幕間 執事セバスはみた!
たくさんのアクセスありがとうございます!
本人もびっくりです。
ただ、感想がいただけないので、どんな感じなのか知りたいです!
私、フルサル伯爵家・別邸の執事、セバスと申します。
王都にある、庭園の大きなこの屋敷で数人の使用人と暮らしております。
私は、以前シンラッド公爵家に勤めており、そこでは公爵家の三男の侍従でございました。ちなみに私の父は、公爵家の執事長でした。
公爵家三男のドーンレイン様は、少々変わった方で、年少の頃より聡明で、人の心と裏側が解っているような不思議なところがございました。
その為、一時期は人間不信になりかけた事もございましたが、ご家族やご友人に恵まれ、なにより奥様にお会いして結婚したことで、大変ほがらかな方になられました。
奥様は、世間で天然と言われる明るい方で驚くようなこともされますが、優しい方です。
少々お手元の不自由な(貧乏)伯爵家の一人娘だった奥様へ惚れ込んだドーンレイン様は、婿入りをされました。
その時、ドーンレイン様は王宮諜報部で勤務しており、公爵家より子爵の名と領地とこの屋敷を賜り、ここでお暮らしでいらっしゃいました。
結婚に伴い、伯爵家が本邸に、この屋敷が伯爵家の別邸になった次第でございます。
その際に、侍従からいろいろ経てドーンレイン様の片腕として働いていた私が別邸の執事を任されたのでした。
私もメイドの一人と結ばれ、妻はメイド長になり、1男1女を育てあげ、幸せに過ごさせていただいております。
ドーンレイン様と奥様は、お二人のご子息に恵まれました。
本邸とも近く庭園の広いこの別邸に、度々おいでになり、大きな声で走り回るお子様たちの声が響いていたものでございます。
おそれ多くも、ご子息と幼馴染といえる王子殿下もいらっしゃることがありました。
お二人とも成長されましたし、婚姻をすれば、嫡男セイジュルス様が伯爵家と本邸を、次男クローディアス様が子爵家とこの別邸をお継ぎになることでしょう。
嫡男セイジュルス様は、つい最近、幼馴染の男爵家のお嬢さまと婚姻されました。
彼女は、王宮の女官として働いており、なかなか結婚に承諾が得られないと、セイジュルス様が悩んでおられましたが、どうやら口説き落としたようでございますね。
幼いころから口が達者で聡明なセイジュルス様をお尻におしきになることのできるしっかりした女性なので、この先伯爵家も安泰といえることでしょう。
一方、ご次男のクローディアス様は、先をよんでしまう父と口が達者なご長男にはさまれ、無表情・無口な凛々しい騎士様になられました。
王女様に追いかけられているという噂も聞きますが、クローディアス様は次期子爵、降嫁は出来ないことでしょう。
ここ別邸は、年輩者が多くのんびりしておりますので、王女殿下は勘弁してほしいという意見が大半でございます。
クローディアス様は、この別邸の庭で過ごされることがお好きなようで、たまにおいでくださり私どもをいたわってくださる優しい方です。
主になるクローディアス様にも早く良いお話があればいいと皆で言っておりました。
さて、その別邸の大きな庭園は一人の庭師のじいさんが、手入れをしております。
私などより古く長くこの屋敷におり、庭の一角に住居を許されております。
もくもくと仕事をやるじいさんですが齢には勝てず、一年程前より、身内の青年を呼び寄せ、弟子として育てておるようでございます。
先日、その二人が、庭園で少女を拾ってきました。
身なりや所作のきれいさから、いいところのお嬢さんらしき少女でしたが、自分は迷子だといいました。
家出なのかもしれませんし、そのうちお迎えやうわさが入ってくるだろうと保護することに致しましたが、名も変わっており、異国から旅行かなにかで来たのかこの国を知らず、物も知らない様子に皆でびっくりいたしました。
しかし、妻のメイド長が、荷物も何もない小さい少女に、私どもの娘の古着を急きょ出してきても、コック長が使用人と同じまかないを出しても、とても喜び、礼をつくし丁寧に人と接する様子はとても好感の持てるものでした。
そんな素直で育ちの良さそうな少女は、すぐ周りの人間になじみ、かわいがられておりました。
特に、助けた庭師のじいさんに懐き、庭仕事の手伝いをして、じいさんの小屋に寝泊まりをしておりました。(弟子の青年は、屋敷の使用人部屋に住んでいます。)
じいさんも自分の孫のように、ニコニコと嬉しそうな様子でございます。
そんなある日のこと、本邸の設備が故障し、こちらの別邸で伯爵家の皆さまがお過ごしになることになりました。ついでに工事の手を入れるらしく、数週間のご滞在が決まりました。
先触れでいらっしゃったクローディアス様の後に、すぐ奥様が到着され、荷物の搬入等大忙しになってまいりました。
そして、かの少女の件を奥様にご報告していたときに、クローディアス様が彼女を連れてきてくださいました。
伯爵家の皆さまに迎えられ、客間に居を移し、奥様方のお相手をしつつも庭師の手伝いもしている少女は、異国の迷子というおとぎ話のような存在だったようでございます。
違う世界では身分もなく、働いて自分のことは自分でするのが当たり前と、こちらになじみつつもけなげに頑張っている様子に、周りが優しい気持ちにさせられてしまいます。
そして、大きな黒の瞳でじっと見上げる少女に、クローディアス様の心もつかまれてしまったようでございます。
そわそわと少女を気にされるご様子に、ご家族の皆さま、我々使用人たちも、温かい気持ちで見守っているところでございます。
少女といるときのクローディアス様のいつもと違うご様子に、過去のドーンレイン様を思い出し、私も懐かしい気持ちに胸が熱くなる想いでおります。
お二人が結ばれ、ここにお迎えすることができましたら、伯爵家別邸、ゆくゆくは子爵家のこの屋敷にまだまだ幸せの時間は続くことになり、私どもも勤めがいのあることでございましょう。
クローディアス様、彼女を捕まえられるよう、もうちょっと頑張ってくださいませ。