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四大美女と完璧イケメンとその親友  作者: 星宮 誠二
一学期
11/82

体育祭準備(前編)

3大行事が一つ、体育祭の開始です!

2年生になってからは特に問題なく時間が過ぎていき、現在は5月中旬。学校は体育祭の準備に取り掛かっていた。


「それでは体育祭に向けて実行委員を選出するぞ~、男女一人ずつだ。ヤル気のある奴を手を挙げろ~。」


「「「・・・。」」」

先生がやる気のない声で呼びかけるが誰かが手を挙げる気配は微塵もなかった。


〔どうする?〕


〔誰かやんだろ。〕


〔お前やってみれば?〕

どうやらクラス内では押し付け合いが始まっているようだ。しかし、淳たち以外の友達がいない俺に話しかける人はいないので俺は擦り付け合いを傍観していた。


「・・・皆がやらないのなら女子は私がやっても良いかな?」

誰も手を挙げようとしない中、美しい声と共に澪がその手を挙げた。


「じゃあ女子は成宮に決まりだな。次に男子なんだが。」

先生がそう言うなり教室内には怒号が鳴り響くと共にクラスの男子ほぼ全員が手を挙げた。


〔はいはい、成宮がやるなら俺がやるぜ!〕


〔いや、やるのは俺だ!〕


〔てめぇら黙れ、俺に決まってんだろ!〕

澪が立候補しただけでこの有様だった。『四大美女』の名は伊達じゃないことを証明していた。


「・・・よし黙れお前ら。」

しかし、男子たちの喧騒も先生のドスの効いた声によって一瞬で収まった。


「このままじゃ決まらないから男子はお前が選べ、成宮。」

先生は面倒だったのか澪に押し付けた。


「え~~とっ・・・。」

澪はクラスの男子からの視線を受けて若干表情を引きつらせていた。


そこでふと俺と澪の視線が合った。


「・めん・?」


「?」

澪は口パクで俺に何か言ってきたようだが声が小さすぎたため俺は聞き取ることができず、首を傾げるだけだった。


「じゃあ、男子の実行委員には翔斗君を指名したいと思います。」

澪はいつもクラスメイト相手に作っている笑顔ではなく俺や淳などといったごく一部の人間にのみ見せるとびっきりの笑顔を浮かべながらそう言った。


「・・・嘘だろ?」

俺は呆然としながら澪を見つめた。


「嘘なんかじゃないですよ?(ニコッ)」

澪は俺の呟きを聞き取ったのか言い返した後、今度は俺に向かって笑顔を向けてきた。


〔なんでだぁぁっっ!!〕


〔コレハ夢コレハ夢コレハ夢・・・。〕


〔アリエナイアリエナイアリエナイ・・・。〕

何人か壊れている奴がいるがそれは気にしなかった。


「じゃあ、男子の実行委員は田宮に決定だな。おい田宮、前に出ろ。」

未だに一部の男子がブツブツと言っているが先生も無視した。


「(ごめんね、翔斗君。)」


「(・・・話は後でだ。仕切ってくれ。)」

俺の言葉に澪は小さく頷いた。こうして小声で話している間にもクラスの男子の殺意は膨れ上がっていっていた。


「それじゃあ早速、出場競技について決めていきます。」

澪は手元にある資料を見ながら話を進めた。そのたった一言だけで男子の殺意は収まった。


・・・競技決めについては長いため割愛させてもらおう。



そして、LHRが終わった後の放課後。俺と淳と澪以外の生徒がいなくなった教室で俺は机に突っ伏していた。あれから、少し揉めたりもしたが大した問題なく競技決めは終わった。当初の目論見どおり出場競技を2つに絞れたのはまだいい。


しかし、問題は別にあった。


「・・・なんでこうなった。」

俺は顔を上げ、黒板に書かれている文字を見てもう一度溜息をついた。


「もう諦めなって。」


「なんかごめんね、翔斗君。」

淳と澪は励ましているのか謝っているのかよく分からない口調で声をかけてくる。


「どうしてこんなことになった・・・。」

俺の視線の先にある黒板にはこう書かれていた。


2人3脚


田宮 翔斗・成宮 澪


クラス対抗リレー


アンカー 田宮 翔斗


生徒のほとんどが部活に熱中する校内で一人の少年の叫びが響いたとか。

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