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四大美女と完璧イケメンとその親友  作者: 星宮 誠二
一学期
15/82

体育祭(後編)

「・・・お前たちに頼みがある。」

俺がそう言うとクラスの皆は話をやめ視線をこちらに向けた。その中からは俺の纏っている雰囲気に驚いたのか息を飲み込む音も聞こえた。


「なんとしてでも4組に勝ちたい、協力して欲しい。」

俺がその頼みの内容を言うと、横に立っている淳が珍しく驚きをあらわにした。


「なんでか聞いてもいい?」

クラスの中心人物である『宮本みやもと 涼香すずか』が質問してきた。


「澪の怪我は騎馬戦の最中に4組の女子によって意図的にやられたものだ。」

俺が「意図的」を強調しながら真実を話すと、クラス内は一気にざわつき始めた。


「静かにして。」

淳が僅かに怒気(4組への)をはらんだ声で注意を呼びかけると教室は再び静かになった。


「話を続けるぞ。澪はその実行犯の名前を言わなかったが俺は許すつもりは毛頭ない。全力で叩き潰しに行く。そのために、お前たちの力を貸してほしい。頼む。」

そう言い終えるのと同時に俺は頭を深く下げた。


〔もちろんだぜ!〕


〔4組の奴らに思い知らせてやろうぜ!〕


〔澪ちゃんのために頑張ろう!〕

すると、願いが通じたのか一組の面々は俺の考えに賛成し、協力してくれるようだ。皆はわいわいと話しをしながら昼食を再び食べ始めた。


「お疲れ様。」

隣にいる淳が労いの言葉をくれた。


「あぁ。だが、ここからが問題だ。」

俺は結衣が作ってくれた弁当を食べながら、クラスの連中に聞こえない程度の声で作戦会議を始めた。小さい声で作戦会議をするのは4組に細かく言うと澪に怪我をさせた実行犯に情報が渡るのを防ぐためだ。


作戦会議は滞りなく進みそれは実行に移された。


午後の競技では徹底的に4組を潰し続けた。クラスの連中も俺の指示にしっかり従ってくれたので計画通りに進めることができた。午後の競技が始まってすでに1時間以上が経っているが4組の連中の怒りのボルテージはすでにMAXに達していた。


〔クソがっ!!〕


〔鬱陶しいなぁ。〕

耳を澄ませば4組のほうからそんな声が聞こえてくるレベルだ。嫌がらせの甲斐もあり4組の一部の連中にラフプレーが目立ったため奴等が先生に注意を受けているのも要因の一つだろう。


そして、次が最後の種目。本命のクラス対抗リレーだった。


俺たちは軽く円陣を組んでから走順に並んだ。開始を待っていると一つ前の第6走者の『海原かいはら 美崎みさき』が話しかけてきた。


「さっきの田宮君。少しカッコよかったよ。」


「ただ頭を下げただけだが?」


「確かにそうだけどさ。でも、他人のために躊躇なく頭を下げれるなんてすごいと私は思うよ。」


「そう思ってくれるのならうれしいよ。」

俺はなんだか恥ずかしくなって、目を逸らしながらお礼を言った。


位置について、用意、パンッ!

お決まりの合図によってリレーは始まった。


さすがは完璧イケメンなだけあって淳は1位を走っていた。しかし、走る距離が校庭半周(100m)なのとその他の男子もそれに必死に喰らいついているためそれほど差は出なかった。


このまま行けば1位を取れるというところで第5走者の男子が転んでしまった。その隙に2位の4組と3位の2組に抜かされてしまった。幸い、その男子はすぐに立ち上がって走り出したためそれ以上抜かされることはなかったが4組と2組には少し離されてしまった。


ようやく第6走者の海原にバトンが渡った。4組と2組も女子であるのもあるが、海原自身かなり速いのでなんとか1位と2位の背中に喰らいつけていた。


転んでしまった男子は悔しさかはたまた恥ずかしさか分からないが瞳を潤ませながら声を張り上げて応援していた。そして、離れたところにいる4組の男子に向かって意識を傾けるとこんな会話が聞こえてきた。


〔これでよかったんだよな?〕


〔あぁ、ざまぁみろってな。〕

その会話で俺は全てを察した。おそらく巧妙に妨害したのだろう。その会話を聞いて俺は余計に腹が立った。


第6走者が走り終わりすでにバトンは第7走者である淳の次に速い男子に渡っていた。順位は変わることなく3位のままだった。


トップ争いをしている3人がバトンゾーンに入ってくる。


「いけっ、田宮!男見せろや!」

アクシデントもなく俺はしっかりとバトンを受け取った。前を見ると、4組と2組の男子もすでに走り出していた。他の人に比べてほんの少し遅いのはアンカーだけは校庭1周つまり、200m走らなければならないからだろう。


それを確認するや俺はギアを一気に最速まであげた。全力を出すのは久しぶりだったが問題はなかった。1回目のカーブを終えた時点で俺はトップの二人の横に並んでいた。そこから息を止めて足の回転をもっと加速させた結果、俺は2組の男子を抜かし4組の男子を抜かそうとしたところでその男子がニヤッと笑ったのに気付いた。その次の瞬間、その男子は俺の脚に自分の足を引っ掛けようとしていた。妨害を予想していた俺はそれをあえて大袈裟にかわして1位に躍り出た。


「「「うおぉぉっっ!!」」」「「「きゃゃぁぁっっ!!」」」

俺が1位になると歓声が上がった。その後はがむしゃらに走り続け、俺は1位のままゴールした。


そして、その後すぐに先生に呼ばれた。


「足立、さっきのはなんだ?」


「何のことだか分かりません。」

足立と言う生徒は大量の汗をかきながらしらばっくれた。


「俺は明らかに妨害行為を受けました。」

そこに俺が口を挟む。


「そうか。では、4組は失格としよう。」

その決定を聞くと足立と言う生徒は足音を立てながら去っていった。


「田宮もお疲れ様だったな、それとおめでとう。」

その言葉を聞いた後、俺もその場から立ち去った。



その後、3年生のリレーが行われしばらくしてから閉会式が行われた。今は、学年ごとの結果発表の時間だった。


「2年生の1位は・・・1組です。」


「「「おっしゃゃぁぁっっ!!」」」「「「やったぁぁっっ!!」」」

体育祭実行委員長がそう告げると、1組の面々は声を張り上げた。4組のほうを見ると先ほどの足立君が肩身を狭そうに立っているのが見えた。


これで、俺の表向きの目的は終わった。次は・・・



”報復”の時間だ。

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