最後の山賊
うーざーとヘルド村の混合部隊。
世界に散らばった最後の山賊を求め今日も元気に北上中。
土地勘があるからと栗さんに代わって銀爺が捜索に加わる。
「おいまだかよ? いい加減疲れたぜ」
「そうだそうだ! 」
ダーゲンと文句を言うが肝心の銀爺の反応が薄い。
銀爺は物静かで反応してるんだかしてないんだか。
アッキーも腹ペコ魔人のタケもタフな長距離移動に音を上げたのか大人しい。
「ははは…… 若いのう」
銀爺はマイペースだ。何を考えてるのか読めない。
「うんうん」
口をもぐもぐさせて答えるタケ。
「おい何を食べてるんだよタケ? 自分だけずるいぞ」
つい一人でこっそり食べるタケが気になった。
アイスクリームを舐めて本当に呑気なんだから。
名物のグリーンアイス。美味しそうだがさすがに今は寒くて堪らない。
「よしここだここだ」
銀爺の案内で今のところ順調そのもの。銀爺は何度も来たことがあるらしい。
ベテランでその上経験者なら捜索もスムーズに行くだろう。
そろそろ目的地かな?
「よしここだ。ここからは船に乗るぞ」
「うへ…… まだあるの? 」
ダーゲンは相変わらず正直者だ。正直者過ぎて銀爺に睨まれるほど。
「我慢しろ! ここからはあっという間だ」
船に乗って一時間ついに見えて来た。
「ここは? 」
「ノースドイースティアンさ」
間もなく到着と言うところで邪魔が入る。
ガーディアンの騎士が現れた。
どうやらこいつを倒さないと上陸させてくれないらしい。面倒だな。
しかしどうやって? とりあえずポエムで勝負してみるか。
♪オイ ソコノワカイノ ギンジイダマッテナイ
コイ イケ コイコイ イケイケ イッチマエ
イエイ! ナイト キシ キシ ラク二イコウゼ
オレタチ ラクニラクニ テンテンテン ゼロ!
どうも最近切れが悪くて直接的過ぎるんだよな。
ちっとも納得がいかない。これでは夜のポエマー失格か。
ガーディアンの騎士もダメージを受けてる様子はない。
仕方ない。ここは強行突破だ。ゆっくりしてられないからな。
岸に着きようやく船は動きを止める。
霧が掛かったと思ったらガーディアンの騎士は姿を消していた。
それでは心置きなく上陸するとしよう。
「これはこれはお客さんかい? よく来たね」
ひょろっとした男の歓迎を受ける。
「あなたは? 」
「コーディネーター兼シーサイドアドバイザーのキャッシーです」
キャッシーはベテランの案内人。この辺りで彼の右に出る者はいないそう。
さっそく例の山賊探しを依頼する。
「どう? 」
「はいはい。お任せください。その方でしたらお住まいは把握しておりますから」
今回はトラブルもなく簡単に発見できそうだ。
キャッシーの案内でお屋敷へ。その男はこの辺の顔で人気も高く評判も上々。
ドンドン
ドンドン
ずっとノックをしているのにまったく反応がない。留守なのか?
「もううるさいな! 」
隣の家の者が騒ぎ始めた。
「ここはネローワンさん宅だろう? 」
「それだったら何年も前に引っ越したよ。どこ行ったか? 知らないね! 」
不機嫌な隣人。とても隠してるようには見えない。
「ちょっとあんた! 本当に知らないのか? 」
張り切ってるのはダーゲンでもなければアッキーでもない。銀爺が必死だ。
「知るかよ! 」
意外にも居所が掴めずに捜索は難航する。たまにはこう言うこともある。
「では失礼して案内を続けます」
キャッシーには心当たりがあるらしい。
「こちらがかの有名なミッキー。どうです? 」
キャッシーは諦めたのか有名人を紹介し始める。
「違えよ! 俺たちはネローワンを探してるんだって言ってるだろう? 」
ついダーゲンがキレ出す。早くしろと非情だ。俺も同じ考えではあるが。
「彼もある意味ネローワンですよ」
どうもネローワンは一人じゃないらしい。
「いいから連れて行ってくれって! 」
ダーゲンは限界だとドンドン口が悪くなる。
「ではこちらなど」
大きな公園にネローワンがいるそう。もう当てにならなくなってきたぞ。
一応それらしき男を発見。しかし求めていた最後の山賊には程遠い見た目。
これは絶対違うだろう? でも一応念の為に銀爺が確認する。
「そうかもしれん…… 」
何と追い求めていた最後の山賊はどうやら彼だそう。面影があると。本当か?
銀爺は栗さんたち同様素顔を知る貴重な人物。タケもだが当てにならないからな。
縁が深いので同行してもらった。その銀爺がそうだと言うのだから間違いない。
しかし男は演技してるのかまったくその雰囲気を漂わせない。
「どうしたそこの者? 悩みならば聞いてやるぞ」
ネローワンらしき人物は公園で人生相談に乗る。これは明らかに違うだろう。
完全な人違い。どう考えても偽物だ。しかし銀爺だけでなくタケまで反応する。
「おい戻って来てくれないか? 」
銀爺が交渉する。しかしそう簡単にはいかないのが山賊。
「悪いな。もうお前たちとは別れたんだ。今更戻れるはずないだろう」
きっぱりと断られる。これは想定外。仕方ない。ここは実力行使で行くか。
「よし大食い対決だ! 」
何とついにタケがベールを脱ぐ。そしてその実力を遺憾なく発揮する。
シンプルにライス対決。制限時間三十分一本勝負。
うおおお!
得意のライス食い放題でがっつく腹ペコ魔人のタケ。
ネローワンも負けじと二杯目完食。
しかしおかずもなくライスのみと言うこともあって徐々に差が開いて行く。
「タケ行け! 」
つい興奮して我を忘れるほど。そう言えば俺って結局誰なんだっけ?
ここでタイムオーバー。
まだ一心不乱に食べ続けているタケの圧勝。
ネローワンもおかずなしに五杯完食したので実力は本物。
「おいタケ! いつまで食べてるんだよ」
十杯超えてもまだ食べているその衰えない食欲。
「おかわり! 」
ダメだこれは。すべて食い尽くすまで止まりそうにない。
仕方ないのでタケは放っておこう。
続く
また来週!




