調査部隊
ユ「ふー食った食った」
タ「まじで美味かったなぁ」
一瞬元の世界にいたかのような感覚だった
あまりのご飯の美味しさに涙が出るかと思った
それくらい元の世界のことが好きだったのだと感じていた
このまま何も起こらず終わって欲しい、そう願うだけだった
そう思った矢先、再びあのサイレンが鳴った
不気味なサイレンが基地に響き渡る、それと同時にアナウンスが入る
『参謀長官ユウヤ元帥並びに航空幕僚長タケヒロ様至急指令本部までお願いします。シュウキ元帥閣下もご同行願います。ハルト中将は第11兵舎においてお呼び出しがございます。至急よろしくお願いします。』
「別行動か」
ユ「なんやろな、まぁとにかく頑張れよハルト。俺らも頑張るから」
タ「ほな〜」
シ「あとでな」
「うーす」
そう言って皆は司令部の方に歩き出した
「第11兵舎って、俺の作った従者のたちの兵舎だよな」
従者というプレイヤーそれぞれが自分のサポート役としてメイキングから作り上げることができるソロプレイヤーには嬉しいNPCのことだ
それはともかく
確かに俺は司令部にいてもあまりやることはないし補給部隊を運用するくらいしか指示したことがない。
攻撃戦や戦略においてはほとんどユウヤやタケヒロ任せだ
そう色々んことを考えながら歩いていると第11兵舎に着いた
「同志中将〜!」
そう俺のことを読んだのは補給部隊の連中だった
隊列を組んで、緑子少尉の後ろに並んでいた
「んでなんや俺に用とは」
緑子少尉「は!ただ今ヒトキューマルマルをもって第1、第2、第3補給隊の準備が整いました!」
「そんな命令出してないで」
緑「?中将閣下の指揮のもと補給隊を調査班として編成し、基地周辺の地理状況の調査をハルト中将指揮のもと行えとユウヤ元帥より通達がありました。」
「ユウヤが?ちょっと待ってな、通信回線で聞くわ」
緑「了解であります!」
ピピッ
「おいユウヤ、調査班編成ってなんやねん、聞いてないぞ」
ユ「ワリィワリィ、言うつもりやったんやけど、予定より早く招集がかかったから言い逃したんや。」
「あーなるほど了解した。通信切るで」
ユ「おう」
ピピッ
「了解したわ、部隊編成はもう決まってるんやんな?」
緑「その通りであります!」
「ほな、行きますか」
緑「は」
調査のための装備一式を持って基地を出る
俺の部隊の連中は魔法使いと、シーカーという二双剣の連中を7:3で構成している
シーカーの連中は足が速いので先行させて、先に外の世界を見てこいと言った
この世界に来て初めての外部との接触
不安の方が遥に大きく、何が起こるかわからない状況は緊張という感情すら生温く感じた
正門から出てすぐに俺たちの基地がどんな場所にあるか分かった
広大な山、森、木に囲まれた場所に俺たちの基地はあった
「これは目立ちすぎるな」
戦略的にもこれだけ目立つ建物が山の中にあるのはよくない
「いっそのこと上位魔法で道でも作るかw」
ツバキ「同志中将、それは良くないかと」
カスミに似た少女が俺にそう言ってきた
「言いたいことはわかる、別の勢力に気付かせることになるからやろ。流石に冗談や」
ツバキ「は」
運送とかのための道は後々のためにも作っておきたい
どうしても補給路の確保を焦って考えてしまうのは俺の悪い癖だ
ツ「了解、同志中将。」
「ん、なんや」
先ほどの少女が話しかけてきた
ツ「佐々木中尉が、人工物らしき物を発見したと。そして人影のような者がそこに入っていくようなところも」
「中尉のところまで行こう、中尉はその場で待機。第3部隊にも集まるように言っといてくれ」
ツ「了解」
「ユウヤたちに報告せなあかんな…」
夜の空に、砂のように輝く星たちを見ながら、この先どうなるのだろうと一人心の中で考えていた