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決戦の決着・淡泊

こちら淡泊ルートになります

「ふん...今更、許されると思ってるのかよ」


吐き捨てるように言った


よくよく考えればコイツは部長の仇であり、

今だって仲間たちが無事な保障がないほどの事態を起こした張本人だ。


3姉妹だかなんだか知らないが首謀者は...いや、ほとんどはこの女のせいだ。

そうに違いない


「そもそも...画鋲入れたのもお前だろ?」


その言葉に大きく目を見開いた


「それに倉庫で俺を刺そうとしたのもお前の考え、彼女が暴走したとか...

 そういう風に思わせようとしたのもお前の考えだろ?」


力なくうな垂れて頭を下げた

それが反対に癪に障った。


「こっちを見ろよ!」


涙を貯めた目がこっちを見た

どうせ演技だ、構うものか


「どうして俺をそんなに傷つけたがる...?

 どうして平気で周りの人間を傷付けられる!?

 倉庫に入れるために気絶するときに俺は彼女の声を聴いた

 許してと、聞こえた

 彼女は意識は失っていたかもしれないが理性は失ってなんかいなかった。

 だから彼女は暴走でもなんでもない!

 お前に振り回されていただけだ!!

 ここ最近で起きた悪事は全部おまえのせいだ...!」


もう大粒の涙は決壊してボロボロと流れていた

一瞬揺らいだ同情心を胸中で殺した


「ご、ごめんなさい...」



「...そんなことで許されると思ってるのか?」


彼女が四つん這いになったまま足元にすり寄って来た


「何でも...するから」


すぐに退いた

胡散臭い神から離れた


「それは黒田さんの身体だ...神霊なりに何かしてくれると言うなら...

 もう...その体が出て行ってくれるだけでいい」


そうして彼女は脱力して肩を落とした


それを見て揺らぐ想いはまだ押し殺し切れていなかった。

...さすがに言い過ぎたか?


彼女もただ忘れられることが怖くて、

自分と近しい者が自分よりを評価得て僻む気持ちが出てやってしまった...

...それは黒田さんの分家の嘉男くんの親たちと同じ感情だ


そのことを俺は知っているじゃないか...

もう少し優しくしても良いのではないか...?


そう目を落とした時に


そこに血だまりが見えるようだった


「ああ、そうだ...死人くらいは出してなかったらお前を許せたかもしれない...」


「え...?」


「でも、お前は倉田先輩を殺した」


そうだ、今までのことを洗いざらい思い返していたら思い出した

考えれば弱くなってしまうから心の奥底にしまっていたんだ...

それを忘れていた

コイツは先輩のガンの腫瘍を広げたんだ

先輩の弟が死んでしまった、同じガンを...!


「違うの! こ、殺してない! まだ――」


「もういい...」


彼女の顎に指を向ける

狙いがブレると楽に送ってやれない


この一撃でもう彼女から追い出してやる


完全に嘉男くんから貰った力は消え去ったと言ったが

実はハッタリだ。

怪我を治したりできる大きな力は本当になくなったが、

いざという時の一撃分をまだ残していた


するとそれを感じたのか彼女は目を閉じた


分かってくれたようだ...


「...最後に...何か言い残すことはあるか?」


そこで情が出てしまった

失敗したか


まあ...

死んではいるが遺言くらい許すべきだろう...

そもそも神霊は別に遺言とか言う訳でもないと思うが......


「...優しいんですね...怒るとそれこそ、人の子のガキの様になってしまう私に」


どうやら覚悟を決めてくれたらしい

情けを掛けるべきではなかったか、とも思ったが

...間違いでもなかったみたいだ

息を吐いて最後の言葉を待つ


「ふぅ...何かないのか?」


「ああ...最後に一言...」


そう言って深呼吸を置いて

何を言うのかと思えば


「倉田 優紀...彼女を生かす方法があります」


心臓が止まるかのような一言だった


「...は? それは本当なのか...?!」


「ええ...私が唯一残された力で出来る禊だと...」


彼女の前に膝をついて両肩を掴んだ


「や、やってくれるのか!? 本当に!?」


彼女の身体を揺らして聞く


「ええ...当然のことをするまでです...」


ここに来て本当に神霊に見えてきた

紫に光る目は相変わらず不気味だが


「そ、それで方法は...!」


「今ここから腫瘍を広げたのとは反対の力を彼女に送ります」


なんて融通の利く力なんだ...!

先ほどの激しい怒りも忘れて彼女の話に耳を貸す


「それは相当の力を要します...故にあなたが手を下さずとも

 私はこの子の身体に憑くのに必要な僅かな力も失うことでしょう...」


なんと至れり尽くせりの案なんだ...!

もう疑うことなく信じ込む


「しかし...」


急に表情と話の雲行きが曇った


「今の私の全力を以てしても成功率は絶対とは言えません...そこで」


顔を冷たい両手で包まれた


「あなたの残る力をお貸し頂けないでしょうか!」


やはり俺に少し残っていた力も見抜かれていたようだ

それをご所望のようだ


「あんまないけど...大丈夫?」


こっちが心配するくらいに協力的になっていた


「ええ、大丈夫そうです。手を握らせて頂いても?」


言われるがままに手を差し出す


「あと私の目を見つめてくれるとやりやすいです」


言われるがままに見つめる

これくらいですぐに霊気の受け渡しが出来るのか...

神霊は流石だな...


「ふふっ...ありがとうございます」


もうパスが繋がって心が分かるようだ


「じゃあ、そのままじっとしてください」


その通りに手を繋いで目を見つめる


それにしても何だか体が重いなぁ...

なんて考えていたら彼女と見つめ合ってしばらくすると

彼女が立って目の前のフェンスに向かって力を送っているようだ


フェンスの先の方に病院があるのだろう...

そう思ってよくよく考えてみると


病院反対側じゃないか...?


そんな考えが湧いて来た


それと同時くらいにパチン!

と音を立ててフェンスが両側に開いてしまった


「え? 何してんの?」


どう考えても必要ない動作に不審がって体を動かそうとすると


「あ、あれ?」


体が全く動かない

すると勝ち誇ったような笑い声が聞こえてきた


「ふふっ...目を合わせたのはそのためですよ」


...やられた!!


そうして懸命に動こうとしても全身が汗ばむばかりでまるで動けない


後ろの方に奴は歩いて行った


まさか...ナイフを!?


「じゃあ~、行きますよ~!」


遠くからボールでも投げられるようなトーンでそれが聞こえる


「ど、どうするつもりだ!?」


時間稼ぎの質問もまるで無視された

足音が近付いてくる!

もう、駄目なのか!!


その時だった

体の拘束が切れた!


「よし!」


そうして横に転がって避けようとして



背後からの衝撃は



俺を



とらえて


そのまま


二人で


落ちてしまった







~~~~~~~~~~~



目が覚めるとそこは白い世界


立ち上がってみるとまた後ろから飛びつかれた


そこには見慣れない子がいた


でも可愛い


「ちゃんと覚えてます? って言っても分からないですよね!」


彼女の声がどこかで聞き覚えがある

そう思って首を傾げると


「私は田儀津姫!

 この霊界に生きた肉体のまま連れて来ちゃったからよろしくです!」


そうして俺はその時からこの霊界とやらで


加虐主義の美少女に肉体的に死ぬまで愛される日常を送るとは

夢にも思わなかった 

別に続く...?

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