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四大美女と完璧イケメンとその親友  作者: 星宮 誠二
一学期
9/82

喫茶店でほのぼの(後編)

「おぉ~~。」「「わぁ~~。」」

注文されたのを運んでくると3人は会話をやめ目を輝かせた。


「お待たせいたしました、ご注文のオムライスとチーズケーキとショートケーキでございます。」

俺はケーキの形を崩さないように慎重にトレーからテーブルに移した。


(うん、我ながら良い出来だ。)

俺は心の中でケーキの出来を評価した。すぐ真横では雪奈さんが淳の前にオムライスを置いていた。


「それとこちらはサービスでございます。」

料理を渡し終わった後に追加のカフェオレと紅茶2つをテーブルに置いた。


「翔斗にもこれ。」

雪奈さんが先ほどまで俺が座っていた椅子の前にブラックコーヒーを置いた。


「あなたも少し休みなさい。」

そう言って、雪奈さんは厨房のほうに戻って行った。


「ほら、雪奈さんも言ってるんだし座れば?」

どうしたものかと、立っている俺に澪が声をかけてきた。よく見ると、3人はまだ食事に手をつけないで俺を見ていた。多分、待ってくれていたのだろう。言われたとおり俺は席についた。


「「「じゃあ、いただきます。」」」

3人は俺を見ながらそう言った。


「あぁ。」

俺はなんだか恥ずかしくて短く答えた。


「うまいっ!」「「美味しいっ!」」

一口食べると、3人は声を合わせて興奮した様子で言った。


「美味しい・・・。」

高崎は予想以上の美味しさだったのか手を口にあて、呆然としていた。


「やっぱりここのオムライスはうまいなぁ。」

淳はスプーンでオムライスを口にかき込みながら感想を言った。


「知ってる?舞ちゃん。このケーキ翔斗君が作ったんだよ?」


「えっ!?」

澪がネタ晴らしをすると高崎は今日一番の驚きを見せた。


「だよね?」

澪が俺にアイコンタクトをしてきた。


「あぁ、確かにそのケーキは俺が作った。オムライスは雪奈さんが作ったけどな。」


「うんめぇ~。」

淳は未だにオムライスをかき込んでいる。よく見ると、オムライスはもう半分まで減っていた。


「すげぇ食欲だな。」


「まぁ、これでもサッカー部だからね。」

俺が呟くと、淳はなぜか自慢げに答えた。


「そういえば、この紅茶はなに?」

澪が忘れてたと言わんばかりの声で聞いてきた。


「ん?さっきも言ったがそれは俺からのサービスだ。」


「そっか、ありがと。」


「どういたしまして。」

俺が答えると澪はそっとはにかんでお礼を言った。


「このケーキお店のより美味しい。」

高崎がケーキを食べる手を止めて呟いた。


「まぁ、このレベルのケーキを作れるようになるのに半年以上かかったからな。」

高崎の呟きに俺は淡々と答えた。


「それならこの味も納得だね。本当に美味しいよ、田宮君。」


「そりゃ、よかったよ。」

その後も、雑談しながら食事は進んでいった。


「またのご来店をお待ちしています。」

そんな雪奈さんの声を傍目に喫茶店を出ると、すっかり日が暮れていて辺りは暗くなっていた。


「すっかり遅くなっちゃたね。」

澪が星が綺麗に輝いている空を見ながら呟く。


「高崎さんの家ってどの方面?」

すると、唐突に淳がそんなことを高崎に聞いた。


「私は1丁目のほうだよ。」

淳に家を聞いてもらえるのがうれしいのか高崎は笑顔で答えた。


「僕たちと正反対なのか・・・。」

淳は白々しく悩み顔を浮かべながらチラチラ俺に視線を向けてくる。


「そうだ、翔斗君が送ってあげればいいんじゃないかな?」

澪もそれに悪乗りしてきた。


「えっ?」

高崎は何がなんだか分からないのか混乱している。


「面倒臭いから断る。」

だが、そんな面倒なことを受けるほど俺は優しくない。何故なら・・・


my天使エンジェルに会う時間が少なくなるからな!)

シスコンここに極まれり、であった。


「でも、暗い中可愛い女の子を一人で帰らせるって言うのもどうかと思うけど?」

淳は悪巧みをやめようとしない。


「それなら、お前が送ればいいだろうが。」

俺はぶっきらぼうに反論する。


「僕は翔斗みたいに強くないから無理だよ。」


「だとしても嫌だ。」


「む~~。」


「そんなに見つめても嫌なもんは嫌だからな。」

淳は俺を見つめながら唸ってくるが、そんなのでほだされるほど俺は甘くはない。


「はぁ、この手だけは使いたくなかったんだけどな・・・。澪さん!よろしくお願いします!」


「うん、分かったよ。」

淳が澪に頼むと、澪はあっさり了承した。俺はそれが何のことなのかよく分からなかった。


「翔斗君、お願い。舞ちゃんを家まで送ってあげてくれないかな。」

澪は上目遣いで俺にお願いしてきた。


「うっ!」

その可愛らしい仕草に俺は言い返すことができない。


「舞ちゃんが安全に帰れないと私も気が休まらないよ。」


「・・・。」

澪は尚も話を続ける。対する俺は無言。


「お願いだよ、翔斗君。」


「・・・はぁ、分かったよ。送ればいいんだろ、送れば。」

俺が渋々了承すると澪と淳はガッツポーズをした。


「その~、私は大丈夫だよ?」

淳の『可愛い女の子』という一言でフリーズしていた高崎が口を挟んできた。


「駄目だよ、暗い道を女の子が一人で歩くのはすごく怖いんだから。」

澪は真剣な声で高崎を注意した。


「で、でも・・・。」

高崎の視線は俺に向いていた。おそらく、俺が嫌々やると思っているのだろう。


「別に気なんか使わなくていいぞ。」


「じゃあ、お願いしてもいいかな?」


「あぁ。」

俺が家まで送ることを了承すると高崎は暗かった表情を明るくした。おそらく怖かったのだろうか。


「「じゃあ、また明日。」」

そう言い、手を振りながら淳と澪は帰っていった。


「じゃあ、俺たちも行こうか。」


「うん。」

俺が歩き出すと、その後ろに高崎さんがついてくる。隣に並んで歩くことなんて事はしなかった。



「私の家はここだよ。」

10分ほど歩くと高崎の家の着いた。


「そうか、淳じゃなくて悪かったな。」


「そんな、送ってくれただけでもうれしいよ。」

高崎の表情は暗くてよく見えないが、感謝してくれているのは分かった。


「それじゃあ、俺は帰るから。」


「あっ、待って!」

俺が家に帰ろうと足を踏み出そうとすると高崎に呼び止められた。


「・・・なんだ?」


「今度、話があるんだけどいいかな。」

その言葉を発したときにちょうど街灯がついたお陰で今度は高崎の顔がしっかり見えた。その表情は真剣そのものだった。


「あぁ、いいぞ。」


「それじゃあ、また明日!送ってくれてありがとう!」

そう言って高崎は家の中に入っていった。俺も早く家に帰るべく歩くスピードを速めた。

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