四大美女と完璧イケメンとその親友
「やぁ、翔斗。聞いたよ、高崎さんになんか宣言されちゃったらしいね。」
何時も通りに登校するなり淳は意地の悪い笑顔を浮かべながら俺のところにやってきた。
「何でもう知ってるんだよ。」
俺はジト目で見つめ返す。
「澪から聞いた。」
俺の質問に澪はあっさり答えた。
「ったくあいつは。」
「呼んだ?」
そんな話をしていると、澪が淳の後ろからひょっこり顔を出してきた。
「呼んでない。」
俺は話を拡散された腹いせに適当に返答する。
「酷いなぁ~。」
しかし、澪が気にした様子はない。
「何々ー、三人してなに話してるの?」
そこに、隣のクラスから舞がやってきた。
「「「何でもない。」」」
この時ばかりは俺たちのセリフが完全にシンクロした。
「ねぇねぇ、田宮君。」
授業を真面目に聞いている俺に話しかけてきたのは隣の席の海原さんだ。
「なんだ?」
その声に俺も小声で答える。
「有栖が修学旅行の後から少し様子が変なんだけど何か知らない?」
「いや、特にはないな。」
神代さんもとい女神様とは二日目の最後に会話して以来、何もないのでそう答える。
「な~んか、怪しいなぁ~。」
「何がだよ。」
何故かツッコんでしまった。その後も海原さんがずっと話しかけてくるので先生に怒られてしまった。
「あら、田宮君じゃない。」
昼休みに先生に呼ばれて職員室に向かっていると、上階につながる階段から天宮先輩もといお嬢様が下りてきながら俺に話しかけてきた。
「・・・どうも。」
俺は短く挨拶してその場から去ろうとするがお嬢様はそんな俺の隣を歩き始めた。何とか振り切ろうと速めに歩くもついてきた。
「そんなに急いでどうしたのかしら。」
「いやぁ~、先生に呼び出されてましてね。」
「あら、そうなの?私もよ。」
その言葉で逃げ道が完全に閉ざされてしまった。これはおとなしくお嬢様との移動に耐えるしかないようだ。
「お嬢・・・。天宮先輩は何で呼ばれたんですか?」
危うくお嬢様と口に出しそうにいなったがすんでのところで何とかごまかした。
「大学の話で呼び出されたのよ。」
そう言えば、お嬢様は三年生なので来年には進学するのだ。そのことに気付き俺は心の中で小さくガッツポーズをする。
「それは、お疲れさんです。」
俺は皮肉気になりそうになるのを何とかこらえてそう励ます。
「えぇ、頑張るとするわ。それと・・・」
「もう少し、表情を隠す努力をしなさい。ポーカーフェイスができてないわよ。」
職員室前についたお嬢様は中に入ると同時にそんな言葉を残して職員室の中に入っていった。
「・・・。」
その場に残された俺は一人寂しく顔をペタペタと自分で触っていた。
先生の呼び出しの用事も終わり教室に戻ろうと廊下を歩いているとある一人の女子生徒に出会った。
「あっ、田宮先輩!」
「藤本か。」
その女子生徒とは現在進行形でたまに勉強を教えている藤本であった。
「田宮先輩はこんなところでどうしたんですか?」
「先生にちょっと呼び出されてな。今、終わったところだ。そういうお前はどうしたんだ?」
俺は普通に事情を話した。
「私は次の授業が体育なので早めに行って着替えておこうかと。」
そう言って、藤本は何の恥じらいもなく自分の体操服を俺に見せてきた。
「・・・はぁ。」
「何ですか、その溜め息は。なんか腹が立ちますね。」
そのことで俺が溜め息をつくと、藤本はそう反論してきた。どうやら、俺の溜め息の意図が分からないようだ。
「あのなぁ、女子が自分の体操服を好きでもない男子に見せるもんじゃないぞ。」
「・・・あれぇ~?田宮先輩ともあろうお方が照れちゃってるんですかぁ~?」
俺の忠告で何となく話を察したのか藤本は何故か煽り始めてきた。
「はいはい、そうだな。とりあえず、他の奴にはやんなよ。勘違いされて文句は言えないぞ。」
そう捨て台詞を残して俺はその場から立ち去った。
「こんなこと田宮先輩にしかしないので安心してください。」
