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ボクだけがデスゲーム!?  作者: ba
第四章 転職祭
63/211

第61話 タイムテーブル。

 翌日、僕は朝一番で冒険者ギルドへ向かった。

 週末が大変そうだけど、やっぱり情報が圧倒的に足りない。現代社会において情報を制する者が世界を制するという。情報収集こそが勝利への鍵なのだっ!


「あら、ユウさん。おはようございます。昨日は無理なお願いを聞いて頂き、ありがとうございます。今日は早いですね」

 そう言って出迎えてくれたのはソニアさん。

 普段着も可愛かったけど、制服姿で受け付けに座る姿もやっぱり素敵だ。高校生男子として制服姿の大人の女性というのは耐え難い魅力がある。


「ソニアさん、おはようございますっ! えっと、すみません、その件なんですが、週末の『転職祭』の事で詳しい事が聞きたくて」

「はい、了解しました。『転職祭』当日の露店出店についてで宜しいでしょうか?」

「はい! あ、えっと、あとかPVP(プレイヤーバトル)トーナメントと、歌唱コンクール、料理コンテストについてもお願いしますっ!」

「えっ?」

「……?」


 何故か笑顔が固まるソニアさん。

 何か変な事言ったかな? うん、言い間違いも言い忘れもないよね。


「ゆ、ユウちゃん、ダメよっ?! PVP(プレイヤーバトル)トーナメントは怖い冒険者が一杯参加して戦うイベントなのよっ!? ユウちゃんが出たら怪我しちゃうわっ!!」

 慌てたようにカウンターから上半身を飛び出してソニアさんが必死な顔で説得を始めた。


 そりゃ確かに僕がトーナメントに出るとか自分でも無謀だと思うけど、でもそこまで必死になる程僕ってソニアさんから見て弱そうに見えてるんだろうか……ちょっと哀しい。

 というかソニアさん、素に戻ってませんっ!?


「だ、大丈夫ですっ! トーナメントには出ましぇんよっ!? 知り合いの応援にいくらけですからっ!!」

「あ、なんだ。良かった……もう、驚かさないでください」

「ご、ごめんなさい……?」

 よくわからないけどとりあえず謝る。こういう時は男が謝る方が良いと聞いた事があるし。 


 座り直し、やっと落ち着いたのかソニアさんは再び笑顔に戻り、僕に質問を続けた。

「という事は他のイベントも見学を?」

「あ、いえ、他は全部参加予定です」

「…………全部?」

「はい……えっと……ダメ……かな?」

「そう……ねぇ……」


 資料を見返しながら何か考え込んでいるソニアさん。

 さっきみたいな凄い剣幕ではないけど、もしかして他のイベントの参加も何か問題あったのかな……?


「それじゃ『転職祭』当日に予定されているイベントを説明するわね……」

「は、はひっ、おねがいしましゅっ!」

 何やら真剣な顔になって一拍空けたソニアさんに此方も少し緊張して噛んでしまった。


「当日は露店の販売がおおよそ9時からになります。これはこの時間辺りに巡回しているギルド職員に当日の販売物を確認して頂いてからの販売開始になるからです。この確認作業を行う事で、今回のイベントとギルド御用達の認証を頂く事が出来ます」

「へぇ……じゃあ僕の今回の露店はそのギルド御用達なんですね」

「ええ、勿論。私がお願いしたんですから」

 真面目に説明してくれていたソニアさんが笑顔を見せてくれる。そのギャップがまた可愛い。


 でもソニアさんの推薦で、ギルド御用達って言われると何か中途半端な物は作れなくなってプレッシャーもあるような……。

 いや、まぁ、大丈夫……だよね……?


「露店自体はイベント終了の夜9時まで販売可能です。が、おそらく他の露店も最後までという所は少数かと思います。ただ、午前中で終了というのも困りますので、ある程度の量は用意してください」

「はひっ! わかりましゅた」


 で、でもどれだけ売れるかとかさっぱりわからないんだけど……あ、でも売れ残ったらアイテムウィンドウに入れておけばいいのかな?

 あぁでも何週間も同じメニューとかは流石にダメだよなぁ……うぅん……販売って難しそう……。


「次にPVP(プレイヤーバトル)トーナメントですが、3人一組で参加し、3対3のPVP(プレイヤーバトル)が行われます。朝10時より夕方4時まで予選が行われ、その後5時より特設闘技場にて本戦が行われます。」

「それじゃ一日中やってるのかぁ……大変そう」

「予選は参加バッジを付けたチームが街中のあらゆる場所でPVP(プレイヤーバトル)フィールドを形成して行うから、それを見せる意味合いもあるのよ。参加人数も最大で、一応目玉イベントだし。ただ最低限の戦闘回数をこなせば、あとは勝率で上位16チームが決勝進出だから本戦出場組なんかはある程度で切り上げと思うわ。」

