結衣は甘えたい(中編)
控えめに言って映画は最高だった。人気になるのも納得の内容だった。
「感動したねお兄ちゃん!」
結衣は映画中に泣いていたので目元が薄っすら赤くなっていた。
「あぁ、そうだな。確かにあれは泣ける。」
俺も泣いてないといえど結衣の言葉に力強く同意する。その後はしばし映画の感想の話し合いになった。
「じゃあ、そろそろ時間もあれだしお昼ご飯にしよっか。」
そう言って、次に結衣に連れられて来たのは自然豊かな公園だった。結衣は公園の木の下にレジャーシートを出し、俺に座るように促す。
促されたとおりに座ると夏の熱風が頬をくすぐった。しかし、日陰のためかそんな熱風もちょうどよく感じられた。
「じゃっじゃ~~ん。」
本日2度目の「じゃっじゃ~~ん。」とともに現れたのは豪勢な弁当だった。
「これは、すごいな。」
俺は感嘆の声を漏らす。
「今回は腕によりをかけてお兄ちゃんの好物盛り合わせ弁当を作ってみました!」
確かによく見ると、その弁当に入っている料理は全て俺の好物で埋め尽くされていた。その中にはかなりの手間と時間がかかるものも多くあった。
「わざわざ作ってくれたのか?」
俺はなんだか申し訳なってしまう。
「いいのっ、私が好きで作ってるんだから気にしなくてもいいからね。」
結衣に言い包められ俺たちは弁当を食べ始めた。
「っ!うまっ。」
「えへへ~~、良かった。」
俺が思わず呟くと結衣は表情を綻ばせた。
「たくさんあるからどんどん食べてね!」
俺は無我夢中で弁当を食べ続けた。
「ご馳走様でした。」
「お粗末様でした。」
気が付けば弁当はあっという間になくなっていた。
「にしても、これでもかなり多めに作ったつもりだったんだけどペロッといっちゃったね。」
結衣は俺の食欲に少なからず驚いているようだ。
「結衣の料理は美味しいからなこれくらいいは当然だ。」
俺も満足気に答えた。
「それじゃあ、移動するのは少し休憩してからにしようか。」
結衣の提案に従い、またどこかに行く前に一休みすることになった。
「?結衣?」
俺が真上にある木の隙間から来る微かな日差しに目を顰め、普通に前を向くとそこでは結衣が体をゆらゆらさせていた。目が開いていないことから眠ってしまったのだろう。その寝姿は木の隙間から来る日差しと相まって幻想的に見えた。
ゆらゆらしている体は今にも倒れてしまいそうだった。結衣が朝早くから無理をしてこの弁当を用意してくれたのは薄々気づいていた俺は結衣をゆっくり休ませてあげるために足を伸ばし、その太腿に結衣の頭をのせる。結衣はスヤスヤと寝息を立てていることからどうやら起きなかったようだ。
そのことに内心、安堵のため息をつきながら俺は幸せそうに眠る結衣の髪を撫でる。
「・・・ありがとな結衣。」
俺が小さくお礼を言うと結衣は聞こえているのか聞こえていないのかわからないが口元に笑顔を浮かべて答えた。その後、俺は結衣が起きるまでその頭を撫で続けた。
最近、作者自身も「結衣がヒロインでいいんじゃね?」と考えています。読者の皆さんはどうでしょうか