俺が立ち去った後でそんな呟きがあったりなかったり。
六時限目は体育だった。珍しく男女混合で男子は女子に良いところを見せようと躍起になっている。と言っても、バドミントンだが。
「ふぅ・・・。」
「お疲れ様、頑張ってたわね。」
試合を終えて、額を流れる汗をジャージの袖で拭うと同時に声をかけてきたのは佐々木だ。
「あぁ、正直ここまで疲れるとは思ってなかった。」
「はい、これタオル。」
佐々木は手に持っていたタオルを俺に渡してきた。
「いいのか?」
「もちろん。」
一応、もう一度確認をとってから使わせてもらった。
「白熱してたね。」
「あぁ、ジュースをかけた勝負だったからな。」
先ほどバトミントンでは俺と淳がジュースをかけて全力で試合をしていた。結果は、言わずもわかる通り淳の勝ちだ。当の淳はと言うともうすでに違う人と試合を始めていた。
「俺は全力でやってたってのにどんな化け物だよ。」
もはや、苦笑しか出てこない。
「あははっ、あれは時坂君がおかしいだけだと思うわ。」
俺の隣に立つ佐々木も苦笑いを浮かべている。
「ありがとね。」
「?何のことだ?」
佐々木が急にお礼の言葉を呟くが何のことかわからないので首をかしげる。
「何でもないわよ!」
すると、何故か逆上された。解せぬ。
「おーい、翔斗!もう一回やろうよ!」
そんなくだらない会話をしていると試合を終えた淳から声がかかってきた。
「そんじゃ、行ってくるわ。」
「・・・あなたも大概よね。」
「?タオルありがとな。」
そう言って、俺は淳の元に戻った。
「やっぱりカッコいいなぁ。」
汗の臭いがしみ込んだタオルを片手に持った女子生徒はそんな言葉を漏らした。
「そんじゃ、気を付けて帰れよ~。」
そう言い残して、先生はHRを終え、教室から出ていった。それと同時に教室は一気に騒がしくなる。部活に行く生徒。家に帰る生徒。仲の良いグループで遊びに行く生徒など様々だ。俺はその二番目に分類される。
「翔斗君。」
荷物をまとめていると澪が声をかけてきた。その後ろには舞と淳がいた。舞はともかく部活で忙しい淳までいるのは意外だった。
「今日は部活が休みだからね。久しぶりに一緒に帰ろうよ。」
そんな俺に思考を知ってか知らずか淳は説明してくれた。俺たち四人はそのまま学校を後にした。
澪と舞が楽しそうに談笑しながら並んで歩く後ろに俺と淳はその様子を見ながら歩いていた。
「それで?お前はどこまで知ってたんだ?」
俺は何の脈絡もなくそんな話をし始める。
「何のことかな?」
淳は意味ありげな笑顔を浮かべながらすっとぼける。
「しらばっくれんな。それと、その笑顔は気持ち悪い。」
「あっ、酷いなぁ~。」
そんな他愛も話をしていると俺はあることに気付く。
「しかし・・・」
「どうしたの?」
俺は空を見上げながら言葉を続ける。
「こんな日々もいいもんだな。」
「「!?」」
俺がそう呟きを漏らすと隣で話を聞いていた淳と前で舞と話していた澪が驚愕した様子で俺の事を凝視してくる。舞は二人の豹変に戸惑っている。
すると、二人は驚愕の表情から穏やかな表情になった。
「さっ、帰るぞ。」
こんな日々を過ごしていくうちに俺は自分の心が温まるのを確かに感じながら歩き続ける。
”願わくばこの騒がしくも心地よい日々がいつまでも続きますように”
これにて「四大美女と完璧イケメンとその親友は完結となります!翔斗の過去編と最終話では翔斗自身の心境の変化を描いてみました。いかがでしたでしょうか。
ここまで付き合ってくださった皆様、誠にありがとうございました。ここまでやってこれたのは一重に読者の皆様のおかげと言っても過言ではありません。
また、会うことがありましたらよろしくお願いします!
まぁ、もう次の小説のネタは考えてあるんですけどねw
ではでは、気を取り直して・・・
翔斗・淳・澪・舞・結衣「ご視聴ありがとうございました!!」




