高崎 舞の本心(前編)
私の名前は『高崎 舞』。学校では四大美女の一人とも呼ばれている。
私自身はその呼び方が好きではないのだがいつの間にか学校中に広まってしまっていたので諦めた。そんな私はつい最近まである人を好きだった。
その「ある人」と言うのは完璧イケメンや王子様などと呼ばれている学年だけでなく学校中の人気者である『時坂 淳』くんだ。自慢ではないが私は生まれてこの方「恋」というものをしたことがなかった。
もともと私は気が強いほうではない。それなのに四大美女の一人と呼ばれるようになってからたくさんの人が私の元にやってきた。そのほとんどが何かしらの下心を持っている人ばかりだった。私は人の感情に何かと敏感なのでそういうのをすぐに感じ取った。
正直、このことを知ったときは吐き気がした。それと同時にそれをなんなくいなしている時坂君を見て私は強い興奮を覚えた。何も知らなかった私はその興奮を「恋」と勘違いして時坂君にアプローチを始めた。
私が時坂君のことを好きと言う話は瞬く間に広がった。女子たちは私のことをライバル認定したのか一部の人を除いてあまり話しかけてこなくなった。男子は女子と同じで遠まわしに見てくるだけで特に何かしてくることもなかった。
私はすぐさま行動に移った。時坂君の幼馴染である『田宮 翔斗』君が時坂君の情報を売っていると聞き私は怒りを覚え、親友であり時坂君の幼馴染でもある澪ちゃんに問いかけた。話しを聞いてみて私はとても驚いた。なんと田宮君の行為は時坂君公認のものだというのだ。
私はやるせない気持ちになりながら田宮君の元へ向かった。
実際に田宮君と会った私の心境は「聞いていたよりもぜんぜん優しい。」だった。見ず知らずの私のためにたくさん悩んでくれてさらに時坂君の気をひきつける策も出してくれた。結果として、その策は成功していた。
最初はうれしかったが私は後になってあることに気付いた。弁当を渡したとき時坂君の顔から微かに失望の雰囲気を感じとったのだ。私は悶々とした気持ちになりながら家に帰っていった。




