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今日まで、そして明日から

「ルミ、そっち終わった? あら、懐かしい写真ね」


 荷物の片付けをしていた筈のルミが、一枚の写真を眺めていた。

 そこには、思い思いのポーズを取った6人の女子高生が写っている。


「うん、入学式で撮ったやつ。

 いや〜どっか行っちゃったと思ってたけど、こんな所に有ったよ」


 文庫本をパタパタさせながら言うルミ。


「あんた写真を栞にするってどうなの?

 しかも忘れてるって……」


「あはは〜そう言うケイコはどうなの?

 写真、まだ持ってる?」


「当たり前でしょ、きちんとアルバムに入れて有るわよ」


「あれから10年か……みんな元気かな〜久しぶりに会いたいね!」


「難しいんじゃない? 前やった同窓会にだって来なかったじゃない」


「チエはどうしたんだっけ?」


「高校卒業して直ぐ結婚したわ。

 デキ婚だって」


「うわ〜大人しい子だったのにね。

 ルイは?」


「確か外資系に就職して、今は海外勤務だったはずよ?」


「あ〜頭良かったもんね。

 トモコは?」


「あんた自分で覚えてないの? あんなに仲良かったのに。

 トモコは自分で会社起こして今や社長様よ」


「そうだった! 私も一緒に働かないかって誘われて断ったんだっけ」


「何で断ったの? 勿体無い」


「いや〜会社が県外で遠かったもんで」


「そんな事で断ったの?」


「そんな事って! 私には大事な事だよ。

 ケイコと離れ離れになっちゃうの嫌だったし……」


「はいはい、後は……ヒトミね」


「ヒトミは覚えてるよ。

 まだ彼が目覚めるの待ってるんだよね?」

 

「うん、事故にあって、意識不明の彼が目覚めるのをずっと待ってる。

 わざわざ彼が入院してる病院の近くに就職までして」


「一途だね……」


「さあ、お喋りは終わり!

 さっさと片付けないと引っ越し屋さん来ちゃうよ!」


「ケイコは終わったの?」


「私はとっくよ。

 前々から言っておいたのに、何で当日にまだ片付けしてるんだか」


「え〜じゃあ手伝ってよ〜」


「もー、ほらどんどん箱に詰めて!

 手を休めない!」


「ひ〜……」


 私とルミは、住み慣れたアパートを引き払い今日引っ越す。


 今までは、ただに同居人だったけど、明日からは違う。

 同姓パートナーシップ制度の有る地域に引っ越す事にしたからだ。


 つまり私達は、そう言う間柄なのだ。


 私達のような関係に、世間はまだ理解を示さない。

 

 でも私はルミを愛しているし、ルミも同じ気持ち。


 だから私達は2人で生きて行く。


 今日までも、そして明日からも。

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