最終話:世界受精(グローバル・オーガズム)
時は流れ、世界遺産“Futanari Mount Kujou”が登録されてから一年。
その偉大なるシンボルは、相変わらず空高く聳え立ち、
鳥たちの巣となり、観光客の祈りの対象となっていた。
だが──
異変が起きた。
九条の“それ”が、静かになったのだ。
花も咲かず、香りも薄れ、
時折、低く唸るように振動するだけ。
「……このままだと、“滞る”わ。地球に。」
ミライが静かに呟いた。
澄「つまり……あれは……今、“出したがってる”ってこと……?」
長谷川「今発射されたら、マジで台風クラスだけど……」
ミライは、そっと九条の手を握った。
「ねえ、私たちが、力になってあげたい。
これはもう、ただの放出じゃない。世界を救う“解放”よ。」
そして始まった、百合三人による、解放の儀。
澄は、真剣な眼差しでその根元を見つめ、
長谷川は、丁寧に尻圧でリズムを刻み、
ミライは、巨乳の包容でその偉業を支えた。
大地が震える。空がうねる。
九条はうめくように言った。
「だめだ……もう、抑えきれな……いッ!!」
そしてついに、それは訪れた。
ゴォォオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!
それは爆発ではなかった。解放。
空を突き抜け、雲を割り、
世界中へ放たれた白銀の光は、ただの精ではなかった。
それは“可能性”だった。
アマゾンの森に降り注いだ光が、
瞬く間に枯れた木々を蘇らせた。
アフリカの砂漠に落ちたそれが、
一晩で湖を生み出した。
人々の心に落ちた粒が、
争いを止め、手を取り合う奇跡を生んだ。
ニュースキャスターは震える声で伝えた。
「今……地球が……
ふたなりから、愛されている……!!」
その夜。九条は、そっと呟いた。
「ありがとう、みんな。
私の中に溜まっていた“未放の愛”を、
君たちが世界に変えてくれた……」
ミライが微笑む。
「出すべきものは、抱え込んじゃだめよ。
みんなで、出そう。愛も、快楽も。」
こうして世界は、ふたなりの“発射”によって再生し、
人類は、愛と創造を胸に生き直すことを選んだ。
それはただの快楽ではない。
命のスイッチを、世界中に入れる奇跡。
今、君が呼吸しているその空気も──
もしかしたら、あの日の“光”の欠片かもしれない。
完