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ボクだけがデスゲーム!?  作者: ba
第二章 一人ぼっちの冒険者
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第20話 修行の日々。

 満喫した休日から五日、僕が『セカンドアース』で目覚めて一週間目が経った。

 僕がログアウトする為の方法も、こうなった原因もさっぱりつかめなかった。


 父さんと母さんにはマヤが連絡してくれたらしい。二人とも心配性だから連絡出来て良かった。

 結局解決策は見つからなかったけど、その間僕は討伐クエストをがんばった。


 レベルが5に上がった事により、選べるモンスターの種類も増え、一角兎(ホーンラビット)幻影狸(ミラージュラクーン)古い苗木(エルダープラント)赤鴉(レッドクロウ)と戦った。

 赤鴉(レッドクロウ)古い苗木(エルダープラント)幻影狸(ミラージュラクーン)は戦略的撤退を余儀なくされたけど。


 だ、だって空を飛んでて攻撃届かないし、普通の木と見分けつかないし、惑わされて何処に居るかわからないし、どうしようもないじゃないかっ!!


 その度にマヤが本当に嬉しそうに笑っていた。くそう……。

 しかもクエスト失敗してソニアさんに迷惑をかけない為に最終的にマヤにお願いして討伐数をクリアして貰う事になったし……。


 結局一角兎(ホーンラビット)と戦う事に決まったのが4日前、そして毎日強敵一角兎(ホーンラビット)と激戦を繰り広げ、休憩時間にはタニアちゃんに教えて貰った薬草をこつこつ採取して、とうとうレベル7になり、所持金も1万6千(アース)程になった。

 そしてついに魔力以外の能力値が上がった! 知力+1だったけど。

 勿論待機スキルも出て来てない。あれぇ……?


 これも新しい武器『Lv17治癒の杖(スタッフオブヒール)』のお陰だろう。

 コテツさんに作って貰ったこの武器、前の木の棒より軽くて振り回しやすいのに堅くて攻撃力も高い。ゼリースライムを普通に叩いて倒せた時は衝撃だった。

 それでいて回復魔法の威力まで上がるのだからチート武器だ。


 ボクよりレベルの高い武器だから当たり前なんだろうか?

 そういえばマヤもだけど露店でもレベル10以上の武器って見た事ないような……。あれ?もしかしてこの武器って本当にレアアイテムなんだろうか?

 だとしたらそれを3万(アース)でってマズかったんじゃ……。でも今更確認できないしなぁ……。

 確認した所で僕に支払える訳でもないし、武器自体はもう中古だし……。


 うん、悩んでも仕方ないっ! 今後がんばってコテツさんに恩返ししよう! それがいいっ!


 その為にも今日のクエスト達成だ。一角兎(ホーンラビット)の討伐、目標30匹まであと14匹!!




「ユウってよく毎日毎日飽きもせず一角兎(ホーンラビット)と戦えるわよね。内職とか合ってるんじゃない?」

「僕はアウトドア派だよ!? 飽きてない訳でもないよ!?」

 いつものように僕が戦ってる姿を傍で座ってあごに手を当てて眺めていたマヤが呟いた。


 マヤはあまり楽しそうではない。最近気付いたけど、どうもマヤは僕が苦戦してると目を輝かせ、快勝するとがっかりしてるような気がする。

 かといって僕はマゾじゃないんだから苦戦はしたくない。痛いのイヤだし。


「でも確かにそろそろもう一つモンスターのランクをあげるべきだよなぁ……」

 一角兎(ホーンラビット)に一撃入れて距離を取り、改めてマヤに応える。

「そもそも一角兎(ホーンラビット)はユウのレベルの3ランク位下のモンスターだけどね」

「それは4日前に聞いたよ!? 一対一ならモンスターレベルとプレイヤーレベルは同じで適正なんだよ……ねっ?!」

 一角兎(ホーンラビット)突進を杖で受け止めて弾く。

「そうそう、森狼(フォレストウルフ)みたいに群れるタイプのモンスターの場合はモンスターレベルより数ランク上に考えなきゃダメだけどね」


「でも次のレベルって幻影狸(ミラージュラクーン)でしょ?アレって苦手なんだよなぁ……」

「ユウって面白いように幻に引っかかるわよね。見ててわざとかな? と首をかしげたわ。」

「そんな身体を張った事しないよ!?げふっ!」

 ツッコミいれた瞬間、一角兎(ホーンラビット)の突進を受けた。角がみぞおちをぐりぐりして痛いっ! 痛いっ!! 痛いっっ!!

