表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

ゆれる論理、ふくらむ感情(前編)


その日も、壇上には堂々と一ノ瀬 澄が立っていた。

前回の逆転劇で、観客たちの記憶に深く刻まれた彼女。


「胸の大きさが美しさを決めるものではありません。

 “あること”より“どうあるか”こそが、私たちの本質です。」


そう言って、彼女は──自らの制服の前を、再び開いた。


「これが、私の──」


言いかけて、彼女は言葉を止めた。


自分の胸元を見て、目を見開いた。

まな板のはずのそこが──ふくらんでいる。


制服の中から、

確かに、双丘が主張を始めていた。


「え……? な、なにこれ……?」


ふくよかな膨らみ。

震えるように揺れ、明らかに重みを帯びた存在。


観客がどよめいた。ミライすら、口を半開きにして見つめていた。


(落ち着いて、これは何かの幻覚……)


澄は強引に続きを話し始める。


「この……私の……えっと、その、変化は関係ありません……!

 胸のサイズなど、論点では──」


その瞬間、制服のボタンが「ぷちっ」と弾け飛んだ。


観客「うおおおおおおおお!?!?」


顔を真っ赤にした澄。

思わず胸を押さえてうずくまる。


(……重い。すごく重い。でも……)


ふと、思った。


(……やわらかい……温かい……気持ちいい……)


ミライがゆっくり近づいてきた。


「……ねぇ、澄。正直なところ、嬉しいんじゃない?」


「う、嬉しくなんて……っ! 私は……貧乳の誇りを……!」


震える声。だが、

両腕で胸を支えるその仕草は、どこか名残惜しげだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