佐々木による尋問(後編)
俺は容赦なく手を振り下ろした。
”ビシッ”
「痛っ。」
佐々木はそのチョップに小さくコメントする。その後、唖然とした感じで俺の事を見つめてくる。
「えっ?」
「これが俺の仕返しだ。」
俺はドヤ顔をしながらそう言う。
「ふっ、ふざけないでっ!私は真面目に言って・・・!」
「真面目も真面目。大真面目だ。」
「これのどこが仕返しなのよ!」
「ん?」
すると、佐々木は口を両手で抑える。
「お前、その口調・・・」
「うぅ。隠してたのに。」
恐らく先ほどの口調が佐々木の素の口調なのだろう。
「って、そんなことじゃなくて!」
「いいんだよ。これで。」
佐々木が話を戻そうとするが俺はそれを遮る。
「どういうこと?」
佐々木はハンカチで目元と鼻を覆いながら聞いてくる。少し落ち着いたのだろう。
「女子に手をあげたなんて知られたら淳と澪にどやされるからな。」
俺は肩をすくめながらそう答える。
「冗談、で言ってるわけじゃ無さそうだね。」
佐々木は納得していないようだ。
「あぁ、この状況で冗談で言わねぇよ。」
「それにさ、あいつへやったことも俺が勝手に良かれと思ってやったことだからなお前が気にするようなことでもねぇよ。」
俺は佐々木の罪悪感を薄らげようと声をかける。
「でも・・・。」
それでも、佐々木は引き下がらない。
「そうだな・・・。なら、謝罪代わりに口調を元に戻すってのはどうだ?」
「え゛・・・。」
それを聞くと佐々木は表情をこわらばせた。
「お前が俺を利用した対価を望んだんだから『やっぱり無しで』ってのは無しだぞ?」
そんな佐々木を見て俺は意地の悪い笑みを浮かべる。
「うぅ・・・わかったわよ。これでいいのね?」
佐々木は恥ずかしそうに口調を何時ものものとは違うものに変えた。
「あぁ、それでいい。」
俺は満足げに頷く。
「本当にごめんなさい。」
佐々木はベンチから立ち上がり頭を深く下げてきた。
「俺はもういいって言ってるだろう。」
俺がその行為を止めようとすると佐々木は顔を上げて首を横に振った。
「ううん、これは私なりのけじめだから。」
そう言って、佐々木はもう一度深く頭を下げる。
「はぁ・・・。」
俺は溜息と共に後頭部を掻く。
「分かったよ。お前を許す。だから、顔上げろ。」
「ありがと。」
俺がそう声をかけると佐々木は顔を上げニッコリといつもの笑顔を見せる。
「うん、やっぱさっきみたいな泣き顔より笑顔の方が断然似合うな。」
「そ、そうかな?」
「あぁ。」
俺が思わずそんなことを言うと佐々木は頬を赤く染める。
「・・は澪ちゃん・ちの気・・もわ・・なぁ。」
「ん?何か言ったか?」
佐々木は何か小声で言ったが俺は聞き取ることができなかった。
「なんでもなーい。」
佐々木は笑顔でそう言った。
一方その頃、澪の自室にて
「はっ!なんか嫌な予感がする!!」
「これは澪ちゃんたちの気持ちもわかるなぁ。」
そう呟く佐々木の足取りは心なしか弾んでいた。
前の話で言い忘れましたが毎週火曜日と金曜日に投稿する予定です。




