ」

「本当ね、こんな美味しいポトフなら毎日でも食べたい位よ」

 そう言ってニヤっと笑うオッサン。冒険者ギルドのマスターもそれに続く。

 良かった、2人とも美味しいと思ってくれてたんだ。


「私の『鑑定』によるとこのポトフには間違いなく『魔皇女の雫(まこうじょのしずく)』が使われている」

「まこうじょ……って、あの幻の調味料?」

「そりゃSS級素材、いや、SS級レアアイテムじゃねーか」

「その通り。原液一滴なら数百万(アース)は下らないと言われる神の調味料。それがこのポトフ、そしてパンにも使われている。その事について説明して貰えるかな?」


 3人の審査員が何やら盛り上がってる中で、僕は僕でショックで追いつけないでいた。


 僕の固有スキルってそんなだったのっ!? というか、体液が料理に混じるって普通に考えたらダメなんじゃ!? むしろその事バレたらもしかして僕って体液搾り取られたりしちゃいかねないっ!?


 衝撃過ぎる内容に追いつけなかったお陰で、むしろ叫び出さなかった事は幸運だったかもしれない。

 僕の答えを待つ3人の審査員に気付いて、僕はなんとか、


「ひ、ひみつです」


 とだけ答えた。


 僕の答えにそれまで無表情だった商人ギルドのマスターさんの眉がぴくりと動いたけど、それ以上は何も言わず、冒険者ギルドのマスターもオッサンもそれ以上の追求はなく、判定となった。


「鑑定結果『料理』アイテムとしての価値は高くHPとAPの回復効果も見込める。よって合格」

「とっても美味しかったし、優しい味だったから合格」

「調味料は気になるが、全体的な食材は安価で入手しやすく、料理も親しみ安い。合格」


 全員が合格の札を上げてくれた。

 よかった……作り直しとかだと時間がかかってソニアさん達に迷惑をかける所だった。

 急いで戻ろうとする僕にオッサンが小声で


「すまんな、ギルドマスターとして依怙贔屓はできねぇんだ。合格おめでとう」


 と言ってくれた。

 僕も小声でオッサンにお礼を言ってステージから降りる。


「コンテストも終わったし急いで屋台に戻らなきゃ……」


 そう思い大通りを歩きながら、さっき商人ギルドマスターに言われた『僕の料理には必ず魔皇女の雫(まこうじょのしずく)が入っている』という言葉を思い出していた。


 今後料理作る時どうしよう……?





本編に関係ないルール


<PVPトーナメント予選>

・参加は3人一組。

・参加バッジを付ける事で予選参加。予選終了まで外す事は出来ない。

・最低10戦以上行う事でランキングに入り、勝率上位8名が本戦出場。

・勝率同率の場合は戦闘数が多い方が上位。

・勝率も戦闘数も同じ場合は、より『後に戦闘を行っていたチーム』が上位。

・戦闘を1度行った後10分のインターバルが設けられる。この間は戦闘を拒否出来る(しなくてもよい)。インターバル終了後は挑まれたら拒否出来ない。

・予選中、ログアウト又はホームの使用した場合、参加権利を失う。


こんな感じ。

ユウには関係ない話なので本編には出てきませんが。


見ててルールを悪用出来る事に気付いたので少し修正。


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