故郷で
天地も悪も 聖なるものも
類まれな力も 選ばれた強さも
神々しく この世のものではない美しさも
抗えない 絶対的な恐怖の姿も
僕には 少し距離が遠いんだ
世界を救う道を進むあなたに
僕が出来ることは ほんの少し
だけど
それしか出来なくても
僕は僕の出来ることを
あなたが いつ帰ってきても良いように
火を絶やさない暖炉と
空腹を幸せに満たす食事を
毎日 用意しています
僕は 勇者にも 伝説の剣士にもなれない
僕は 壮絶な魔法も使えない
僕は 空も飛べないし 泳げもしないから
あなたが 戻ってきた時に
安心して 笑顔で 寛げる場所を用意しています
砂漠も大海も 異空間も
失われた謎も 蘇る古代の怨霊も
勇敢な心に 導かれる神秘の扉も
血と痛みの 生死をかけた一線も
僕には いつも現実味がない
僕とは 無関係みたいに 遠い話
全てを守るため 命がけで駆け抜けるあなたに
僕が役に立つことは ちょっとしかない
だけど
それしかなくたって
僕は僕の 心からの想いで
あなたが 今 その戸口を潜っても良いように
清潔な寝床と着替えを
懐かしい いつも食べていた料理を
毎日 僕は用意します
僕は 賢者にも 示唆を渡す声にもなれない
僕は 一瞬で癒す魔法も使えない
僕は 知識もないし 世間も知らないから
あなたが 戻ってきた時に
自分に何ができるだろうと 考えて
僕はあなたをいつでも 迎える用意をすることにしました
あなたの力になれることがあるとしたら
それくらいです でもちょっとは大事だと思います
長い旅から帰ってくる 居場所があなたにあります
いつか 『ただいま』 を言う相手が
いつか 『おかえりなさい』 と答える相手が
ここにずっと 待っていること
ちゃんと ずっと 毎日 ここにいます
だからいつでも いつ戻ってきても大丈夫
いつだって僕は 喜んで
今すぐだとしたって 僕は準備万端で
美味しい いつもの食事と暖かい部屋を
用意しています
特別には 絶対なれないけれど
あなたの 『ただいま』を 受け止めることは出来ます
『よく帰ってきてくれました』と
抱きしめて喜ぶことは出来ます
いつでも 僕はあなたを待っています