第0話 プロローグ
初小説初投稿です。お見苦しい点あるかもですがよろしくお願いします。
7月初旬、期末試験も終わり、後は夏休みを待つばかり。
僕の名前は神屋 優。何処にでもいる健全な高校二年生の男子。
背が低く細身で中性的な顔立ちのせいで中学生や、果ては女の子に間違えられたりもするけどそれでも日本に数百万人といる極々平凡な高校生の1人。
いつも通り学校に来て授業をうけ、呪文のような内容と眠気と戦い、疲れ果てて家に帰る、その繰り返し。
今も休み時間に教室で何をするともなく、いつも通りの時間を過ごす。
そう、今日この日までは。
今日からは違うのです、違うのですよ!!
今日の学校が終わって家に帰れば新しい時代の幕開けですよ!
朝から自然と笑みが零れます。それは仕方がない事でしょう!
勿論夏休みだからという訳ではない。夏休みまであと10日もある。今から夏休みに浮かれるような子供ではないのだ。
あぁ早く学校終わらないかなぁ……そうしたら……ふっふっふ……
「優、何1人でにやにや笑ってるの?」
そう言いつつ僕の顔をのぞき込んでくるショートヘアの女の子が1人。
彼女の名前は元 摩耶。
摩耶はクラスメイトで一応幼馴染みという間柄になる。
外見は……多分可愛いんだと思う。快活という言葉がよく似合い、いつも笑顔を絶やさない。
人当たりが良く、当然幼馴染みの僕にも何かと気安く話しかけてきたりする。
と言っても家が隣同士だったというだけで、子供の頃はさておき高校生にもなって男女で仲良しって訳でもない。
幼馴染みにありがちな寝起きイベントとか、一緒に登下校とか、お弁当を一緒にとか、淡い恋心なんて物も一切ない。
それでも幼馴染みは幼馴染み。仲のいい友達と言った所だろうか。
それはさておき
「よくぞ聞いてくれた! 特別に教えてあげよう!」
友達に話しかけられ、そろそろ自分の中だけに秘めておくのも限界だった僕は喜色満面で摩耶に応えた。
「今日、家にVRマシンと『セカンドアース』が届くんだ!」
「へー、おめでとう」
「感動薄くない!?」
「むしろ今時VRマシンを持ってない方が珍しかったし。よくおばさん達許してくれたねぇ。セカンドアースも来週位から始まる最新ゲームだっけ」
そういいつつ摩耶は僕の前の席に座った。じっくり話を聞くらしい。
「それはまぁ……そうなんだけど。この前の期末試験で何とか20位に入った事でやっと許して貰えたのさ!」
「あー……それで珍しくテスト勉強がんばってたんだ」
「がんばったよ! 生まれてから一番勉強したからね!!」
「うんうん、えらいえらい」
頭をなでるなっ、高校生男子の頭はそんな風に撫でて良いものじゃない。
そんな無粋な手はペシっと正義の鉄槌を!!
「もう……それで、どんなアバターにするつもりなの? セカンドアースは多様性が売りのファンタジーRPG系のMMOだと思ったけど」
振り払らおうとした僕の手を避けて摩耶が聞いてくる。
VRMMO『セカンドアース』、来週正式サービスが開始されるこのゲーム、よくある中世ファンタジー世界を舞台にしたゲームな訳だけど、リアルなビジュアルと多様な種族、職業、スキルが選択出来る。
と、宣伝で言ってた。
そして選べるのであれば僕のやる事は決まってる!
「勿論巨大な武器を振り回す、前衛で味方を守り、敵を屠る筋骨隆々なナイスガイの巨漢戦士さ!」
「えー、リアルではこんなちっこくて可愛いのに」
可愛い言うな、リアルで小さいから大きな男に憧れるんだ! ゲームは夢を叶える場所の筈だ!
「まぁゲームだし好きにすると良いけどね。私も購入予定だから、時間が合えば一緒に遊んだりしましょ。名前はいつも他のゲームで使ってるのそのまま『マヤ』にするつもり」
「良いよ。僕は『ユウ』かな? セカンドアースの大地で華麗に戦う重戦車の姿を見せてあげよう!」
「はいはい、慣れない事して泣いても作り直せるから大丈夫だよ」
「泣かないよ! 作り直さないよ!?」
前々から思っていたけど摩耶は僕をなんだと思ってるんだろう。
そんな無駄話をしてると教師が入ってきて授業が始まる。
又呪文のような内容と眠気と戦いながら僕はどんなアバターを作ろうか、どんな冒険をしようか、思いを馳せていた。