「あ、こっちもずっとやってる訳じゃないんですね」

「予選最多バトルチームや、最多勝利チームなんかの本戦出場者以外にも特典があるから出来るだけ沢山戦う事も意味があるけどね」

「なるほど……」


 そう聞くとうずうずしてくるなぁ……。僕もPVP(プレイヤーバトル)って一度やってみたかったし……。


「ユウちゃんは参加しちゃ駄目よ?」

「は、はひっ」

 心を読まれたのか、笑顔だけど目だけ笑っていないソニアさんにざっくりと釘を刺されてしまった。


「次は歌唱コンクールね。これはお昼の1時から開始で4時終了予定。と言っても、基本的に参加者は自分の時間帯……持ち時間は5分程度みたいだけど、にステージでパフォーマンスを披露するだけだから、それ以外の時間は割合自由が効くと思う」

「良かった。じゃあ自分の出場時間を確認するだけで良いんですね」

「ええ。それで問題ない筈よ」


 コンクールって言ってるけど、どちらかというと文化祭とかの軽音ライブみたいな感じなのかな?

 まぁ素人の僕とかが参加してる時点でそういう感じになっちゃうのは当然かもだけど。

 ステージの上で羞恥プレイは嫌だなぁ……でもシェンカさんと約束しちゃったし、がんばれ僕っ!


「最後が料理コンテストね。これも11時から1時の間にステージで料理を作って審査員に提出するだけでOK。あと一般の方用に一口試食も作って貰うようだけど、その配布はギルド側で行うから安心して」

「あ、はい。じゃあただ料理を作りに行けば良いだけなんですね。良かった」

「ええ。ある意味一番地味なイベントかも知れないわね。あとは……1時から鍛冶師(ブラックスミス)最強武器決定戦とか、2時からファッションショーとか、3時からペットモンスター品評会とかが予定されている位かしら」

「な、なんだか色々やるんですね」

「それはもう『転職祭』ですから、様々な職業の方に参加して頂き、又その職業を他の方に知って頂くのが目的ですから」


 なるほど、それで普段あまり見向きされない『調理』や『歌唱』といったスキルの必要なイベントが用意されてるのかぁ……。

 シェンカさんの言っていた『歌唱』持ちの晴れの場、って言うのも強ち間違ってないんだなぁ……。

 最強武器決定戦とか、コテツさんも参加したそうだし。


「あれ? でも『ペットモンスター』なんて居ましたっけ?」

 街中でモンスターを連れてる人を見た記憶もないけど……。

「あぁ、それは転職祭から流民の皆さんも持てるようになるので、そのお披露目のイベントですね。今まで流民ではなれなかった職業『調教師(テイマー)』のみがモンスターを使役出来て、輸送等に活用されていたのですが、それ以外の職業の方でも使役できるようになるアイテムが完成したとかで」

「それは……興味あるかも」


 僕自身の戦闘力は殆ど無いけど巨大熊(ジャイアントベア)森狼(フォレストウルフ)に代わりに戦って貰えたらそれを補えるかもしれない。

 ペットに戦って貰って自分は後ろに居る……というのはどうかとも思うけど、大型獣を使役して戦うっていうのも格好いい。


「そうね、ユウさんには二尾猫(ツインテールキャット)一角兎(ホーンラビット)とか似合うと思います」

「そ、そうかな……?」

 うぅん……小型獣だといまいち格好良さが……あ、でも魔術師っぽく使い魔を連れてる風ならアリなのかな?


「あとは夜8時から各イベント入賞者の発表をして終了って流れね。それで、ユウさんの参加イベントをまとめると……こうなるんだけど……」

 最後にソニアさんがそう締め括り、一枚の紙を僕に手渡す。そこにはこう書かれていた。



――――――――――――――――――――――――――――――

・08時 露店設営

・09時 露店販売開始 ~販売終了まで

・10時 PVP(プレイヤーバトル)トーナメント予選開始 ~4時まで

・11時 料理コンテスト開始 ~1時まで

・01時 歌唱コンクール開始 ~4時まで

・05時 PVP(プレイヤーバトル)トーナメント本戦開始

・08時 イベント入賞者発表

――――――――――――――――――――――――――――――



 えっと……PVP(プレイヤーバトル)の予選は見に行けない、というか街全体で行われるそうだから除外して、料理コンテストは多分1時間位は拘束されるだろうし……歌唱コンクールも歌うのは5分だけど準備とか考えると30分は見た方が良いのかな……露店をしながらって事を考えると結構大変?


 ……というか露店を手伝ってくれるソニアさんとタニアちゃんにすごく迷惑がかかりそうな気がする……。


 その事実に気付いて恐る恐るソニアさんの方を伺う。

 と、目のあったソニアさんは微笑んで、


「露店を頼んだのは私ですから、ユウさんは自分のしたい事をしてくださいね。露店についてはタニアと全力で手伝いますから」


 と言った。

 気を遣ってくれているのがわかって余計に辛い。けど……ソニアさんとタニアちゃんの助けがなかったら多分どうにもならない気がする。


「ご、ごめんなしゃい、よろしくおねがいしましゅ……」


 そういって僕は頭を下げた。





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