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アブナイ男


「お~、いちちち...」



治療をしてもらった後も少し足の裏が痛んだ。


昔に新体操の練習を裸足でグラウンドにて

やらされていた時に、

足の裏に違和感がして見て見ると、

大きなバラのトゲが刺さっていたことがあった。


しかしその時は本当に違和感程度で先生に報告したら驚かれたくらいだが、

俺はケロッとしていた。


当時から天邪鬼で性格の悪い俺は、大人が慌てふためくほどの怪我に動じない自分が

カッコいいなどと思っていたが......


バラの太いトゲに比べて画鋲の細い針から受けた傷はたちが悪いらしい。

なかなか出血も収まらないし、歩くたびにチクッと痛い。



全く誰がやってくれたんだ、とばかりに教室内を睨むが

いつも通り誰も俺には目もくれない。


まあ、イジメられていないだけ良いと思った方が得かと、

孤独を持ち前の強気で考え直したはいいが

結局犯人は分からずじまいだ。



そうしてモヤモヤして気を紛らわそうと先ほど貰った

綺麗に折りたたまれたメモを開いてみる。


するとそこには



【渡辺さん、いつでも良いのでお暇な時間ございましたらお電話下さい。】



と、文の下には黒田お母さんの電話番号が書かれていた......。



ん?つまり...?


「ええッッ!?」


という声が出そうになるくらい口が開きかけた。


今まさに、俺は人妻の携帯電話番号を!?


そんなやましい捉え方は悪い眠気を払うように頭を激しく横に振って追い出した。


...なんということだ。

自殺しようとした美少女を助けたらその美少女ではなく、その母親に惚れられるとは......


そう格好をつけてやれやれとおでこに手をやりながら、

よく手紙を見ると小さく手紙の端に何か書いてある。



【娘の事で話があります】



違うんかいっ!


という古臭い芸人のツッコミのモーションが脳内で流れた直後に、

またもやピンク色の妄想が膨れ上がった。



いや、待てよ...?

これは俺の勇気ある行動を讃えて、いわゆる親公認のカップルになることを

言い渡されるのではないか...!?



そんな付け上がって加熱した考えも急に消沈した。



思い出したのは彼女の笑みだ



その表情の冷たさは、興奮した気持ちを瞬間冷却した。


あの顔の彼女に調子に乗るな、と言われたような気がしたからだ。



すると俺はシュンと落ち込んでしまった。


とりあえず今日、何の御用か黒田さんのお母さんに聞いてみよう...

そう肩を落とした。





周りから見れば格好つけてみたり落ち込んだりする俺は、

それはそれは奇妙であったことだろうと、のちに冷静になって自嘲する自分がいた。



いつも有り難うございます。

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