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うーざーはラムネ瓶の中  作者: スカート保存委員会
9/11

三匹のうーさー

ヘルド村に戻ると異変が。骨董市で扇の要である未来ある若者が姿を消す。

どうも新しく入村した者を巡ってのいざこざらしい。

ツー爺によればこれは決まりだから追いかけるな。深入りするなと。

まあ俺もそこまでバカじゃない。ただ狼の件もあるので。


狼と直接交渉第二弾。

「人間が悪いのは分かったからせめて謝罪してくれないか? 」

人間から仕掛けたからと頑な。しかしそいつがヘルド村の者とは限らない。

「嫌だね。俺だって狼を代表してる。こっちも一歩も引けない。倍返しだ! 」

時代遅れなことを言って団結してしまう狼たち。これは危険な兆候。


「嘘だろ…… 俺たちの仲じゃないか! 考え直してくれよ」

どうにか仲を取り持とうと努力するも逆効果。どんどん頑なになって行く。

「うーさー。夜道には気をつけな」

そう言って捨て台詞を吐く。

「待ってくれ! 」

だがもう反応がない。ここは諦めて村に戻るとしよう。


第二回目の交渉は決裂。

仕方なくトノサキとダーゲンと今後を話し合うことに。


「どうしようダーゲン? 」

トラブルと言えばダーゲン。彼に相談すれば間違いない。

「狼と交渉が決裂した? 夜道に気をつけろ? 

ははは…… 脅しに決まってるだろう? 

どうしてもってなら夜に出歩かなければいい」

意外にもまともな返しのダーゲン。さすがは修羅場を潜り抜けただけのことある。

「でも不安でよ」

らしくなく弱音を吐いてしまう。

「だったら俺の家に来いよ。いつでも歓迎するぜ」

そう言うと新居を紹介。いつの間に?

確か外れの方にポツンとだった気がするが俺たちが旅に出てる間に変わったのか?


