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マシュマロ

作者: 大野竹輪

「マシュマロ」


そっと僕の右手に触れた君の両手は

小さくって柔らかいマシュマロのよう

うずくまって泣いてたのを覚えているよ

君はずっと昔から寂しがりやだね



今年でもう二度目の冬の君の誕生日

あこがれのコートを見てマフラー買ったっけ

風がきついクリスマスの夜 凍えた頬に

何度も息をかけてあげた思い出の街


きっと幸せになれるって思い続けてきた

けれど僕が全て 粉々に崩してしまったんだ



いつだったろうか・・・


君と暮らし始めたのは・・・





そう、君と出会ったのは3年前。

空が妙に白かった。

雲がフワフワフワと・・・まるでマシュマロみたいに・・・


そして僕は、行き付けの食堂に入って、いつものメニューを頼む。

はずだったが・・・


その日は違った・・・

何故って、突如君が店員でさ、僕の目の前で


「何にしますか?」


って言うから。


いつものおばさんだと、


「いつもの。」


なんだけど。


まあ、これは自然現象です。


定食がいつものより豪華になってしまった。


が、僕は飯より君ばかりに気を取られてしまって・・・


「す、すいません・・・」


「はい。」


「味噌汁をこぼしちゃいました。」


なんて、考えられない事をしてしまう僕は、

一体何が起こったんだ?


心の中で君が動き回って・・・

そして、いつもなら時々行くはずの食堂が、

毎日通うようになりました。




そう君と初めて手を繋いだのは2年と6カ月。

そう初めてのデートの帰りだったね。

なんだか君の手が柔らかすぎて、

まるでマシュマロのようだった。


2人は色々とお互いの過去を話し始めたよね。

君は僕が話すたびに笑うんだ。


でもその笑顔がまた可愛い。

それは今もだけれど・・・


「どうしてそんなに笑うの?」


「自然とこうなるの。」


よくわからない返事だったけど、

僕の方まで笑顔が出てきたような気がした。




君としばらく会えなくなったのは2年と4カ月。

君が体調を崩してしまって、

後から聞いたら君が手術をしたって。


びっくりしたよ。

でもよかった。

僕は退院する日。迎えに行きました。


「ありがとう。」


「でも、荷物が重たいから。」


君の荷物は軽かった。




君と暮らし始めたのは2年前だった。

小さな部屋には2人の生活が満ち溢れていた。


特に何もない6畳1間。

狭いキッチン、お風呂はなかった。


だから一緒に銭湯に行くのが日課になった。


生活はそれ程贅沢も出来なかったけど、

楽しかった。


それも過去・・・



僕は生涯君を忘れないよ。


君は偶然にも

誕生日と同じ日に僕と別れたんだから・・・



― 完 ―



ふと思った感情をただ文字に表した作品です。


もとの歌詞がベースになっています。


これからもこんな感じでショートを書いてみようかと思っています。



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