 なんとか引きはがしてお腹に治癒(ヒール)を連打する。


「危ないわよ。戦いに集中しないと。」

「そう言いながらなんでそんな嬉しそうな顔してるのっ!?」

「見てて楽しいから」


 即答された。くそう、見世物じゃないのに。


 だいたい幻影狸(ミラージュラクーン)とは相性が悪いんだ。……奴等はエンカウントすると何匹にも分身して襲い掛かってきたり、逃げたりする恐るべき能力を持つ凶悪なモンスターだ。

 本体は一匹だってわかってても、それがわからないんだから分身を叩いてる間に攻撃を受けたり、逃げられたりする。

 分身叩いても分身が減る訳じゃないし。


「必殺! ユウスペシャル!!」


 一度突撃が決まって油断していたのか再度突進してきた一角兎(ホーンラビット)に見事なカウンターを食らわして勝利を飾る。

 僕を本気にさせた事は誇っていいよ一角兎(ホーンラビット)、でもそれが君の敗因さ。


「それで、マヤはどうやって幻影狸(ミラージュラクーン)の本体を見分けてるの?」

 幻影狸(ミラージュラクーン)に対して苦手意識を持つのは良くない。人間の優秀な所は学び成長する事だ。対策を学べば僕だって幻影狸(ミラージュラクーン)に勝てるはず。


「そうね、私なら……『危険感知』と『聴覚強化』でわかるわ」

「……どっちも持ってない僕は?」

「さあ……?」


 納得の答えだけど全く参考にならなかった。

 他のプレイヤーも何かしらの感知系スキルを持ってるんだろうか?

 一度見かけた魔法師(マジシャン)は範囲系の魔法でまとめて焼き払ってたし。


 ちなみに四日前、最初に幻影狸(ミラージュラクーン)に敗北した日にコテツさんにも同様の質問をしたら、


「ん? んー……勘?」


 と、もっと参考にならない答えだった。

 防御力的には一角兎(ホーンラビット)幻影狸(ミラージュラクーン)は大差ないっぽいから当たれば行けそうなんだけどなぁ……。

 むしろ攻撃力自体は一角兎(ホーンラビット)のが高いし。


 ん?そう考えれば幻影狸(ミラージュラクーン)の方が安全で美味しいモンスターかもしれない。

 明日からは幻影狸(ミラージュラクーン)をがんばってみようかな?


 今後の方針が決まり、辺りが赤く夕日に染まり始めた頃に、僕は何とか今日のノルマをクリアする事が出来た。




 冒険者ギルドに戻りソニアさんにクエストの報告をしてマヤと別れ1人帰路に着く。

 どのモンスターと戦ってレベル上げをするか? も重要な案件だけど、僕は今、もう一つの問題にも直面していた。


「ねぇ君、一緒に夕食を食べないか?勿論俺が奢るから」

「キミ初心者だよね、ウチのクランに来ない?初心者大歓迎の優しいクランだよ?」

「良い装備がある店があるんだけど一緒に行かね?」

「この花束を受け取ってくれないかい?」

侍祭(アコライト)たんの聖水を、く、く、くださいっ!」


 えとせとらえとせとら。最近街中を歩くと数メートルおきに声をかけられる。

 僕は男と食事をする趣味もはないし、何処かのクランに入る気もない、装備はコテツさんの所と決めてるし、男から花束を貰うなんて論外だ! 最後の奴は内容に関わらず気持ち悪かった。


 『セカンドアース』のプレイヤーはどうしてこんなに初心者への勧誘やらお誘いに熱心なんだろう?可愛い女の子にするならわからないでもないけど、男を誘って何が楽しいんだ。

 ……まさか僕が知らないだけでBL御用達なゲームとかって噂とかになってるんだろうか?

 こういう時情報掲示板とかWIKIが見れないのが悔やまれる。


 かといって話しかけてきた男性に「ホ○ですか?」とは聞けない。もし僕が男性に話しかけてそんな受け答えされたら死にたくなる。


 なんとか上手い方法ないのかなぁ……と人並を眺めながら歩いていると、頭まですっぽりとフードを被った人が何人かとすれ違った――。


 胡散臭い事この上ない。


 ああいう人と係わり合いにならずに済んでるだけマシなのかなぁ……声をかけてくる人はちゃんと話せばわかってくれる人ばかりだったし。安全第一だよな、うん。


 うん?


 振り返ってすれ違ったフードの人を見る。僕以外の人もやはり少し不審に思うのかあまり関わろうとしてないっぽい。


「これだっ!!」


 天才的閃き!! 悪魔の発想!! 声をかけられて面倒なら、声をかけられないような格好をすれば良かったんだ!!

 まさにコロンブスの厚焼き卵だ。我ながら天才策士のこの知能が恐ろしい。


 そうと決まれば善は急げ、コテツさんの露店に行こう!!

 コテツさんは縫製生産はしてないけど色んな装備の在庫を持ってるみたいだしあるといいなぁ……。



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