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四大美女と完璧イケメンとその親友  作者: 星宮 誠二
一学期
3/82

四大美女 『高崎 舞』

澪と喫茶店で話をした翌日、俺はいつも通り高校に向かうために家を出た。


「おはよう、翔斗。」

隣から声が聞こえてきた。


「淳か。」

俺は見るまでもなくそれが誰か分かっていたため溜息をつきながら返事?をした。


「朝に僕と会って溜息をつくのは知り合いの中でも翔斗だけだよ。」

淳は持ち前の爽やか笑顔で笑って答えた。


「お前と一緒にいると碌な事がねぇんだよ。」


「時には我慢も必要だと僕は思うけどね。それと、一緒に登校しても良いかな?」


「断っても勝手についてくるんだろ?」


「おっ、よくわかってるね。さすが、僕の幼馴染。」

俺が本心を言い当てると淳は悪びれもなく俺の隣を歩き出した。そのまま俺たちは二人並んで学校に向かった。



「あっ、二人ともおはよう。」

学校に着き、教室に入ると先に登校していた澪が俺たちのところにやってきた。


「おはよう、澪。」「・・・おはよう。」

淳はいつも通りだったが俺は昨日、強引に別れた事もあって少し気まずかった。


「それじゃあ後でね。」

軽く挨拶をしてから澪は女友達の下に戻って行った。


「澪と何かあったのかい?」

俺の先ほどの態度から何かを察したのか淳が聞いてきた。


「別に、何もねぇよ。」


「そっか、ならいいや。」

俺がぶっきらぼうに返事をすると淳がそれ以上追及してくることはなかった。



時間が過ぎ、昼休みに入ると俺たちは昨日と同じように3人でご飯を食べていた。


「淳くん、いつもパンだと体調崩しちゃうよ?」

購買で買ってきたパンを食べている淳を見て、澪が不安を漏らした。


「そうは言ってもな、俺は料理なんてできないし仕方ないんだよ。」

俺も淳も澪も小さい頃から両親が共働きなので母親が弁当を作ってくれたりすることはほとんどない。

ちなみに、澪の弁当は手作りで俺の弁当はmy天使エンジェルこと結衣の手作り弁当だったりする。しかし、淳は一人っ子で料理もできないので必然的にパンになってしまうのだった。


「にしても、お前らの人気ぶりは相変わらずだな。」

俺は周囲から聞こえる嫉妬の目線を感じて思わず悪態をついた。


「いつもごめんね、翔斗君。」「いやぁ~、困ったものだよね。」

澪は素直に謝り、淳は悪びれもなく嫉妬の目線など関係ないといった感じだった。


「ごめんね、田宮君はいるかな?」

淳たちとご飯を食べながら話をしていると廊下の方からそんな声が聞こえた。


その声の正体は澪と同じ四大美女が一人『高崎たかさき まい』だった。


「あれ舞ちゃん、どうしたの?」

澪は高崎と友達なのか名前呼びで用事を聞いた。


「あっ、澪ちゃん。田宮君はいるのかな?」

高崎は俺を名指ししてきた。


「俺ならここにいるがなんのようだ高崎?」


「うん、今日の放課後空いてるかな?」

俺は名乗り出て用事を聞いた。


「今日はバイトがあるから無理だ。」

普通ならこれだけの美少女に誘われたら喜んで引き受けるものだが生憎と俺にそんな気遣いをするつもりは毛頭なかった。


「ごめんね、少しの時間だけで言いんだ。お願い!」

高崎は人目もはばからず頭を下げてきた。


〔なんだあいつ、高崎さんのお願い断るとか。〕


〔マジ何様のつもりだし。〕

その結果、俺に対するクラスの好感度がさらに下がった。


「・・・はぁ、分かったよ。ただし、あんまり時間は取れないからな。」


「っ、ありがとう!」

俺が了承すると、高崎はうれしそうに教室を去っていった。


「なんだ、告白か?」

席に戻ると淳が冷やかしてきた。


「違う。」

俺は短い言葉で否定した。澪の表情は心なしか暗い。おそらく放課後に呼び出された理由が分かっているのだろう。


「そんなのわかんないだろ?」

淳は尚も冷やかしを続けてくる。


「お前も分かってるんだろ?高崎が好きなのは俺じゃなくてお前。」

放課後に呼び出される、それはつまり淳についての情報をくれということだったのだ。別に、高崎も隠しているわけではないしなにより、淳本人がその好意に気付いているため隠す必要性を感じなかった。


「あはは、そうだったね。」

そんなこんなで昼休みは過ぎて行き、放課後になった。


俺は人通りのまったくない非常階段で高崎のことを待っていた。


「ごめんね、待った?」

数分もしない内に高崎は駆け足でやってきた。


「別にたいした問題じゃない。」

俺はそっけなく返事をした。


「そうだ、田宮君ってバイトしてるんだね。初耳だよ。」


「そりゃあ、誰かに言うほどのことでもないだろ。」

県立 鳴動高校は進学校でありながらバイトを社会経験をつむのには良いとし、推奨しているためかなりの生徒がバイトをしている。


「それより、世間話をしに来たんじゃない。で、なにが聞きたい。淳に関することなら何でも教えてやるが?」

バイトまであまり時間がないため俺は本題に移した。


「うん、その前にこれ。」

高崎はポケットから100円玉を取り出した。俺は躊躇いもなくそれを受け取る。


俺は淳の情報を他人に送る代わりに対価として100円を要求している。一見、女子に金をたかる下衆野郎だが双方の合意の下受け取っているため俺はどう言われ様が気にしていない。尤も、そのせいで「クソ虫。」や「ゴミ。」などと呼ばれていたりするのだがそこは割愛する。


「淳君が喜びそうなことを教えて。」

高崎が悩んだ末に出したお願いは随分と大雑把なものだった。


「喜びそうなこと、か。」

俺は、頭をフル回転させて思案する。そして、一つの答えに至った。


「・・・高崎、お前は確か料理が得意だったな。」


「え、うん。そうだけど、なんで知ってるの?」

高崎は戸惑いながらも答えた。


「1年のときに調理実習で他クラスの女子が高崎の料理をおいしかったと言っていたのを聞いてたからだな。」

隠すことなく本当のことを言った。


「それで、淳君が喜ぶのとどう繋がるの?」


「あいつは一人っ子で尚且つ、父親・母親共に働いている。そして、あいつは料理ができない。そして、あいつはいつも昼飯は購買で買ってきたパンを食べている。ここまではいいな?」


「うん、続けて。」

高崎はしっかりと耳を傾けながら聞いている。


「なら話は簡単だ、あいつにお手製弁当を作ってやればいい。」


「なっ!?」

高崎は一瞬で顔を赤くした。


「そ、それは難易度が高すぎるんじゃないかなっ!?」


「お前があいつのことを好きだって事は学年のみんなも知っている。もちろん、淳本人もな。そして、公衆の面前で渡せばあいつには断ることなんてできない。それが、恥ずかしいのなら俺たちと一緒に飯を食べてお裾分けと言う名義で食べさせればいい。」


「で、でもぉ~」

高崎は尚も覚悟を決めようとしない。


「いい加減覚悟を決めろ。知っての通りあいつは学校中の女子から狙われていると言っても過言ではない。早く行動を起こさないと他の女子に取られるぞ。そのときになって後悔しても遅いからな。後は、自分で決めろ。俺はバイトに行く。」

悩んでいる高崎を放って俺はバイトに向かった。


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