EP6
読んでくださってる方ありがとうございます!
図々しいですが温かい言葉とかいただけると喜びます。
第3隊長と共に長い廊下を抜け武器保管庫にやってきた。厳重な警備がなされ、保管庫の前には兵士が二人見張りで立っている。そして重厚な扉を兵士二人が開いていく。
(ふぅん、武器保管庫なんてもっと埃っぽいところだと思っていたが…)
その部屋はしっかりとした石造りで隅々まで綺麗に清掃され、武器も種類ごとにきちんとわけられている。ひと目見ただけでも高級だとわかる武器が500以上ある。
「では、お前たちにはこれから武器を選んでもらう。自分のステータスはさっきでわかっているはずなのでそれに合う武器を選ぶように。『自分に合う武器であればこの中のどれでも選んで構わない。』と王女様から伺っている。選んだらこちらに持ってきてチェックを受けてもらう。では、選んでくれ。」
クラスメイト達は我先にと保管庫に入り、「これはどうかな?こっちもいいかな?似合う?」などと楽しそうに選んでいる。俺も出遅れたが武器を選ぼうと保管庫に足を踏み入れようとした…そのときだ。おっさんは薄ら笑いを浮かべて言った。
「あぁ、お前の武器は違うところだ。おい、案内してやれ。」
兵士は面倒臭そうに違う保管庫に案内していく。それは先ほどの保管庫とは全く別のところだ。まず、埃だらけでさっきの高級そうな武器など一つもない。壁も崩れかかっており、武器は折れたり欠けたりしているものもある。どう見てもこれから廃棄する予定の武器だ。兵士はぞんざいに言い放つ。人を見下す目をしている。
「お前はこの中から選べ。お前にはあそこの武器はもったいないからな。」
(クソっ!普通ここまで対応変えるか!こいつら…)
憤りを感じながらも武器が無ければ戦えないのでしぶしぶ選び始めた。どれも役に立たないような武器ばかりだ。これじゃ戦えないと思いながらもまだマシなやつを必死で探す。その時ふと部屋の片隅に他の剣に埋もれているダガーの先端が目に入った。そのダガーは少し先が欠けており、さらに刀身にはヒビも入っていた。だがなぜか妙に気になる。俺はそのダガーを掘り起こし手に取った。
『極めし者、私を選べ。』
声が聞こえた。俺はきょろきょろと辺りを見回すが、いるのは保管庫の外でイライラしながら待っている兵士だけだ。それにこの感覚は…あのときと同じだ。
『そうだ、お前の頭の中に話しかけている。ずいぶん久しぶりだぞ、話せるやつに出会うのは。』
「おい!まだか!お前なんかどれを選んでも大して変わらん。さっさとしろ!」
兵士のイライラが爆発したようだ。俺は自分の直感を信じることにした。俺は不機嫌を前面に出し兵士に向かって言った。
「これに決めた。文句はないだろ。」
「ハハッ、お前にはお似合いだな、先が欠けて、ヒビも入ってるしな。」
兵士は笑いながらさっさと戻るぞと言って歩き始めた。そしておっさんのもとに戻るとちょうどクラスメイト達も全員武器を選び終わってチェックを受けたところだった。
「では、これよりメイド達にお前たちの部屋へ案内させる。基本は3人部屋だ。部屋割りはこちらで決めておいた。今日は部屋でゆっくりしてくれ。明日から訓練を開始する。」
メイド達がルームメイトになるのだろう3人に声をかけていく。一組、また一組と案内されていった。そして、俺、刈谷、佐藤、神童の4人が最後に残っていた。
「では、刈谷様、佐藤様、神童様どうぞこちらへ。お部屋までご案内させていただきます。」
とうとう俺一人が残された。第3隊長がこちらを見ずに言う。
「お前はこっちだ、ついてこい。」
そして連れていかれたのはさきほどの謁見の間だった。さきほどは兵士がずらっと並んでいたが今は閑散としている。そして玉座にはリーシャが座っており、こちらを見下ろしている。さきほどと違って侮蔑のような目だ。リーシャが口を開く。
「第3隊長からの報告によるとあなたは全く役に立たないそうです。よって今すぐ王城から出て行ってもらいます。どこへなりとも消えなさい。」
「は?勝手に呼び出しといて能力が無ければポイッってか?イイ性格だな?リーシャ王女様よ!」
「今すぐあなたを処刑することも出来るのですよ?これは慈悲なのです。第一あなた誰に向かって口をきいているの?本当は能力が無くても残す予定だったのだけれど、第3隊長が聞いたところによるとあなたがいなくなっても他のみなさんの士気に影響がないとわかりました。」
俺が他のところで武器を選んでいる間に聞いたのだろう。クラスメイトの何人かは言うと思っていたが…
「アイツら!!!人をなんだと思って…」
俺は怒りに肩まで震え今にもリーシャに飛びかからんばかりだ。全身の血が沸騰する感じとはこのことだろう。リーシャは悠然と欠伸しながら続ける。
「それにわたくしの寛大な心で武器も与えてあげたでしょ?」
「あの折れたり欠けたりした武器のことか?ふざけるなっ!俺はあんたを信用していない!」
「なら、今すぐ消えてちょうだい。見てるのも忌々しい。役に立たない人間ほどゴミなものはないのだから。さっさとこの者を王城から追い出しなさい!」
俺は第3隊長に引きずられるように謁見の間をあとにする。引きずられながらありったけの声で叫ぶ。
「リーシャ!お前には必ず復讐する!クラスメイト達、この国の兵士どもにもだッ!!!伝えておけ!」
王城の外に投げ捨てられ門が閉じられる。悔しさに涙が溢れ出る。石畳を爪から血が出ても掻き毟る。
(異世界に来ても俺はハブられるのか!!!必ず復讐してやるッ!あいつら全員に10倍、いや100倍それ以上にして返す!!!)
『ふむ、今のお前じゃ無理だな。』
また声が聞こえる。今の俺にとってはそれが死刑宣告のようだ。だが、声の主は気にした風もなくに続ける。
『とりあえず自己紹介しておくか、私はお前が選んだダガーだ。よろしく頼む、極めし者。』
やっと、ここまで来ました…長かった(笑)
頑張って続けていきたいと思います。