「ここ? 」

新築物件を紹介される。俺もついでにどうかと。

どうせ居候してる身だろうからと。

確かにそうだ。ピッチクロックも金貨も銀貨もない。

ここにいる間は栗さん宅に居候させてもらっている。

栗さんは良い人だけど素振りに厳しいと言うかつき合わされるんだよな。

寝る前の素振りは最高だとさ。


「実はこれ森の妖精から超特急で。感謝の気持ちらしい」

そこには三つの新築物件があった。

買うと百万ピッチクロック以上するそう。

「ちょうどいいや。今日からお前はここで寝ろ! 」

村から離れたところにドドンと三軒。

森の妖精はやることが早い。ワイルドだぜ。


一つ目は藁の家。その隣が木の家で最後がコンクリートの家。

好きなのを選んでいいと言われたので適当に藁の家を選ぶ。

何だかお洒落な気がしたから。

木の家は温もりも感じられるが俺には合わない気が。

コンクリートの家はどうも圧迫感があって……

「本当にいいのか? 知らないぞ」

「いいって。これが俺にはちょうどいいのさ」

刹那に生きる俺にとって藁が一番しっくりくる。

ダーゲンも今夜から新居に引っ越すつもりらしい。

俺の家はダーゲンの隣。残る一軒はまだ入居者が決まってないと。

人気の物件なので奪い合いだ。夜には決まっているさとダーゲン。


とりあえず俺の新居で祝杯を挙げることにした。

「乾杯! 」

「新居に乾杯! 」

それぞれ好きなように飲むスタイル。

俺はワインでダーゲンは焼酎。

ツマミは当然ながら塩。村の近くの岩場で取れるそう。

うん。貧しい。何だか凄く貧しい。


「そうだ。腹ペコ魔人のタケでも呼ぼうぜ」

「やめとけって。もうすでに寝てるよ。早寝早起きが基本なのさ」

「ならアッキーは? 」

「ダメだって。疲れてるぜ。それよりもうーさーのポエムを頼むよ」

ダーゲンは期待してるらしい。でも俺はできれば封印したい。

残念だがお応えできない。


「お前凄いんだな」

ダーゲンがシュワシュワ国王に招かれるそう。

それが村中の噂になっている。

「おいおい煽てるなよ。俺なんかまだまださ」

謙遜してるが相当嬉しいんだろう。笑顔が弾ける。

いつも不愛想なダーゲンが笑顔。


「ツー爺も喜んでくれてさ」

「それはそうさ。大変名誉なことなんだろう? 」

祝いのポエムを贈りたいがもう卒業したからな。

「でもよ。俺迷ってるんだぜ。猫と離れたくないし」

何を言ってる? 旅でも猫も連れて行った。だったら国王のところにも同伴で。

「もったいないよ。俺応援するぜ」

「そうか…… でも猫を連れての謁見はできない」

「だったらその間は預かってもらえばいいさ」

「そうか。そうだな」


「へへへ…… 」

いい気持ちで酔っぱらってると辺りが騒がしくなる。

「どうしたんだようーさー? 」

「どうせ腹ペコ魔人のタケが騒いでるんだろう」

でもタケは早寝早起きだったっけ?

しかもこの様子だと一人や二人ではない。それどころか人間でさえない気もする。


「おいうーさー! どこにいやがる! この裏切り者が! 」

狼のリーダー。奴の命で夜襲を仕掛けて来た。とんでもない豹変ぶり。

やはり人間の肩を持ち過ぎたか? 

でもいくら真夜中のポエマーでも無理ってものだ。


こうして新しい家の周りにたいまつを持った狼が集結。

これでは逃げれない。

「おいうーさー! どこにいる? 」

三つの家まで限定したがどこかまでかは分からないらしい。

さすがにこれはまずい。大人しく籠ることに。そのうち諦めて帰るさ。

「ははは! 隠れたつもりらしいな。だがお前にこれは耐えられるかな」

脅しを掛ける狼。


「まずいようーさ! 」

「大丈夫。ここは大人しくしてるのがベストだ。炎上して堪るか」

ダーゲンは大人しく従ってくれた。

どうする? 奴らだってもう手も足も出ないはず。


「いいのかい真夜中のポエマー? 今はお前の時間だぞ! 」

明かに挑発行為だと分かるのにこの体が止まらない。

「聞かせてくれよ俺たちのうーさ! お前の声が聴きたいんだ! 」

狼は探っている。そしてもちろんふざけている。


♪オラオラ! テメーラフザケルナ! オレサマノコエキケ!

ナニカコンデル カランデル カゴンデール

ツケルナ ツケルナ オレノソウル ホノオボワット

カコムナ ツケルナ スルナ ヤルナ ゴーホーム ホームイン!


イエーイとダーゲンとハイタッチしたところで現実に戻される。

「ははは…… つい釣られて。封印したはずの夜のポエマーが…… 」

「おいおいそこじゃないだろう? もう居場所を察知された。

たいまつを投げ込んでくるぜ」

意外にも冷静なダーゲン。まだ刹那には生き切れてないな。

あれほど修羅場を潜り抜けたダーゲンが? 意外だ。


「投げ捨てろ! 」

一斉に投げ込む。躊躇と容赦がない狼軍団。

「逃げるぞ! 」

ダーゲンの後を追って隣の木の家へ。

温もりを感じられるがその前に熱さを感じられる。

今は木の香りや温もりよりもたいまつの焦げ臭さと熱さが勝る。

こうして木の家もすぐに燃え広がる。


「どうしよダーゲン? 」

「とにかく逃げるんだ! 」

三軒目はコンクリートだから多少はどうにかなる。


ドンドン

ドンドン

なぜか閉まってるので叩くと寝ぼけたトノサキに招き入れられる。

とりあえず危機的状況だしセーブしておくか。

セーブ完了。


ダンダン

ダンダン

「まずいよ。このままじゃここも危ない。どうにかしないと」

心配性のダーゲン。でもここでじっとしてても突破されるよな。

「なあトノサキ? 何かないか? 」

「だったらこれ」

大量のリンゴを寄越す。確かに何もないよりもいいがこれで反撃はさすがに無理。

とは言え投げるしかない。


「待って。これは食べ物だから」

そう言うとあっという間にリンゴを食い尽くす。

そしてリンゴでパワーアップを果たしたトノサキは巨大化し狼たちを追い払う。

「お助け! 」


こうして三軒の新築は一夜にして見るも無残な姿に。

それでも俺たちはどうにか絶体絶命の危機を逃れた。

リンゴパワーのユーティリティートノサキここに眠ると。

「おいおいもう寝てるぜこいつ」

「ダーゲンも寝ろっての! 」


結局俺たちは栗さんのところでお世話になることに。


                 続く

また来週!


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