8、次男さんはワンコ?
ん・・・。朝か・・・。あれ昨日どうしたんだっけ・・・?
ここは・・・、はぁ、異世界にいるんだっけ・・・。
え!きゃっ!寝起きにイケメンのアップ!!って次男さん!?
「な、なんで一緒に寝ているんですか!?」
「ん・・・。寝ていない。考えていた。」
え、寝てないならいいのか・・・?
起きたら横にハダカの男がっという展開じゃないのね。
一晩考え事って・・・何を?
「・・・何か悩んでいるの?わたしでよかったら聞きますよ・・・?
クロー様は、いつもわたしに優しくしてくれるもの。あなたのこと(人間的に)好きよ。
もうちょっとお話をしてくれると嬉しいな。」
「!・・・結婚してください。」
なんでそんな話になるのよ!びっくりした!
・・・王女様のことで困っているのかな?
「他に誰かいないの?クロー様かっこいいもの。あなたのこと好きな子がいっぱいいそうよ?」
「君としたい。何年でも待つ。」
「なんで待つの?」
「君が大きくなるまで・・・。」
「え、もう大きくならないけど。大人ってこと?成人って何歳?わたし、24歳なんだけど・・・。」
「・・・今すぐ結婚してください!!」
そ、そんなに困っているのか・・・。押しが強そうな王女様だったもんね。
結婚してもいいかなぁ。帰れないみたいだし。
「もうちょっと、わたしのこと好きになってくれればいいかな・・・?」
「君がとても・・・好きだ。愛している。」
「え!困っているからじゃないの?」
王女様よけじゃなかったのかしら!?
もうちょっとじゃないけど、大丈夫なのかな・・・?
次男さんは優しい人だけど、わたしを子供だって思っていたし・・・。
わたしは?・・・わたしは、次男さんが好きなのかしら・・・?
「じゃあ・・・、もうちょっとお互いを知り合ってから・・・。」
次男さん、ガーンというような顔をしながら、コクリとうなずいていた。
そんなにショックだったのかな。なんだか大型犬っぽく見えてきたよ。
顔の表情は少ないのに、見えないしっぽがあるみたい。
でも、人生二回目のプロポーズね・・・。
一回目は失敗したし、よく考えて返事しよう。
あきらめないで、もうちょっと幸せになるために頑張ろう。
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目覚めた彼女は、ひどく驚いている。
一晩寝ないくらいは、全然大丈夫だ。
(いや、一緒に寝ていたらびっくりするよ!作者談)
彼女の事を考えていたら、時間なんてあっという間だ。
―――俺は、彼女が好きなんだ。
この気持ちが、人を好きになるということなんだ。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
心がムズムズ・ざわざわ忙しくて、嬉しくて笑いたくなって、話をしたくなる。
悩みがあるのかと彼女は聞いてきた。
そして、俺のことを好きだと言ってくれた!
嬉しい!俺も好きだ!大好きだ。
「!・・・結婚してください。」
少女だと思っていた彼女は、俺の一つ下だった!
彼女が成人するまで待つつもりでいたのに。
君のためならなんでもできる気がする。
でも、待たなくていいんだ!よかった!それなら今すぐ俺のものにしたい!
「・・・今すぐ結婚してください!!」
彼女は、お互いをよく知ってから・・・と真っ赤な顔をして、うつむいてしまった。
なんてことだ!待つといったのは俺だが、頭の中で鐘がガーンと響いているようだ。
誰かに彼女を奪われたらどうすればいいんだ・・・。
その時、寝室のドアの向こうで、家族と使用人が大勢聞き耳をたてていたことを俺は気づかなかった。
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昨晩、馬車で帰ってきて、朝になっても彼女の寝室に入ったままでいると聞いた家族と使用人は、ドアの前で心配していた。
(何かあったのかしら。)
(クローが暴走していないといいが。)
(若いうちは、そんなこともあるさ!クローがあんなに必死でお城へ向かったくらいだ。)
(若いって、あなたと3つしか違わないでしょ!)
クローが、結婚してくれと言っているのが聞こえる!
思わず、使用人たちも手をぐっと握って、胸をわくわくさせた。
でも、もうちょっとお互いを知ろうと言われている!
ああ~~。みんな揃って、がっくりとしてしまった・・・。
(なんてことなの!あのクローが、プロポーズをしたわ!)
(成人しているとは思っていたが、24歳!?さすがの私もわからなかった!)
(さすが僕の弟だ!見たかい?ナオリーヌ!僕がプロポーズした時を思い出すね!僕が君に・・・。)
(はいはい、あとでね!まぁぁ、びっくりだわ、いろんな意味で!)
((でも、もうちょっとで嫁に来てくれそうだ!))
((もうちょっとしたら、ウェディングドレスがいるわね!))
(((( クローディアス!もうちょっとよ!もっと押せ押せで頑張りなさい!))))
伯爵家と使用人達の心は、次男への応援でひとつになった・・・。
幕間を入れるならこのあとかなぁ。
どうしましょう・・・。